金銭感覚は、幼い頃から身に着けておいたほうがいい。日常生活の中で教えるのも1つだが、本というツールを使って親子で学ぶ機会を持つのもいいだろう。親子で読みたい、お金について学べる本を4冊紹介する(価格は紙版、税抜き)。

お金の使い道と価値が学べる――『めいちゃんの500円玉』

『めいちゃんの500円玉』(なかがわちひろ作、アリス館、1,400円)

めいちゃんが道で拾った500円玉が、「オレ様で好きな物を買っていい」としゃべり出す。めいちゃんは500円玉を握りしめて、何を買おうかと店をあちこち巡って試行錯誤。けれどもどうにもうまくいかない。

500円玉の使い道を考えながら、様々な体験をするめいちゃん。作品には消費税についても出てくる。500円で生き物を飼おうとするが、生き物を飼ったら、住む場所や食事を与えるのにそれ以上のお金がかかることを知る場面も。
お金の価値についてだけでなく、生き物を飼うにもお金がかかることをさりげなく教えてくれる作品でもある。

果たしてめいちゃんは、500円玉をどのように使ったのか……。子どもと一緒に大人も学べる1冊だ。

ダイレクトにお金について学ぶ――『お金さえあればいい?子どもと考える経済のはなし』

『お金さえあればいい?子どもと考える経済のはなし』(浜矩子著、高畠純・絵、クレヨンハウス、1,300円)

お小遣いを渡す年齢になる前に読んでおきたい1冊。遠回しではなく、ダイレクトにお金について書かれている。だが、文調が柔らかく、挿絵が非常にユーモラスなので、堅苦しさを感じることなく経済を学ぶことができる。

「そもそもお金はなぜ必要なのか」「なぜお金はお金として成立しているのか」などお金の存在意義について、大人も改めて考えさせられる。

経済についても丁寧に説明されており、経済的に豊かであることだけが人が生きる上で必要なことなのか?といった問題提起には、経済を超えて人生を考えさせられる。

起業の仕方や仕組みが分かる――『歯磨きつくって億万長者』

『歯磨きつくって億万長者』(ジーン・メリル著、平野恵理子・絵、岡本さゆり訳、チア・ブックス、1,300円)

174ページほどの児童小説。内容はタイトルの通り、「歯磨きつくって億万長者」になった少年の話。

アイデアから商品を作り出し、宣伝をし、販売をして、起業して、従業員を雇って、最後には解散する。起業の一連の流れをわかりやすく、ユーモラスに描いた作品だ。

商品をたくさん購入してもらうための販売戦略として、商品をセットで購入すれば送料を安くするというアイデアを思いつく。これは、現実に企業で使われている手法だ。

非常に平易な言葉で、起業について説明されている。小説とリアルな経済が織り交ぜられており、子どもが自然と経済について学ぶことができる1冊となっている。

父親としてお金について語るなら――『おとうさん』

『おとうさん』(秋山とも子著、瑞雲舎、1,300円)

この本には文字がない。絵だけでお父さんの1日が描かれているのだ。
朝家を出て、電車に揺られて会社について、働いて、会社を出て帰宅する。そんなお父さんの日常を、繊細なタッチで細かく描写している。

文字のない絵本だからこそ、子どもと語り合いながら読むことができる1冊になっている。また内容の一部では「ウォーリーを探せ」のような絵探しの楽しさも持ち合わせた本となっている。

毎日、会社に行くお父さん。会社に行くには交通費がかかる、お昼ご飯も食べなければいけないし、帰り道に同僚とお酒を飲むこともあるだろう。お父さんの1日とお金の動きをともに知りながら、働くことの意味についても教えることができる。

文字がないだけに、お父さんの言葉で子どもに語りかけることができることが、この本の魅力でもある。

文・MONEY TIMES編集部
 

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