住宅ローンを借りる時に、「変動金利」にするか「固定金利」にするかは誰もが迷う点だろう。変動金利型住宅ローンは金利が低いけれど、金利が上がって返済額が増える恐れがある。一方の固定金利型は金利が変わらないので返済額が増えるリスクはないが、その分金利が若干高くなっている。果たしてどちらが自分の考え方や我が家の状況に向いているのだろうか。

金利のタイプは三つ 変動と固定と……あと一つは?

住宅ローンの金利タイプは大きく分けると二つある。一つは半年ごとに金利が見直される「変動金利型」で、借入直後の金利設定は低くても、その後金利が上がると返済額が増えるリスクがある。

もう一つは「固定金利型」で、金利が固定しているが金利設定はやや高くなっている。固定金利型には、完済までの金利が確定している「全期間固定金利型」と、一定期間だけ金利が決まっている「固定期間選択型」がある。つまり、厳密には金利タイプは3つ存在するのだ。

この3つの金利タイプを金利の高い順に並べると、一般的にはこのようになる。

全期間固定金利型>固定期間選択型>変動金利型

低金利優先なら「変動金利型」、安全性重視なら「全期間固定金利型」で、「固定期間選択型」がその中間と言っていいだろう。

利用者の約6割が選ぶ「変動金利型」がトレンド

この3タイプの中で、利用者が最も多いのが「変動金利型」だ。

2018年4月に実施された住宅金融支援機構の調査から、住宅ローンの利用金利タイプを見ると「変動金利型」の割合は56.5%と約6割を占めている。続いて「固定期間選択型」が30.1%、「全期間固定金利型」が13.3%という結果だった。

この調査ではこの先1年間の金利見通しについても聞いているが、59.0%の人が「ほとんど変わらない」としており、変動金利型利用者ではその割合が66.7%に達する。

このところは超低金利と言っていい状態が続いている。現在と将来の経済状況を鑑みて、当分金利上昇のリスクはないと考える人が多く、そのため金利の低い「変動金利型」が支持されていると言える。

とはいえ住宅ローンの返済は長期にわたるので、完済までの間には幾度か金利上昇局面がやってくる可能性もある。当面の金利上昇はないとしても、適用金利が上がり「変動金利型」の返済額が増えた場合でも、家計に問題がないことを確認しておく必要はある。

年齢が若くリスクを低減したいなら「固定金利型」を

それに対してまだ比較的年齢が若く、住宅購入に関して高いリスクは取れない、取りたくないというのであれば、「固定期間選択型」のなかでも10年固定などの固定期間の長いローンや、完済までの金利が確定している「全期間固定金利型」が安心だ。

変動金利型に比べて若干金利が高くなっても、30年や35年の長期で組めば毎月の返済額が少なくなるので無理なく返済できるだろう。

金融リテラシーやライフスタイルも考慮に入れる

どの金利タイプがいいのかは、その人の考え方やライフスタイルにもよる。

「変動金利型」を利用すると、住宅ローン金利が上がらないかどうか、金利動向のチェックが欠かせない。金利上昇気配をいち早く察知する金融リテラシーがある人や、金利が上がりそうなときにはいち早く「固定金利型」に借り換えるといったフットワークの軽い人なら「変動金利型」がいいだろう。

一方で金利動向に振り回されたくない、日々の生活において住宅ローンのことで慌ただしく動きたくない、より確実な資金計画のもとで返済をしていきたい人は、「全期間固定金利型」を選ぶのがいいだろう。

「固定金利型」の安心感に惹かれるが、「変動金利型」の低金利も捨て難いという人には、「変動金利型」と「固定金利型」を組み合わせたミックスタイプのローンもある。

住宅ローンを選ぶ際は、金利についてはもちろんだが、自分が送りたい生活やライフステージの変化も見据えながら、賢いチョイスを行えるようにしておきたい。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)
 

【関連記事】
ネット証券は情報の宝庫?日経新聞から四季報まですべて閲覧可!?(PR)
40代で「がん保険」は必要か?
40歳から効率的にお金を貯めるための6つのステップ
共働きの妻が産休・育休中でも夫の「配偶者控除」を受けられる 意外と知らない節税法
40代が知っておきたい保険の知識まとめ