近年ペットに対する「お金」のかけ方は、昔とは比べ物にならないほど高騰しており、5万円程のMRI検査に費用をかけるケースも珍しくなくなった。それら高額な医療費に備えるペット保険の契約件数も富士経済の調べによると、2015年も前年から10%ほどの伸びだ。そんなペット保険にいざ加入するときに気をつけるべき、選び方のポイントを紹介しよう。

ペットの死因第1位は病気、「がん」が最多

旭化成ホームズの調査によると、ペットの中でも犬、猫の死因は、老衰でも事故でもなく「病気」の割合(そのうち犬44%、猫47%)が最も多い。また、「病気」の中では犬猫ともに「ガン」が約30%と最も多いことからも、人間とあまり変わらないことが分かる。

「ペットは家族」という認識が当たり前になりつつある中で、病気に苦しむ家族をほうっておくことはできない。病院に行って治療をするにもお金はもとより、時間もかかるので、経済的・精神的な補てんの為に、ペット保険が普及するのも至極当然の事である。

ペット保険と一口にいっても、案外種類が多い。選ぶ上で注意しなくてはいけない3つのポイントを紹介する。

ポイント1 かかった費用の何%?「補償割合」

医療保険と言っても、人間の保険は生命保険会社が取り扱っているが、ペット(動物)の場合は、損害保険会社または、少額短期保険会社での加入になる。生命保険会社では現在取扱いはなく、ペットは定義上「もの」扱いなのである。

生命保険会社は「保障」、損害保険会社は「補償」と表記され、どちらも「ホショウ」と読むが、意味合いが少し異なる。「保障」は、「入院一日あたり○円支払う」「死亡時に○円支払う」事を保障し、「ある定義を保護し守ること」を意味する。対して「補償」は、「かかった費用の○%支払う」など、「損失を穴埋めすること」を意味する。

「入院一日あたり1万円」というような定義ではなく、「かかった費用の50%、または70%、100%」というような「補償」制度になっているのだ。当然、補償割合が多いほど、毎月の保険料も高くなる。現在取扱い各社を調べてみると、最も多いのが50%~70%で、項目ごとに、1日あたりや補償期間あたりの、上限額を設けているのが主流だ。

ポイント2 大きく変わる「年齢の差」

保険料の算出には、補償割合のほかに犬や猫の「種類」や「年齢」も関係してくる。
人間と違って、出生日や出身が定かでないのは想定の範囲で、保険会社は設計をしており、保険料が大きく変わるのは、種類よりも年齢である点は人間と同じだ。

歳を重ねるごとに保険料は加算されていくため、同じプランでも例えば、0歳の犬の場合1800円程の月額保険料が、10歳だと4600円程になる。犬は小型大型の差があるが、5倍以上のスピードで歳をとる。「来年あたり保険に入っておこう」と思った時、来年には5歳分、年齢をくっている計算になるため、加入を決めるのならば早めの方が良いだろう。

ポイント3 多頭、マイクロチップ……数ある「割引制度」

人間の保険同様、ペット保険にも割引制度がある。ここでは4つ紹介しよう。

1つ目は「多頭割引」だ。読んで字のごとく、複数匹のペットを同じ保険会社で加入する際に、2%~5%ほど保険料が割り引かれるものである。

2つ目は「インターネット割引」で、これは自動車保険などでおなじみの、ダイレクト申し込みの割引だ。ペット保険を検索してたどり着く人も多いと思うので、利用できるケースも多いだろう。

3つ目の「無事故割引」は損保会社特有のもので、1年間支払請求がなかった場合、翌年の保険料が割安になる制度だ。これは自動車保険をイメージしてもらうと分かりやすいだろう。

4つ目の「マイクロチップ割引」はペット保険特有のものだ。「動物ID普及推進会議(AIPO)」に登録されているマイクロチップを装着している犬・猫は、申し込み時に番号を記載しておくことで3%前後割り引かれる制度だ。マイクロチップは動物病院で入れてもらうのだが、注射器で入れるため通常のワクチン接種とあまり変わらない。費用は数千円から1万円ほどで、災害時や迷子になった時にも見つけてもらえるメリットがあるが、稀に副作用もあるため獣医に相談して決めるのがいいだろう。

動物の場合、病院にかかれば一旦支払いは全額負担し、後に民間の加入保険会社に請求をして、後日補償されるのが一般的だ。一部の保険会社では、「動物健康保険証」を発行し、人間と同じように窓口での負担が、補償割合の差額分だけの支払いで済むようなサービスもあるので、加入を検討している保険会社に確認する必要がある。

いつも癒してくれる可愛い家族と、支える人の経済的負担を考慮して、賢くペット保険を選ぶことが大切である。

文・佐々木 愛子(ファイナンシャルプランナー(AFP) 、証券外務員Ⅱ種、相続診断士)/ZUU online

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