人口減少時代に入った日本。移民を受け入れる案もあるものの、欧州での対立を見るにつけ、反対の声が大きくなると予想される。世論の反響、反発を考慮すると、ロボットの活用への期待が高まる。経済成長の維持は次世代ロボットの普及で実現できると専門家は豪語するが、本当に可能なのだろうか。

ロボットを使う人間が他の人の仕事を奪う

人工知能(AI)が多くの人々の仕事を奪うのではないか−−。

そんな懸念が広まっている。今後間違いなく働く環境は急速に変わる。既にコンピューターが単純労働やルーチン(規則的な活動)の仕事を代替しているが、それがAI発達で知的、生産的な仕事にまで及ぶと考えられている。

どのような仕事がAIに代替され、奪われてしまうのか。それを考えることで、今後必要とされる人間の能力も見えてくる。

例えば、書類を整理したり過去の内容資料を探したりする作業は、AIに任せたほうが効率的だろう。一方で、顧客や取引先との交渉をAIに任せるのは難しい。代替される分野と、されない分野に分けて、人間と共存していけば一番よい。

AIは、決められた範囲で過去のデータを選び出すことは得意だ。この点を踏まえて、付加価値をもたらす能力が人間には求められる。

よくAIが東大の試験に合格するのかという命題について語られるが、答えの明確な科目においてAIが試験をクリアーするのはたやすいだろう。

しかし、いくらAIが見事な解答を導き出せたとしても、人が人に伝える情報は、AIのそれよりはるかに豊かであり、AIにはできないこともある。

最大の難関は第3次産業?

国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の総人口は1億2660万人として、生産年齢人口が7682万人から5787万人となる。

現在の生産能力を維持しようとすれば、各産業で足りなくなる人手数は全産業で586万人で、必要就業者の約11%分が不足するそうだ。

第1次産業については、クボタ研究開発本部長の飯田聡氏によれば、2040年には農機が完全自動化となり、農家の仕事は販売戦略の立案や情報分析が主な仕事となる模様だ。

そうなれば農業専用ロボの開発をするまでもないので、人手不足も高齢化も乗り越えられるだろう。

では第2次産業はどうだろうか。製造業で今以上の自動化を実現するには、人をロボットに置き換えるというより、作業員と協働するロボットが基本となろう。未来は明るそうだ。建設業では不足数が47万人だそうだが、危険な業務の一部をロボットが担えば人材難は相当、解消すると見るべきだ。

問題なのは第3次産業ではないだろうか。ひとくくりにできない部分もあるし、一部ではソフトバンクのPepperが接客をこなすなど、AIやロボットに対する期待も持てそうではある。しかし第1次、第2次産業と比べると、AIへの置き換えは難しそうで、まだまだ時間はかかるだろう。

2040年までまだ時間はある。人口減のスピードを上回る速度で、将来において活躍できるAI、ロボットを開発するのは決して無理な話ではないはずだ。

文・ZUU online編集部

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