2016年2月から日本で導入された「マイナス金利政策」。最近では、日銀が金利上昇を食い止めようと指値オペを行うなど必死だ。マイナス金利政策によって、我々の生活には住宅ローン金利が引き下げられる等のメリットがある反面、大手都市銀行等では預金金利が引き下げられており、史上類を見ないほどの低金利となっている。預金金利の超低水準が長引き、金融資産を増やすことが難しい状況にある中、安定的に収入を得られる「インカムゲイン」と呼ばれる考え方に注目が集まっている。 

キャピタルゲインとインカムゲインとは?

株式投資で利益を得る方法には、キャピタルゲインとインカムゲインがある。

キャピタルゲインは、株価が安い時に株式を購入して高くなったら売ることで、買った価格と売った価格の差額が利益となる。株価が変動することによって得られる利益のため、株価が値上がりすれば儲かるが、値下がりすれば損失を被る。売買タイミングに細心の注意を支払わなければならない。

一方、インカムゲインは、金融資産を保有することで安定的かつ継続的に得られる収入のことだ。株式投資では企業が株主に対して行う配当のことを指す。銀行預金であれば預金利息、不動産投資で言えば家賃収入に当たる。 

そもそも株式とは? 配当の種類は色々ある

そもそも株式会社が資金を集めるために発行するものが株式である。株式を買うことで、投資家は企業の株主になることができる。株主は企業への出資者、オーナーとなる。企業としては、株主から集めたお金は返さなくてもいいため、できれば多くの投資家に長期的に株主になってもらいたい。そこで、企業は得た利益の一部を、配当という形で株主へ分配、還元する。

企業は株主に対して活動の成果として得られる利益を配当として支払うため、配当は様々な要因で変動する。例えば、利益の変動による増配や減配、上場記念等がある。主な配当の種類や状況を紹介する。 

覚えておきたい「配当の種類」と「配当の状況」

【普通配当】いわゆる一般的な配当のこと 
【中間配当】営業年度が1年の会社が期末配当とは別に、その年度中の一定の日に行う配当のこと 
【記念配当】通常の配当の他に、創業○周年等を記念して増配されること 
【無配】業績が悪化した場合や、企業の意向で配当がない場合のこと 
【無配転落】前期は配当があったが、今期は無しになること 
【復配】無配だった企業が配当を再開すること 
【増配】前期よりも配当の額が増加すること 
【減配】前期よりも配当の額が減少すること 

配当金の高低は「配当利回り」で求める

企業は業績に応じて配当を分配するわけだから、業績好調が持続的でなければ、将来にわたって現在の水準の配当金を受け取れるとは限らない。投資家としては多くの企業の中から投資先を選ぶわけだから、メリットのあるお得な企業を選びたい。

企業のIRページや、企業の業績等を掲載した冊子である会社四季報等を見ることで、1株当たりの配当金(年額)を知ることができる。配当金の金額を購入する株数で掛けることで、受け取れる配当金額を把握することができる。年間の配当金額は以下の算出式で求められる。

受取配当金額=1株配当金額×購入株数

銘柄によっても、購入するタイミングによっても株価は異なる。配当金額が変わらない場合、株価が安い時に購入した方がお得になる。株価に対する配当の利回り、配当利回りが高くなるからだ。配当利回りは以下の算出式で求められる。

配当利回り(%)=年間配当金額÷投資金額×100

例えば、トヨタ自動車 <7203> で考えてみよう。2017年2月10日現在、株価は6446円である。2月6日に発表された「平成29年3月期第3四半期決算短信(米国基準)」によると、2016年度3月期の年間の配当金額は210.00円である。2月10日の終値でトヨタ自動車の株式を100株購入した場合、受け取れる年間の配当金は、210円×100株=21000円になる。この場合、配当利回りは、「21000÷6446=3.257%」と計算することができる。

しかし、トヨタ自動車の株価が5000円だった時に100株購入したとしよう。年間の配当金額が210.00円であれば、受け取れる年間の配当金は、210円×100株=21000円になる。しかし、配当利回りは、21000÷5000=4.2%になる。株価が安い時に購入した方が、配当利回りは高くなる。配当金額だけを見ただけでは「配当利回りが高い=高配当」かはわからないので、必ず購入金額当たりで計算する必要がある。 

配当金の受け取り方と注意点

配当を受け取るためには条件があることも覚えておきたい。配当を受け取るためには、配当を実施している会社の株主になり、さらに、決算期末の時点(多くの会社が3月末)で株主名簿に名前が掲載され、権利を確定した株主にならなければならない。配当を実施している企業の株主になっても、権利確定日に株主でなければ配当を受け取れるわけではない。

具体的には、株主名簿に掲載される(受渡し)までには3営業日かかるので、権利確定日の3営業日前(権利付き最終日)までに株を購入しなければならない。翌日の3月29日は権利落ち日で、利を取得できなくなった状態である。

例えば、トヨタ自動車の場合には3月が決算期末であるから、2017年3月31日が権利確定日になる。その3営業日前までに株を購入しておかなければ株主として掲載されないため、2017年3月28日が権利付き最終日(権利取り日)になる。 

高配当銘柄を探す方法は?

高配当の株式を探す方法の一例を紹介しよう。証券会社に口座を持っていれば、インターネットで銘柄を検索する機能(スクリーニング機能)を使うことができる。検索する際に、希望する配当利回りの数字を入力することで銘柄を把握できる。会社四季報等の冊子やオンライン版でも調べることができる。

一般的に、株式市場全体が底上げされて株価が高くなると、配当金額に変更がなければ配当利回りは低下する。しかし、企業業績が好調であれば配当金額は増額されるため、一概に株価が高くなったからと言って配当利回りが低下するとは限らない。配当は企業の業績、経済環境に大きく左右される。業績が好調なら増配だが、業績が悪化すれば減配、無配に変化するため、業績の推移を確認しておかなければならない。過去の業績の推移を参考に、配当状況がどのように推移しているのかという点も、できれば参考にしておきたい。

マイナス金利時代だからこそ、自らがアンテナを張り巡らせて資産運用に好循環をもたらすことが必要だ。配当というインカムゲインで、安定運用の一歩を始めてみてはいかがだろうか。

文・横山利香(よこやまりか)/ZUU online

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