クレジットカードには、6つの代表的な国際ブランドがある。VISA、Mastercard、JCB、アメックス(アメリカン・エキスプレス)、ダイナースクラブ、中国銀聯だ。それぞれ、どんな特徴があるのだろうか? クレジットカードを選ぶ際の参考にしてもらいたい。

目次
1, 国際クレジットカードブランドの定義
2,6大国際ブランドの特徴を紹介
2-1,VISA――世界の決済インフラをになう国際ブランドの最大手
2-2,Mastercard――210を超える国や地域に加盟店網を持つクレジットカード
2-3,JCB――日本発の唯一の国際ブランドクレジットカード
2-4,アメリカン・エキスプレス(アメックス)――ステータスカードの代表的存在
2-5,ダイナースクラブ――特に高級店で本領を発揮するクレジットカードブランド
2-6,中国銀聯(ユニオンペイ)――中国に中長期滞在するなら必携の1枚
3,クレジットカードの選び方

1,国際ブランドのクレジットカードは世界中で使える

国際ブランドとは、世界中の国や地域で支払いに使えるクレジットカードのブランドのことだ。各ブランドは世界中に加盟店網を持っており、たとえばVISA加盟店ならVISAブランドのクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードで決済できる。

国際ブランド同士が提携して、互いの加盟店で決済できるようにするケースもある。たとえばオーストラリアやニュージーランド、カナダでは、アメックス(アメリカン・エキスプレス)加盟店でJCBブランドのカードを利用できる。

非国際ブランドとの違い 海外で使えるかどうか

「NICOSカード」「UCカード」「DCカード」などは、国際ブランドではないクレジットカードとしてそれぞれが加盟店網を持っている。しかし海外には加盟店がなく不便なため、国際ブランドと提携している。

たとえば「NICOSカード(一般カード)」は、VISAかMastercardから国際ブランドを選ぶことになり、カードフェイスには「NICOS」のロゴのほか「VISA」か「Mastercard」のロゴも入る。

国際ブランドは「決済カードブランド」と「T&Eカードブランド」に分類される

国際ブランドは、「決済カードブランド」と「T&Eカードブランド」に分けることができる。

端的に言うと、「決済カードブランド」は加盟店が多く決済機能が充実している。一方「T&E(トラベル&エンターテインメント)カードブランド」は、旅行(Travel)とエンターテインメント(Entertainment)関連のサービスが充実している。

ブランド種別 ブランド名 プロパー(自社)
カード発行
決済カードブランド VISA なし
Mastercard
JCB あり
中国銀聯
T&Eカードブランド アメリカン・エキスプレス
ダイナースクラブ

一般的にVISAやMastercard、JCB、中国銀聯が前者にあたり、アメックスやダイナースクラブが後者にあたると考えられている(JCBを後者に分類することもある)。プロパーカード(自社発行カード)を発行しているのは、JCB、中国銀聯、アメックス、ダイナースクラブで、VISAとMastercardは自社カードを発行せず、決済インフラとライセンスのみを提供している。

クレジットカードを選ぶ際は、このような分類があることを知っておくと、より自分に合うカードを選ぶことができるだろう。

2,6大国際クレジットカードブランドの特徴を紹介

VISAとMastercardの違いや歴史、グレードなど まずは、6大国際ブランドのシェアなどを整理しておこう。

国際ブランド名 運営会社名 本社所在地 実質発足年 決済数
シェア
カード数
シェア
VISA Visa Inc アメリカ
カリフォルニア州
1958年 44.84% 24.77%
Mastercard Mastercard
Incorporated
アメリカ
ニューヨーク
1966年 24.46% 15.33%
JCB ジェーシービー 日本
東京都
1961年 1.04% 0.96%
アメリカン・
エキスプレス
American
Express
Company
アメリカ
ニューヨーク
1958年 2.26% 0.86%
ダイナースクラブ Diners Club
International
アメリカ
シカゴ
1950年 0.74%
(*)
0.48%
(*)
中国銀聯 UnionPay
International
中国
上海
2002年 26.66% 57.60%

(決済数シェアとカード数シェアは2018年度・THE NILSON REPORT調べ)
(*:Discoverブランドのカードを含む)

最も古い国際クレジットカードブランドはダイナースクラブで、最も新しいのは中国銀聯だ。世界のクレジットカード利用決済数の44.84%はVISAが占めており、圧倒的なシェアを誇っている。一方で2002年に発足した中国銀聯は、中国圏を中心にカード数シェアを伸ばし、決済数でも急激な伸びを示している。

次からは、各国際ブランドの特徴を解説する。

2-1,VISA――世界の決済インフラをになう国際ブランドの最大手

(写真=Theethawat Bootmata/Shutterstock.com)

「VISA」は自社カードを発行しておらず、多くのカード発行会社へグローバル決済の仕組みを提供している。

200以上の国と地域に加盟店を持ち、現在利用されているVISAブランドのカードは34億枚(2019年3月末時点)で、全世界のカード決済数の45%(2018年度・THE NILSON REPORT調べ)を占めるカードブランドだ。クレジットカードの券面に「VISA」のロゴマークがあれば、そのカードは世界中のVISA加盟店で利用できる。

VISAの歴史は、1958年にバンク・オブ・アメリカが消費者向けクレジットカード「BankAmericard」を発行したことに始まる。1976年にカードの名称を「VISA」に変え、2007年には世界各国の事業を統合し、グローバル企業としてのVISAを発足した。

VISAのカードのグレードは、

一般カード
ゴールドカード
プラチナカード
Infiniteカード

の順でランクアップする。加盟店が多いため、海外旅行でクレジットカードを使いたい人に向くブランドと言えるだろう。

【VISAブランドのおすすめカード】

エポスカード 楽天カード dカード
年会費 無料 年会費 無料 年会費 無料
還元率
(通常時)
0.5% 還元率
(通常時)
1.0% 還元率
(通常時)
1.0%
特徴 年会費無料で保険が充実 特徴 ポイントがザクザク貯まる 特徴 どこでも1%ポイント還元
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2-2,Mastercard――210を超える国や地域に加盟店網を持つクレジットカード

(写真=Bilanol/Shutterstock.com)

「Mastercard」は、210を超える国や地域で利用できる。決済関連のレポートで有名な「THE NILSON REPORT」によると、世界のカード決済数のシェアはVISAが45%、Mastercardが24%。この2大ブランドだけで、世界シェアのおよそ7割を占めていることになる。

Mastercardの前身は、ショッピング決済の仕組みとして1966年に発足したインターバンク・カード・アソシエーション(ICA)。1968年にはメキシコやヨーロッパ、日本の金融機関も加盟し、1970年代後半にはさらにネットワークを広げ、名称を「Mastercard International」に変更した。

2002年にはヨーロッパのEuropay(ユーロペイ)と合併し非公開株式会社となった後、ニューヨーク証券取引所に新規上場している。その後も、各国の決済サービス企業を買収して拡大を続けている。

Mastercardブランドでは、

スタンダード
ゴールド
チタン
プラチナ
ワールド
ワールドエリート

の6つのグレードが用意されている。MastercardもVISAと同じく加盟店が多いため、日本はもちろん海外旅行でもクレジットカードを使いたい人に向くブランドだ。

【MasterCardブランドのおすすめカード】

楽天カード 三井住友カード dカード
年会費 無料 年会費 永年無料
キャンペーン中
(4月30日まで)
年会費 無料
還元率
(通常時)
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(通常時)
0.5% 還元率
(通常時)
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2-3,JCB――日本発の唯一の国際ブランドクレジットカード

(写真=TungCheung/Shutterstock.com)

「JCB(株式会社ジェーシービー)」は、1961年に株式会社日本クレジットビューローとして設立された。その英語表記の頭文字をとって、「JCB」と呼ばれるようになった。同年、日本初の汎用型クレジットカード(店舗を限定せず幅広く使えるクレジットカード)の発行を開始し、1972年には会員数が100万人を突破した。1981年には、クレジットカードの国際ブランドとして海外展開を開始する。

JCBブランドのクレジットカードの特徴は、日本人が観光で訪れることの多い世界32の主要都市に設置された「JCBプラザ」と、世界9都市に設置された「JCBプラザラウンジ」を利用できることだ。

JCBのポイントサービスについても触れておこう。JCBブランドと提携する他社発行のカードは、それぞれのカード会社のポイントサービスが適用される。一方JCB自体が発行するカード(プロパーカード)でクレジット支払いをすると、OkiDokiポイントというJCB独自のポイントが1,000円の利用ごとに1ポイント貯まる。

JCB自体が発行する主なカードとその年会費は、以下のとおりだ。

  • JCB一般カード(年会費1,250円・税別)
  • JCBゴールド(年会費1万円・税別)
  • JCBゴールド ザ プレミア(年会費1万5,000円・税別、ゴールド保有者で一定の条件を満たした人が招待される)
  • JCBプラチナ(年会費2万5,000円・税別)
  • JCBザ・クラス(公式サイトに年会費の記載なし)

    カードのステータスはこの順で高くなり、JCB「ザ・クラス」はいわゆるブラックカードにあたるものと考えていいだろう。

    日本唯一の国際ブランドということもあり、どのカードも国内利用における特典・サービスが充実している。国内利用がメインの人は、ぜひ1枚持っておきたいブランドだ。

    【JCBブランドのおすすめカード】

JCB CARD W 楽天カード ビックカメラSuicaカード
ビューカード
年会費 無料 年会費 無料 年会費 524円
(初年度無料)
還元率
(通常時)
1.0% 還元率
(通常時)
1.0% 還元率
(通常時)
1.0%
特徴 年会費無料でポイント2倍 特徴 ポイントがザクザク貯まる 特徴 前年カード利用で翌年以降も年会費無料
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2-4,アメリカン・エキスプレス(アメックス)――ステータスカードの代表的存在

(写真=Nada Sertic/Shutterstock.com)

1850年にニューヨークで運送業として発足した「アメリカン・エキスプレス」は、その後送金為替業務を始める。世界で初めてトラベラーズチェック(旅行小切手)を発行したことでも有名だ。1958年には米国とカナダ、1980年には日本でもクレジットカードを発行。社名とカード名の「エキスプレス(急行列車)」は、運送業として創業したことのなごりだ。

アメリカン・エキスプレスはダイナースクラブと並び、富裕層向けのステータスカードとして知られている。特にプロパーカード(アメックス自体が発行するカード)は、一般カードであっても他社ゴールドカードに匹敵するサービス内容だ。具体的な内容についても少し触れておこう。

アメックスのプロパーカードで一般カードにあたるのは、「アメリカン・エキスプレス・カード」(カードフェイスの色からアメックス・グリーンと通称される)。これには、

  • 最高5,000万円の国内・海外旅行傷害保険
  • 国内28空港・海外1空港の空港ラウンジ無料利用
  • 国内外1,400ヵ所以上の空港VIPラウンジを1回35米ドルで利用できる「プライオリティ・パス」の年会費無料登録

    などの特典が付帯する。

    アメリカン・エキスプレスとダイナースクラブのプロパーカードは、どちらも利用限度額に一定の制限が設けられていない。自分の収入に見合っていれば、基本的には限度額を気にせず使えるということになる。

    グレードは、

  • アメリカン・エキスプレス・カード(月会費1,100円・税込)
  • アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード(年会費3万1,900円・税込)
  • プラチナ・カード(年会費16万5,000円・税込)
  • センチュリオン・カード(公式サイトに記載なし)

    の順に高くなっていく。

    アメックスのクレジットカードには旅行関係の特典・サービスが付帯するものが多いので、海外旅行の多い人に向いている。ただし加盟店が比較的少ないので、特に海外旅行ではVISAかMastercardブランドのカードも併用したほうがいいだろう。

券種 グリーン ゴールド
券面 AMEXグリーン.png AMEXゴールド.png
還元率 0.33〜1.5%※1
年会費
(税込)
1100円 3万
9600円
国内旅行
傷害保険
最高
5,000
万円
最高
5,000
万円
海外旅行
傷害保険
最高
5,000
万円
最高
1億円
空港
ラウンジ
同伴者有料 28空港39ヶ所
同伴者1名無料
プライオ
リティ
パス
利用料
1回35米ドル
利用料
年2回無料
特徴 - 高級レストラン
のコース料理
が1名分無料
公式
サイト
詳細は
こちら
詳細は
こちら
※1:年3300円(税込)の「メンバーシップ・リワード・プラス」加入、ポイントをマイルに交換した場合。

券種 グリーン ゴールド
券面 AMEXグリーン.png AMEXゴールド.png
還元率 0.33〜1.5%※1
年会費
(税込)
1100円 3万
9600円
国内旅行
傷害保険
最高
5,000
万円
最高
5,000
万円
海外旅行
傷害保険
最高
5,000
万円
最高
1億円
空港
ラウンジ
同伴者有料 28空港39ヶ所
同伴者1名無料
プライオ
リティ
パス
利用料
1回32ドル
利用料
年2回無料
特徴 - ・高級レストランのコース料理
が1名分無料
・旅行傷害保険やキャンセル
プロテクションなど、手厚
い保険が付帯
公式
サイト
詳細はこちら 詳細はこちら
※1:年3300円(税込)の「メンバーシップ・リワード・プラス」加入、ポイントをマイルに交換した場合。

2-5,ダイナースクラブカード――特に高級店で本領を発揮するクレジットカードブランド

(写真=Casper1774 Studio/Shutterstock.com)

「ダイナースクラブカード」は、1950年にアメリカで創業した。1960年、ダイナースクラブカードを発行する日本ダイナースクラブが設立され、日本初のクレジットカード会社となった。

「チャージカード(翌月一括払い専用カード)」に分類されるクレジットカードで、その性質上利用金額には一律の制限が設定されていない。支払い能力があると認められた人にカードが発行されるため、プロパーカードに関しては持っているだけでステータスになると言われている。

プロパーカードのグレードは、

  • ダイナースクラブカード(年会費2万2,000円・税抜)
  • ダイナースクラブ プレミアムカード(年会費13万円・税抜※招待制)

    で、年会費は他社ゴールドカードやプラチナカード並みに高額だ。これも、そのステータスゆえということになるだろう。

    ダイナースクラブカードにも、さまざまな特典が付帯する。特筆すべきは、グルメ関係の特典だ。カード名にある「ダイナース」とは「食事をする人」という意味で、グルメ関連の特典こそがこのカードの真骨頂と言える。通常は予約が難しい高級料亭を予約できたり、国内レストランでさまざまな優待を受けられたりする。

    その特徴から、ぜいたくにグルメを楽しみたい人に向くカードと言えるだろう。アメックス同様、加盟店が比較的少ないので、特に海外旅行ではVISAかMastercardブランドのクレジットカードを併用したい。

2-6,中国銀聯(ユニオンペイ)――中国に中・長期滞在するなら必携の1枚

(写真=TY Lim)

「中国銀聯(ユニオンペイ)」は中国中央銀行の主導で作られた国際ブランドで、発行されているカードの9割はデビットカードであることが特徴だ。

中国では、銀行口座を作ると必ず中国銀聯のデビットカードが発行される。国際ブランド付きのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードの総数では、中国銀聯のシェアは58%で世界トップだ。

カード決済数のシェアは27%に留まるが、それでもVISAに続く世界2位(2018年度・THE NILSON REPORT調べ)。発行枚数の伸びも著しく、2020年1月現在では銀聯カードの総発行枚数は80億枚を超え、うち中国以外で1.3億枚。世界176の国と地域で利用できる。

中国銀聯は2002年に銀行間決済ネットワーク運営会社として設立され、VISA、Mastercard、JCBなどの国際ブランドと提携。日本では2005年末にサービスが開始され、今では多くの店舗のレジで「VISA」や「Mastercard」と一緒に「銀聯」のロゴも見られるようになった。

特に中国では非常に便利なので、中国に中長期の出張や留学をする人は必携の1枚となるだろう。日本では、MUFGカードや三井住友カードなどが銀聯ブランドのカードを発行している。

3,どのブランドを選ぶかはカード発行会社との掛け合わせを考える

クレジットカードの国際ブランドを紹介し、その特徴を解説してきた。国際ブランドからライセンス提供を受けているクレジットカードの多くは、そのカード発行会社自体が提供する特典・サービスも利用できる。したがって国際ブランドだけでなく、発行会社も考慮してカードを選ぶことをおすすめする。

クレジットカードを複数枚持つ場合は、国内に強いJCBと海外に強いVISAを併用するといった工夫をしたい。併用を考える際も、各国際ブランドの特徴を知っておくと役に立つはずだ。

執筆・モリソウイチロウ

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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