時代によってお金の使い方は変わる。親世代、自分の世代の常識が、子どもたち世代の常識とは限らない。お金に関する正しい知識や新しい考え方を教えてくれる、親子で読んでみたいお金の本を5冊紹介する(価格は紙版、税抜き)。

メタップス社長による新しい「お金とは何か」――『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』

(佐藤航陽・著、幻冬舎、1,500円、2017年11月29日発売)

本書の著者はメタップスの若き社長・佐藤航陽(さとう かつあき)氏。佐藤氏は20歳で早稲田大学を中退、学費でIT系のベンチャーを設立。その後会社は、仮想通貨やテクノロジーが主力のメタップスへとつながり、刊行時点で世界8ヵ所に拠点を置くほどに成長する。

こうした経歴を持つ佐藤氏は、お金を「更新」する意味を込めて「2.0」をタイトルに取り入れたという。本書では「お金とは何か?」から始まり、仮想通貨の在り方、膨大なデータから見る経済システムの構造、経済と脳との深い関係、ダ・ヴィンチ、宗教と価値主義など、一見無関係と思える要素を盛り込みながら、私たちの固定観念を一つずつ丁寧に壊してくれることだろう。

ギャンブル漫画を題材にしたお金の話――『カイジ「命より重い!」お金の話』

(木暮太一・著、サンマーク出版、1,500円、2013年4月22日発売)

インパクトある表紙とタイトルを持つ本書だが、著者は多くのビジネス書籍を手掛ける木暮太一氏。経済ジャーナリストである木暮氏は執筆活動の他に、講演やテレビのコメンテーターとしても活躍中だ。

実写映画でも話題となった人気漫画『カイジ』を、本書では「お金の教科書」としながら読み解いていく。随所で漫画のシーンを引用しているため、カイジを通してお金の基本を学べる入門書と言えるだろう。タイトルに掲げた「命より重い!」理由も、読み進めて行くうちに理解できるだろう。著者である木暮氏は、私たちに足りないのはお金を「使う知識」と「守る知識」だと語る。

命がけのギャンブルを経験したカイジからこそ学べるものも多いが、本書では「お金で苦しむ人々を救う方法」も考えているところが興味深い。

堀江式マネー論による『お金はいつも正しい』 

(堀江貴文・著、双葉社、1,200円、2011年6月21日発売)

本書の著者は、あの「ホリエモン」こと堀江貴文氏。堀江氏が本書を執筆したのは、実は塀の向こう側と呼ばれる刑務所だ。ライブドア社長であった堀江氏は、球団ならびに放送局の買収、選挙への出馬などで世間やメディアを騒がせていた。ところが「ライブドア事件」と呼ばれる証券取引法違反容疑により、2011年6月から2013年3月まで服役することになったのだ。

時代の寵児として莫大な金銭を動かしていた堀江氏が、自身が培った経験から日本人がお金に対して抱く「恐怖」に近い感情を見抜く。さらに貯めるだけの貯金は無意味であり、借金には良いものと悪いものがあるなど、本書では「お金=信用」をキーワードにしながら、当時の社会を読み解く「堀江式マネー論」が展開されている。

現在紙媒体は品切れ、重版は未定だが、一部の電子書籍は購入できる。

2000年から読まれ続ける名著――『改訂版 金持ち父さん貧乏父さん』 

(ロバート・キヨサキ・著、筑摩書房、1,600円、2013年11月8日発売)

2000年に発売されて以降、現在も多くの日本人に読まれ続けている『金持ち父さん貧乏父さん』。著者はロバート・キヨサキ氏。ハワイ生まれの日系四世であるキヨサキ氏は企業家として成功すると、47歳でビジネス界を引退。その後アメリカのとある「金持ち父さん」の教えを広めるため『金持ち父さん』シリーズを執筆。世界で2,600万部を突破した本シリーズは、ビジネス書としてベスト&ロングセラーとなっている。

本書では「お金持ちになるためには、たくさん稼がなければならない」という神話をくつがえし、日本人が長年抱いていた持ち家信仰をも揺るがしてしまう。さらにお金について学校では教えられないこと、お金について子供たちに何を教えればいいのかが書かれている。また2013年に刊行された「改訂版」では、年功序列や終身雇用の神話が崩れ去った今の時代を乗り切るため、加筆・修正されている。

ジャーナリストによるお金『知らないと損する 池上彰のお金の学校』

(池上彰・著、朝日新聞出版、760円、2011年10月13日発売)

本書の著者は、テレビなどでもお馴染みのジャーナリスト・池上彰氏。時事ニュースや社会動向などをわかりやすく解説する池上氏だが、その著書には子供のお小遣いから家計簿、金融、経済学などお金にまつわるものも多い。

お金は、現代人が生きていくうえで欠かせないものだ。株やGDP(国内総生産)など言葉では知りながらも、説明できない私たちにやさしく丁寧に解説してくれる。さらに格安のからくり、ギャンブルの経済効果など、日常やニュースの中で芽生える疑問についても解説するなど、まさにお金の仕組みの基礎知識が詰まった1冊と言える。

文・MONEY TIMES 編集部
 

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