リンダ・グラットンの「ライフシフト」とトマ・ピケティ「21世紀の資本」。どちらも2010年代に出版され、世界的なムーブメントを起こした本である。この二冊の偉大な本が示した大きな命題に対し、著者の三戸政和は本書をもってひとつの回答を示した。

その回答とは、私たちが豊かな生活を掴むための「新しい生き方」である。それは、株などの金融商品を買うためのメソッドでも不動産投資の方法でもない。いままで私たちが気付くことのなかった方法なのだ。

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』
著者:三戸 政和
出版社:講談社
発売日:2018年4月20日

偉大な二冊の本が示したこと

グラットンは私たちが「人生100年時代」を迎えつつあるということを明らかにした。60歳で定年となり、20年の老後を経て寿命を迎えるという人生設計はもはや成り立たない。これからは、80歳まで働き100歳まで生きることが前提となる。80歳まで働くための能力や100歳まで生きるための経済力は、これまでとは明らかに違ってくるだろう。

ピケティが明らかにしたのは、資本主義社会では金持ちばかりが裕福になるという身も蓋もない事実だ。産業革命以降の世界の成長は確かに多くの人を豊かにしたが、よく見ると、その果実のほとんどを手にしたのは富裕層だ。しかもこの状況を放っておけば、格差は広がるばかりだという。

資本家になるという新たな道

グラットンの言うように人生設計を見直すならば、基盤となるのは人生100年を前提に80歳までどう働くかだ。どんな方法があるだろうか。

60歳前後で定年した後、関連企業に「天下り」して渡り歩く。それができればいいが、そんな立場に立てる人は少ないだろう。

「再雇用」で働き続ける。多くの人にとって可能だろうが、収入は大きく目減りし、働けたとしてもせいぜい70歳まで。それでは下流老人まっしぐらかもしれない。

「起業」という道はどうか。ベンチャーキャピタルに勤めていた著者は、起業家について「常人を超越した強靭な精神力と強烈な運を持っている」と表現する。あなたはそれに当てはまるだろうか。

腕に自信があり、脱サラ後「飲食店経営」を考えている人もいるだろう。だが著者は、飲食店は最も勝ち目のないビジネスモデルだとダメ出しをする。

著者が勧めるのが「資本家」になることだ。ピケティの言うように資本主義社会においては、労働者では裕福になれないが資本家であれば裕福になれる。では資本家になるためにはどうすればいいのか。それこそが私たちに示された新しい道、「会社を買う」という選択肢だ。

いまこそ会社を買うべき理由

実は、いまこそ会社を買うべき理由があるという。日本は今後10年、中小企業の大廃業時代を迎えるのだ。日本の企業は99%が中小企業で、その数は400万社。そのうち100万社が経営者の高齢化と後継者不足などで廃業する可能性があるという。

国もすでに動きだしている。中小企業の大廃業によるGDPの減少や雇用の喪失を防ぐために、事業承継の環境を急速に整えている。つまり、会社を買うなら今後10年は超買い手市場ということなのだ。

それでも「会社を買うなんてハードルが高い」と感じるのがフツーだろう。しかし著者は、私たちの心の中にある「買わない理由」について、ひとつひとつ論破していく。

「お金がない」という理由には、大廃業時代だからこそ会社はお値打ち価格であり、そもそも自己資金がなくても会社は買えると説く。

「情報がない」という理由には、事業承継の市場が形成されつつあり、マッチングサイトも増えていると説明する。

「とにかく自分には社長なんて務まらない」という、最も多くの人が感じるであろう理由には、大企業のサラリーマンであれば問題はないと諭す。大企業に勤めていることは、実は日々洗練された雇用や管理のシステムに身を置いているということだ。一方、ほとんどの中小企業は前近代的システムのまま。つまり、あなたが今フツーにやっていることを中小企業に取り入れればいい。中小企業はそれだけで大いに業務改善され、その価値は上がるというのだ。

自分が精通している業界の会社を買えばいい

「一番いいのは知り合いの社長から会社を買うことだ」と著者はいう。40代にもなれば会社での将来も見えてくるだろう。著者が勧めるのは、日々の業務と並行して、自分が買いたい会社を探すことだ。自分が精通しスキルも持っている業界なら、難しい話ではないだろう。

自分が買ってテコ入れの余地があると見込める会社を探す。その会社は前近代的であっても充分に回っているのだから、買ったとしても始めは現状維持でいい。機を見計らってテコ入れを始めれば、その会社は大化けをするかもしれない。

会社を成長させた後に売却すれば、大きなキャピタルゲインを得て幸せな老後を送ることができるだろう。このように、著者が示す「資本家」の道は明るい。

グラットンの言うように、私たちは人生設計のシフトを求められている。その新たな未来図を作る選択肢として、「会社を買う」という方法がこの本によって私たちに示されたのだ。

文・小路 稜(文筆家)

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