コロナ禍で勤務先や年収などに対する先行き不安が高まり、マイホーム計画を断念する人がいる。だが、それではいつまでたってもマイホームを手に入れられなくなる可能性がある。こんな時代であっても、基本に忠実に周到な計画を立てて購入すれば問題はない。

コロナ禍の先行き不安で住宅購入計画を先送りする人がいる

リクルート住まいカンパニーの調査では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、マイホーム計画が「抑制された」とする人が36%に達した。しかし、逆に「促進された」という人も22%いる。

同じ現実に直面しても対応はさまざまだが、できることならどんな事態に遭遇しても前向きに取り組む姿勢を持っておきたい。確かに厳しい経済環境ではあるが、基本に忠実に資金計画を立てれば、無理なくマイホームを取得できる。

絶対に失敗しない家の買い方4ヵ条

住宅購入で失敗しないためには、以下の4ヵ条を厳守しよう。

1.年収や自己資金(頭金)に応じた安全な購入価格を見極める

住宅購入のための頭金は最低でも1割、できれば2割は用意したい。2割以上あれば、住宅ローンの最優遇金利の適用を受けやすくなるといったメリットもある。

自己資金比率を2割だとすれば、頭金500万円なら2,500万円が、頭金1,000万円なら5,000万円が住宅の購入限度額になる。年収700万円以上の比較的年収の高い人なら頭金1割でも問題ないだろうから、その場合は、頭金500万円で5,000万円まで、頭金1,000万であれば、1億円の住宅にも手が届く計算だ。

2.万一に備えて半年分の生活費はプールしておく

ただし、手持ち資金の全額を頭金として使ってはならない。住宅購入の際は頭金のほかに、税金や各種手数料などの諸費用も準備しておく必要があるからだ。

住宅購入後の万一への備えも欠かせない。病気やケガといったリスクのほか、コロナ禍で減収や失業などのリスクも高まっているため、収入が途絶えとしても半年程度は生活していけるだけの資金をプールしておこう。半年あれば、対策を講じることができるはずだ。

3.家計状況に合わせた返済負担率の判断

年収に占める年間の住宅ローン返済額の割合を示す「返済負担率」も重要な指標だ。銀行の住宅ローン審査では、世帯年収が400万円以上なら返済負担率は35%が一般的だが、現実の生活を考えると、年収500万円前後の人は25%程度に抑えておきたい。年収が700万~800万円なら返済負担率が30%程度でも問題ないかもしれないが、それも家族構成などによる。

例えば、年収800万円で子どものいない共働きなら、住宅ローン審査基準上限の35%でもいいかもしれない。一方、年収800万円でも子どもの教育費や食費などがかかる子育て世帯なら、返済負担率は30%程度に抑えておくのがいいだろう。

4.不安な時代だからこそ金利は安心の全期間固定金利型を

住宅ローンには、3つの金利タイプがある。金利水準は低いが借入後の金利上昇によって返済額が増えるリスクのある変動金利型、一定期間の金利が固定している固定期間選択型、完済まで金利が変わらない全期間固定金利型だ。

金利の低さなら変動金利型だが、コロナ禍で何かと不安定な状況では、多少金利が高くなっても、返済額が増えるリスクのない全期間固定金利型が安心だろう。

思い切って飛び込まないと一生家を持てない

上記の4ヵ条を守って堅実な資金計画を立てておけば、コロナ禍の厳しい状況でもマイホームの取得は難しくないはずだ。悲観的になってためらっていると、いつまでたってもマイホームは手に入らず、生涯家を持てなくなるだろう。

人生には、思い切って清水の舞台から飛び込むぐらいの勇気が必要なときもある。コロナ禍の今が、その時かもしれない。

 

山下和之
執筆・山下和之
住宅ジャーナリスト。1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などの著書がある。
住宅ジャーナリスト。1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などの著書がある。

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