クレジットカードの中には、学生向けに特化したクレジットカードや学生期間中の特典を用意しているものもある。未成年でも申し込めるのか、キャッシングはできるのか、そんな疑問に答えつつ、主な学生向けクレジットカードを7種類紹介する。

学生向けクレジットカードの申込資格者の範囲は?

クレジットカード会社が発行する学生向けクレジットカードは、一般的に18歳から30歳ほどの範囲内で加入資格を設定している。大学生や短期大学生、大学院生、専門学校生などが対象となっており、聴講生や科目履修生、語学学校生、予備学校生などの人には加入資格がないことが多い。

高校生は対象年齢であったとしても申し込むことができないが、一方で学生向けクレジットカードの中には社会人でも申し込みを行うことができるクレジットカードもある。

学生向けクレジットカードは一般のクレジットカードよりも、ショッピング枠やキャッシング枠を低く抑えているケースが多い。各社が発行する学生向けクレジットカードでは、最大でも30万円ほど、最低で10万円ほどに抑えられている。キャッシング枠についても各社の学生向けクレジットカードによって扱いが異なり、審査の結果キャッシング枠を利用できないケースも多い。

申込者が未成年の場合は親権者の同意が必ず必要になる。一方で20歳以上の場合は両親など保護者の署名はなくても申し込むことは可能で、法律上も特に問題はない。クレジットカードを申し込む場合には、銀行口座や銀行印、健康保険証や運転免許証、パスポートなどの身分証明書が必要となる。

(1)ポイント付与率2倍 三井住友カード デビュープラス

三井住友カード株式会社が発行する学生向けのクレジットカードは3種類。「三井住友カード デビュープラス」と「三井住友カード(学生)」、「ANAカード(学生)」だ。

このうち三井住友カード デビュープラスの特徴は、クレジットカード決済での全ての支払いに対してポイントが貯まるほか、通常0.5%のポイント付与率が2倍の1.0%になっていることだ。入会から3ヵ月間はポイント付与率が2.5%となることもあり、ポイントを貯めたい学生などに特に人気となっている。

このクレジットカードを利用して購入した商品の破損や盗難によって損害が出た場合は、購入日から90日間の期間で補償が行われる。補償金額の上限は100万円で、海外でのクレジットカード利用や、日本国内でのリボ払いと3回以上の分割払いのときに適用される。また、26歳以降にクレジットカードを更新する場合には「プライムゴールドカード」に自動で切り替えられ、ランクアップの恩恵を受けることができる。

利用初年度の年会費は無料で、2年目からはクレジットカードを1回以上利用していれば年会費1,250円(+税)が無料になる。ショッピング利用枠は10万円から30万円で、キャッシング利用枠は5万円までに設定されている。高校生を除く18歳から25歳の学生の人が入会資格を持つ。

(2)卒業旅行などでも安心 三井住友カード(学生)

前項で紹介した三井住友カード デビュープラスと三井住友カード(旧クラシックカード)の違いの一つに、三井住友カード(旧クラシックカード)の方には旅行傷害保険が付帯していることがある。

三井住友カード(旧クラシックカード)には「三井住友カード(学生)」と「三井住友カードA(学生)」の2種類があり、前者には最高2,000万円の海外旅行傷害保険、後者には最高2,500万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯される。そのため、大学の研修旅行や卒業旅行で海外へ行く場合にも安心との理由から、保護者からの支持も集めている。

任意で自転車保険に加入できることも、この学生向けクレジットカードの特徴の一つと言える。補償金額は最高100万円で適用には別途ハガキでの申し込みが必要となる。ショッピング補償は、三井住友カード デビュープラスと同様で最高100万円となる。

三井住友カード(学生)は在学中においては年会費無料で、三井住友カードA(学生)は年会費が250円(+税)。利用枠は三井住友カード デビュープラスと同様に10万円から30万円で、キャッシング利用枠も上限5万円に抑えられている。高校生を除く18歳以上の学生に入会資格がある。

(3)飛行機利用でマイルが貯まる ANAカード(学生)

三井住友カード株式会社が発行する3枚目の学生向けクレジットカードが「ANAカード(学生)」で、全日本空輸(ANA)のマイルが貯まりやすいことなどが特徴となっている。出身地から離れた場所にある大学に入学した学生の中には、帰省などで飛行機を頻繁に利用する人もいる。そんな学生にとって人気のクレジットカードとなっている。

ANAカードを使ってクレジットカード決済を行った場合、まず三井住友カードが導入しているポイントプログラム「Vポイント」でポイントを得られる。そのポイントでANAマイレージを貯めていく仕組みで、ANAカード(学生)での支払い金額の0.5~1.0%相当が貯まっていく。ポイントからマイルへの移行手数料は無料となっている。

ANAカードならではとも言える特典も利用できる。ANAスカイホリデーやANAハローツアーなどの利用料金が5%割引になるほか、機内販売も10%割引になる。

ANAカード(学生)には最高1,000万円の海外旅行傷害保険と最高1,000万円の国内航空傷害保険が付帯される。年会費は、在学中は無料。利用可能枠は三井住友カードが発行するほかの2種類の学生向けカードと同じだ。18歳以上の学生が入会でき、高校生は対象にならない。

(4)海外での買い物で5%キャッシュバック 学生専用ライフカード

ライフカード株式会社が発行する「学生専用ライフカード」も、学生向けクレジットカードの中ではよく知られた存在であると言える。在学期間中のみ最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯されているほか、学生専用の問い合わせ窓口を設けているなど、学生からの申し込み獲得に向けてサービス内容を充実させている。

海外でした買い物の利用金額のうち5%をキャッシュバックする特典もある。例えば海外でこのクレジットカードを使って、レンタカー代3万5,000円、お土産代2万5,000円、レストランでの飲食代1万5,000円の合計7万5,000円を支払った場合、総額の5%、3,750円がキャッシュバックされる。通常は利用月から3ヵ月程度でクレジットカードの登録口座にキャッシュバック分が振り込まれる。携帯電話の利用料金をクレジットカード決済にすると、Amazonギフト券が抽選で当たる特典も用意されている。

三井住友カード(旧クラシックカード)は卒業後も利用でき、年会費は実質永年無料となっている、利用枠は10万円から80万円で、うちキャッシング利用枠は10万円が上限。申し込み資格を持つ人は満18歳以上の方となっている。高校生は申し込みができない。

(5)楽天ポイントを3~5倍付与も 楽天カードアカデミー

楽天カードアカデミーは、楽天グループが提供するさまざまなサービスを利用したときのポイントが3~5倍になるなどの特典が付いた学生向けクレジットカードだ。

楽天ブックスでの本やDVDの支払い利用で最大5倍、楽天トラベルでの高速バス予約の支払い利用で3倍、楽天ダウンロードでの本購入などの支払い利用で3倍のポイントが付与される。海外旅行や留学などで滞在した海外での支払いでもポイントがつき、最高2,000万円の海外旅行傷害保険も無料でついてくる。また、スマホゲームやアプリ料金、携帯電話料金などの支払いにクレジットカードを使っても楽天ポイントが付く。

貯まったポイントは、楽天市場や楽天トラベル、楽天ブックス、楽天マートなど幅広いサービスで利用できるほか、電子マネーである楽天EdyやANAマイルと交換することも可能だ。

年会費は無料で、大学などを卒業した後は楽天カードへ自動で切り替えられる。入会できる対象は18歳から28歳の高校生を除く学生。利用限度額は20万円から30万円。

(6)入会から3ヵ月はポイント3倍 MUFGカードInitialカード

MUFGカード Initial(イニシャル)カードは、三菱UFJニコス株式会社が発行する学生向けのクレジットカードだ。

優待ポイントの加算プログラムが充実していることが一つの特徴で、支払い利用ごとに貯まる「MUFGカードグローバルポイント」ではポイントを商品やマイレージと交換ができるほか、「グローバルPLUS(イニシャル)」では入会から3ヵ月間はポイントが3倍になる特典がある。入会から5年後または卒業後にカードを更新する際には、自動で「MUFGカード・ゴールド」に切り替えられる。

最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯しており、在学中は年会費無料。18歳から29歳の学生に加入資格があるが、安定した収入がある社会人でも申し込みが可能となっている。社会人の場合は年会費1,250円(+税)で、初年度は年会費が無料となっている。学生の場合の利用可能額は最高10万円。

(7)搭乗実績次第でマイルボーナスも JALカードnavi(学生専用)

JALカードnaviも学生専用クレジットカードで、学生会員限定のボーナスマイル制度などを提供している。例えば、過去の搭乗回数などの実績などに応じてマイルがボーナスでもらえたり、対象となる外国語検定を受けて合格した場合にもマイルを獲得できたりする。

また、大学や専門学校などに在学している期間はマイルの有効期限が無期限となるほか、国内・国際線の特典航空券を最大60%オフでマイルで購入できる。学生向け以外のJALカードと同様、海外旅行保険や国内旅行傷害保険が付帯する。

年会費は無料で、高校生を除く18歳から30歳の学生に入会資格がある。利用限度額は10万円で、ほかの学生向けクレジットカードに比べて低く設定されている。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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