「投資銀行→CFO」は不正解!?キャリアコンサルタントが語った転職の真実とは?

2019.12.4
FINANCE
(画像=Liiga)
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転職によるキャリア構築は、今やごく自然な取り組みとなっている。ハイキャリア層を中心として、転職によって業務内容を充実させ、よりよい人生を歩む人も多い。だが、転職についての考え方が定まらず、実践方法に迷う人も少なくない。「Liiga」会員が相談者となり、高本尊通・株式会社プロフェッショナルバンク常務、西尾理子・株式会社みこまる代表取締役の2名のコンサルタントによる模擬相談会を実施した。そこから見えてきた転職の真実とは?
 
〈Profile〉
写真左/西尾理子(にしお・みちこ) 2001年、大学卒業後日本HP株式会社に入社、04年、株式会社リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)に転職。主に若手の転職支援や新規支社の立ち上げなどに携わる。10年、株式会社プロコミットに転職。経営人材を志す優秀層のベンチャーへの転職支援に従事。17年5月、株式会社みこまるを創業。代表取締役。

同右/高本尊通(たかもと・たかみち) 大学卒業後、株式会社パソナ入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、ソリューションコンサルティング担当マネジャー。その後、営業企画、事業企画、新規事業開発責任者として合弁会社設立。アライアンス、デューデリジェンス、バイサイドM&A、BPRプロジェクトなどを担当。2004年、ヘッドハンティング・ハイキャリア層の転職支援に強みを持つプロフェッショナルバンク設立に参画。取締役常務執行役員。

田中さん(仮名) 大学卒業後、大手商社入社。その後、日系証券、外資系証券の投資銀行部門に転職(本文の顔写真は田中さんではありません)。

AIやIoTに微塵も触れられず。商社は「古すぎた」

高本 本日はよろしくお願いします。田中さんには、ざっくばらんにお話をしていただいて、僕らも率直にお話をさせていただければと思います。まずは、経歴から教えていただけますか。

田中さん よろしくお願いします。大学を卒業後、大手商社に入り、ある素材を扱う部署に配属されました。2年勤めて、日系証券に移り、今の外資系金融機関の投資銀行部門に転職しました。

西尾 総合商社を就職先に選んだわけは?

田中さん 商売を学びたかったというのが大きな理由です。たまたま内定をもらえたのもあったかもしれません。

高本 何でやめようと思いました?

田中さん 仕事をしていくうちに「古すぎる」と感じることが多かったからです。社会が人工知能とか、IoTとか言っているのに、仕事内容に片鱗も感じることができませんでした。良くも悪くも、長い間続いている商売ですが、これがずっと続くとは思わないし、ずっとやりたいとも思いませんでした。組織が変わって、会社内でのポジションが低くなって・・・。このまま同じ部署に居続けても、出世もできないと思ったことも大きいですね。

西尾 部署間の異動は難しい?

田中さん そうですね。異動は制度としてはありますが、上には行けません。外様扱いで、自分のキャリアしか考えてない奴、だと思われます。

高本 商社は縦割りですからね。僕の友人も総合商社でずっとマグロを扱う部署にいますね。

西尾 産業構造が古めかしい、会社自体も革新的な組織とはいいがたい、部署を異動してまで、残りたいと思わなかったということですか?

田中さん そうですね。自分が目指していた成長企業を作りたい、とか、成長企業に投資したい、とか、こういう思いとは、かけ離れていました。

 
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「起業に役立つ」と考え、投資銀行に

西尾 投資銀行を次のステップに選ばれた理由を教えてもらえますか?

田中さん そもそもベンチャーを作りたいと思っていたため、それが達成できそうなのが投資銀行だと考えました。当時、いきなりベンチャーに行くことは、私にとっては勇気が必要でした。専門職ではないですが、それなりに力をつけることができて、ベンチャーに行って、失敗したとしても、どこかが採ってくれる、という思いもありました。

高本 日系証券の投資銀行部門では何をやっていました?

田中さん カバレッジをやっていました。主に企業などの資金調達やM&Aを扱う業務です。元々ITに興味があったので、これに近い分野しかやらない、と宣言して入社しました。IPOにも携わりました。

高本 IPOには、どんな関わり方をしていましたか?

田中さん 投資家に響く資料作成など、エクイティストーリー策定ですね。

西尾 その後、外資系証券会社に移ったのは?

田中さん これは、運がよかったかもしれません。友人が他の会社に転職することになったんですが、その上司から「転職するんだったら、同じレベルの奴を連れて来い」と言われていたようです。それで、受けてみたら、たまたま受かった、という感じです。投資銀行部門の同じ業界の業務を担当することになったため、業務ギャップはありませんでした。

今の悩みは「起業か、ベンチャーCFOか」

高本 日系証券と外資系証券を経験していますが、それぞれ、何を学びました?

田中さん 日系証券では山ほどありましたね。そもそも、証券会社でどういう立ち位置で動くのか、プライマリーマーケットにおいて、バリュエーションがどのように行われるか、など本当にいろいろなことを学びました。一方、外資系証券に入ってからは、何だか「作業」になりすぎているな、と感じていました。確かに、資料作成や分析方法は異なりますが、2‐3か月もすれば慣れます。

高本 学んでないことが悩み?

田中さん そうなんです。

西尾 どう進もうか悩んでいる?

田中さん 起業しようか、ベンチャーCFOになろうか、いま悩んでいます。投資銀行での経験は、CFO業務に親和性が高いと思っていまして・・・。

高本 起業に傾いている感じですか?

田中さん CFOを含む、CxOも、かなりあり、かと。起業するにも、CxOを経験してからの人が多いように思います。また、若いので、大きなベンチャーCFOは難しいかもしれませんが、スタートアップなど小さい企業なら、できるんじゃないかと考えています。

 
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いずれ起業なら、副業OKのスタートアップがいい

高本 ここで、最も聞いておかないといけないのは、田中さんが「何を実現したいか」。自分の満足はどこにあるか。お金か、自由か、やりがいか、箔か。人生の価値をどこに置いているか、教えてください。

田中さん そもそも、なぜ、起業したいかというと、コミュニティを作りたいからです。その思いが根本にありますね。

西尾 スタートアップに行っても、いずれ起業する?

田中さん そう思います。あわよくば、上場まで行きたいです。個人事業主というレベルではどとまりたくない。社会に機能を持たせることができるような事業にしたいです。

高本 明確にやりたいことがあるなら、私は、起業かと思いますね。提案ですが、スタートアップに行くなら、副業OKな会社がいいと思う。

田中さん そうですね。

高本 リクルートなどは、金融系企業では見られない、いろいろな業種の人がいます。起業する人も多く、「経済圏」みたいなものが成り立っていますね。これをうまく活用して、自分の事業をスケールさせる人も多いです。長期間、起業を志しているなら、やらなければ、後悔すると思う。

 
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もしも「お金を得たい」なら、CFOでIPOを狙え

田中さん 実は、もう一つ、悩んでいることがあるんです。現在在籍している会社の先輩が作ったインキュベーションファンドに、先輩から「来ないか」と強烈に誘われていまして。そこが結構面白くて、従業員の半数がエンジニアで、取引先にエンジニアを派遣して、技術面をサポート。出資を取ってくるスタイルをとっています。

高本 インキュベーションファンドって、マイナー出資をするVCのような感じですか?

田中さん いえ。自社内でも複数の事業があって、これを育てています。

高本 なぜそんなことを聞いたかというと、今までのご志向、長期間にわたる起業への思いなどを踏まえると、単なるVCならあまりお勧めできないのと、さらにハンズオン型VCといいながら、ほとんどのVCは本当のハンズオンでない場合も多いです。アドバイスレベルで、P/L責任を常時持ちながら、事業にがっつり接しておらず、ご自身で起業する段階で、事業に向き合いきれなくなることも多いよ。

田中さん なるほど。自分で手を動かさないですよね。

高本 そう。やりきる力が養われない。起業をして自分の会社を作ったら、泥臭く、一つ一つ積み上げていって、エグゼキューションする力が必要。月末10万円足りない、となったら、自分で集めてくる、くらいの気概が欠かせないと思う。

田中さん 事業をやってないとだめですか。

高本 田中さんがやろうとしている「コミュニティ作り」であれば、0→1、2、3と少しずつ進んでいく事業。決して、0→1、2、100ではない。 1、2から100を求めるのであれば、バイアウトファンドなどに行けばいいかと思います。

田中さん 確かにな~。

高本 実現したいことが、お金を得ることなら、スタートアップCFOになり、最短でIPOを狙う。お金を得ることができたら、30代は好きにやればいい。ですが、田中さんの目的は、違いますよね。

 
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ベンチャーなら、「人を使い、機能させる」経験を

西尾 COO系のCFOが出てきた時期もありました。たまたまCFOを拝命しているだけで、CFO以外も出来ますよ、と。こういう人はタイトルに固執しないですね。

田中さん 価値が高い、ということですね。

西尾 ベンチャーCxOにこだわる必要もないかもしれません。コミュニティを作るために、必要なことは何か、と考えていくと、ベンチャーCxOのような箔、ではないですね。そこに行かないと会えないような「変な人」がたくさんいる会社に入る、会社組織を離れたときに力になってくれる人がいる会社に入る、なども選択肢かもしれませんよ。田中さんは既に、ベンチャーCxOで得られることを身に付けているのではないかと思います。

高本 ベンチャーなら、比較的早くから人的マネジメントに携わることになるかと思いますが、そういった「人を使うこと、機能させること」も覚えていくといいように思います。

田中さん 確かに、人を使う経験はないですね。商社も5年くらいいれば、その経験ができたと思いますが、その前に辞めたし、投資銀行も、少ない人数でチームを組んで案件に取り組むため、10人以上を使う経験を積めるのは、もっと後になってからです。

「1600万円→700万円」を覚悟なら、スタートアップもいける

高本 ところで、現在の年収は?

田中さん 1600万円くらいです。

高本 事業会社に行くとしたら、ミニマムラインはどれくらい?

田中さん 700万円くらいです。

高本 覚悟はあるようですね。700万円まで下げられるなら、スタートアップもありです。1200万円くらいまでしか下げられないとすると、バイアウトファンドも検討したほうがいい。ファイナンスのほか、事業系の経験もできて、自分のバリューが上がります。

西尾 いろいろな人の顔を思い浮かべながら、田中さんのお話を聞いていたんですが、やりたいことやビジネスモデルが明確な人は、さっさと起業しているんですよね。CxOを経験している、してない、に関わらず、です。田中さんの場合、いいコミュニティを作ることが目的なら、エクセルを叩くよりも泥臭い経験が必要だと思う。CxOとして「お呼ばれ」するよりも、いろいろごちゃごちゃとしている企業、明るい企業、伸びている企業で、丁稚奉公的に働いたほうがいい。コミュニティ作りを目指すなら、名もない会社で、営業からやろう、と考える人もいるかもしれませんよ。

田中さん 確かに、そうですね。自分のキャリアを全部捨てて、ゼロから組織に入る・・・。

西尾 すべてを捨てるリスクを負わなくても、選択肢はありますよ。

高本 組織は、正解が存在しない。私は初めてマネジメントやったときは、毎日悩んでいました。いろいろな人がいて、本質やロジックで話すことができる人ばかりではないですからね。そんな経験をしながら、うまく人を動かして、レバレッジをかけた成長をさせる。マネジメントはサービス業です。これが分かるまで2年かかった。

田中さん なるほど。

西尾 これを経験して、「もう人とか、いいわ」となる人もいる。ですが、コミュニティを作るなら、「思い通りにならなかった」経験が必要です。いろいろなメンバーと、事業をA地点からB地点に持っていく必要がある。これを面白いと思うか、しんどいと思うか。

 
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CxOは、「目指す」ポジションではない

高本 結論。CxOである必要はない。

西尾 いろいろ実績をあげた結果、CxOになってくれ、ならいいが、目指すところをCxOとしないことが重要です。CxOが空いている企業だと「アウトプット型」キャリアになりがちです。事業開発やアライアンスといった事業を伸ばす業務を、インプットできる企業を選ぶのがいいと思う。

西尾 創業者やCxOも2パターンあります。一つはプロダクトを世に出すことに情熱を注ぐタイプ、もう一つは、仲間や、その家族が幸せになれるように、いい会社を作りたい、そのために事業をやるタイプ。後者が比較的愛されるように思います。田中さんは、起業に必要な「愛される」要素を持っていると思う。

高本 いろいろ悩んでいると思うが、転職活動をしてみるのもいいかもしれませんよ。転職をする必要はありません。転職活動で、いろいろな人と話すことで、自分はどうするべきか、やりたいことは何かが明確になる。まずはやってみること。悩むのは、受かってからでも遅くないです。

西尾 転職と、転職活動を分けて、いろいろな選択肢を手にすることが重要です。

高本 でも、今日は本当によかったです。起業でやりたいことも決まっていたら、あやうく相談会は10分で終わってました・・・ 

田中さん CFOか起業か、という考えにこだわっていました。ですが、それだけではないことを知れてよかったです。副業をやってみるのもいいし、ポジションにこだわる必要はないこともわかってよかったです。

提供元・Liiga

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