老後資金のためのリバースモーゲージのメリットと落とし穴

2019.7.6
FINANCE
(画像=Getty Images)
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日本は高齢化が進み、2040年には65歳以上人口が3割超えになる見込みです。年金の受給額も老後の生活の支えには心もとないと考える人も多いのではないでしょうか。老後の資金不足を補うために注目を集めているのがリバースモーゲージです。

自宅を担保にお金を借りても実際に返すときには、寿命をまっとうして自宅を金融機関に差し出すというイメージで知られているのではないでしょうか。有り体に言えば、寿命をまっとうしてしまえば墓の下に入るわけですから、自宅がなくなっても問題ない。そして生きている間に必要なお金が入ってくるのだから、老後資金で生きている間のお金に困らないと考える人もいるかもしれません。

しかしリバースモーゲージのメリットの裏には多くの落とし穴があります。高齢社会で老後資金を補う選択肢として、リバースモーゲージに興味をもつ人もいるかもしれません。また親がリバースモーゲージを検討していることもあるでしょう。そこで本記事ではリバースモーゲージのメリットと落とし穴をご紹介します。

人生100年時代で手元の生活資金に困る未来

人生100年時代といわれています。特に日本は長寿国で今後、長生きすることで生きている間に必要なお金が増えていきます。手元に十分な生活資金を用意できない人も今後、増えていくことが予想されます。

政府は副業の解禁や誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現を掲げています。今後は国や会社に頼れず、自力でお金を稼がなければいけない時代だというメッセージとも受けとれるでしょう。

しかし、働いて得られるお金だけでは生活資金が不十分なのではと不安を感じる人も少なくはありません。リバースモーゲージはそんな老後の生活資金の用意のひとつの選択肢です。一方で思わぬ落とし穴も潜んでいるため利用には慎重になるべきです。

自宅を担保に融資を受けて最後に返すリバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、自宅を担保にした融資制度の一種です。通常の住宅ローンは自宅を担保に金融機関から一括で融資を受け、定期的に返済していく制度です。

一方リバースモーゲージは通常の住宅ローンと同じで持ち家を担保にして一括で融資を受けるのですが最後(主に死後)に一括返済をします。通常の住宅ローンと同じで自宅を担保にするところは同じです。しかし返済の時期がリバースモーゲージの場合、最後(死後)に来るのです。住宅ローンを担保にして融資を受けた資金を老後の生活の資金にあてることができます。

公的機関と金融機関の2つのリバースモーゲージ

リバースモーゲージには公的機関と民間企業の提供する2種類あります。それぞれの特色を理解し、条件にあったリバースモーゲージを検討すると良いでしょう。

都道府県社会協議会のリバースモーゲージ

公的なリバースモーゲージは厚生労働省が定めた「生活福祉金貸付制度」の一つです。各自治体の社会福祉協議会が窓口になっています。所得の少ない高齢者世帯の生活を支援するために設けられた公的な制度です。

民間企業のリバースモーゲージとの大きな違いは、「低所得であること」が要件となっているところにあります。もともと社会福祉のための制度として設立しているため、経済的に苦しい世帯への救済策の一環でもあります。

また民間のリバースモーゲージよりも金利負担が軽い傾向にあります。公的なリバースモーゲージは、月々の生活を支援することが目的のため、一括で資金を受け取れないなどの制約もあります。

金融機関のリバースモーゲージ

銀行などの金融機関もリバースモーゲージを提供しています。公的機関のリバーシスモーゲージとの違いは「一定の所得」を求められるところです。そして対象年齢が公的機関のリバースモーゲージよりも低いため早期退職者にも利用しやすいメリットがあります。

また融資された額を一括で受けとれるリバースモーゲージもあり、公的な機関よりも自由度が高い設計になっています。ただし金利は公的機関のリバースモーゲージよりも高い傾向にあります。また金融機関のリバースモーゲージごとの制限などもあるため、民間のリバースモーゲージに関しては個別具体的に仕組みを確認する必要があります。

リバースモーゲージのメリットは

有り体に言えば自宅を現金化できるのがリバースモーゲージです。リバースモーゲージのメリットは大きく分けて2つあります。

自宅を売却せずに融資を受けられる

リバースモーゲージの一番の利点は、住んでいる住宅を自分の名義のまま売らずに融資を受けられるところです。住みなれた住宅で寿命をまっとうしたいと考える人も多いのではないでしょうか。住みなれた環境や住宅など生活環境を変えたくない人にとって、リバースモーゲージは一つの老後資金調達の選択肢のひとつです。

高齢でも現金を調達しやすい

リバースモーゲージは高齢者を対象にしています。そのため年齢を理由に資金を調達できない人でも融資を受けやすいのがメリットです。年収要件のハードルが低いことも融資を受けやすいのも特徴です。

リバースモーゲージのデメリット

リバースモーゲージは老後に自宅を現金化できるため多くの人に注目されています。しかし慎重に利用しなければ後悔してしまう見落としがちなポイントがあります。生活の土台になる自宅を担保にするわけですから、リバースモーゲージの利用には慎重になるべきです。

長生きしてしまい持ち家を失う可能性

リバースモーゲージは死後に住宅を売却し、金利を含めた融資額を返済するイメージがあります。しかし現実には契約期間が決まっていて、生きている間に契約が終わってしまい住宅を売らなければいけなくなる可能性があります。思った以上に長生きしてしまい、自宅を最後に売らなければならない状況になる恐れがあります。医療技術の発達などで今後、寿命がますます伸びていく時代になるかもしれません。思っていた以上に長生きしてしまうことも十分に考えられます。

金利上昇リスク

不動産の評価額は定期的に見直しされ融資の限度額も変動します。リバースモーゲージの金利も変動するため、上昇すれば融資限度額に思っていたよりも早く達することも考えられます。日本は現在低金利のため、これ以上の金利が下がる可能性も低く、金利上昇の可能性が十分にあります。

不動産の評価額低下による融資枠減少リスク

日本の不動産は全体的に人口減少社会でもあるため、評価額が下がる可能性もあります。リバースモーゲージは不動産の評価額を定期的に見直すため、評価額の低下によって受けとれる融資も減少してしまう恐れがあります。

相続人とトラブルになる

もしもリバースモーゲージの自宅を相続する子どもなどがいた場合、トラブルになる恐れがあります。借入人が死亡した場合、担保となる自宅を売却して返済できれば良いのですが、不動産の評価額が借入額に満たない場合、返済が相続人に及んでしまいます。また担保となっている自宅が売却できない可能性もあります。つまり親の残した借入金と利払いを負担しなければいけないことも十分にありえます。

対象地域や物件が限定される

民間の金融機関のリバースモーゲージの場合、対象地域が限定されていることもあります。つまり地方都市や限界集落などの自宅は、そもそもリバースモーゲージの対象にすらならないのです。またマンションなども一般的には対象外です。利用したくてもそもそもリバースモーゲージが使えないことも珍しくありません。

リバースモーゲージでは相続人の子も他人事ではない

リバースモーゲージは借入人本人だけではなく、相続人の問題でもあります。リバースモーゲージを実際に利用する場合は、相続人の同意も必要になります。よく考えずに相続人が同意してしまい、後からリバースモーゲージの担保にされた自宅の扱いに悩むことも考えられます。

借入額以下でしか自宅が売れないなどの理由で借金を背負うケースや、相続人がリバースモーゲージの仕組みをよくわかっておらず、担保になっている自宅を相続しようと思っていたができないことが分かりトラブルになるなどです。リバースモーゲージの利用は家族や子どもなどにも大きく影響するため、利用には慎重になる必要があります。

不動産売却やREITを使うことも検討する

そもそもリバースモーゲージを使わずに不動産を売却し安い家に住み替えて差額を生活資金にあてる、REITの配当金を家賃にあてるなどリバースモーゲージ以外にも老後の資金をやりくりできる方法も検討してみたほうが良いでしょう。

リバースモーゲージは確かに自宅を現金化する方法のひとつですが、落とし穴も多く後からトラブルになることや、思ってもいないリスクが表面化するため注意が必要です。実際に利用する場合、リバースモーゲージのデメリットやリスクについて金融機関や家族とよく話し合って決めるべきです。

まとめ

リバースモーゲージは自宅を担保にした融資制度の一種です。自宅を担保に現金化できるため、老後の生活資金の調達に役立つのではないかと注目されています。

その一方でリバースモーゲージには思わぬ落とし穴もたくさんあります。長生きしてしまうリスク・金利上昇リスク・融資枠減少のリスクさらには相続人とのトラブルの可能性まであります。リバースモーゲージを利用する際は各種機関と家族とリスクについてよく話あったうえで決め流ようにしましょう。

提供元・The Motley Fool Japan

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