「楽天銀行カード」は「楽天カード」と楽天銀行キャッシュカードが一体になったクレジットカードがある。「楽天カード」とは何が違うのだろうか?共通する点、異なる点について、個人向け「楽天銀行カード」のメリットとデメリットを交えて詳しく紹介しよう。

目次
1,カードの基本スペックと審査基準
2,楽天銀行カードと楽天カードとの違い
3,楽天銀行カードの3つのメリット
4,楽天銀行カードのポイント還元率は?
5,楽天銀行カードの3つのデメリット
6,楽天銀行カードはどんな人におすすめ?

1,カードの基本スペックと審査基準――キャッシュカード一体型クレジットカード

「楽天銀行カード」は、「楽天カード」と楽天銀行キャッシュカードが一体になったクレジットカード。ただし、一体といっても「楽天カード」のすべての機能が備わっているわけではないので、申込みの際には忘れずに確認をしておきたい。

まずは、「楽天銀行カード」の基本スペックから紹介しよう。

楽天銀行カードの基本スペック

国際ブランド JCB
年会費 無料
ポイントサービス 楽天ポイント
通常ポイント還元率 1%
ポイント交換対象 楽天グループのサービスの支払いに充当
楽天Edy
ANAマイル等
空港ラウンジサービス なし
付帯保険 海外旅行傷害保険(利用付帯)
追加カード ETCカード
電子マネー 【Apple Pay・Google Pay経由】
QUICPay※
※個人向けカードの場合

 

キャシュカード一体型ということで、クレジットカードの有効期限が切れるとキャッシュカードも利用できなくなってしまうので注意したい。カードの有効期限は、会員の4回目の誕生月の末日、学生は卒業予定年度の11月末日となる。更新カードの郵送時、登録情報に相違があると更新カードが届かず強制退会になる。

審査基準・審査難易度は年収100万円が目安

「楽天カード」は、口コミ情報から審査通過の目安が年収100万円以上と推測されているため、同じランクのカードとなる「楽天銀行カード」も同様と考えていいだろう。ただし、年齢が上がると年収条件も多少上がるのが一般的だ。勤続年数については短くても1年以上はあったほうがいいといわれている。

2,楽天カードとの違いは?同時に持つことはできない

「楽天カード」と「楽天銀行カード」は、同時に持つことができない。すでに「楽天カード」を持っている人が「楽天銀行カード」を作る場合は、楽天カードのネットサービス「e-NAVI」のメニューで「カードの追加・切り替え」を選び、そこから申し込むことになる。

「楽天銀行カード」は、基本的には「楽天カード」に楽天銀行のキャッシュカード機能が備わったものと考えていいが、「楽天カード」にあって「楽天銀行カード」にはない機能がある。ここで、2つのカードのスペックを確認しておこう。

楽天銀行カードと楽天カードのスペック比較

楽天銀行カード 楽天銀行カード
国際ブランド VISA
Mastercard
JCB
アメリカン・エキスプレス
JCB
年会費 無料 無料
楽天Edy機能 あり
※機能なしも選択可
楽天ポイントカード機能
楽天ETCカード
家族カード
旅行傷害保険 海外旅行傷害保険
(利用付帯)
海外旅行傷害保険
(利用付帯)

違い1,楽天Edy、楽天ポイントカード機能が付帯しない

大きな違いは、「楽天銀行カード」には楽天Edy機能と楽天ポイントカード機能がないことだ。「楽天カード」から「楽天銀行カード」に切り替えた場合、カード搭載の楽天Edyにチャージができなくなり、払い戻しもできない。よって、カードを破棄する前に残高を使い切らなければならない。

違い2,家族カードがない

キャッシュカード一体型という性質上、家族カードも発行されない。カードを切り替えた場合は、旧カードに紐づいた家族カードとETCカードは利用できなくなる。「楽天銀行カード」では家族カードを作れないがETCカードは作れるので、必要なら申し込む際に同時に申し込めばいい。

違い3,引き落とし口座は楽天銀行口座限定

楽天カードでは引き落とし口座を主要金融機関に設定できるが、楽天銀行カードの利用代金の決済口座は楽天銀行の口座に限定される。

楽天銀行を解約した場合、「楽天銀行カード」はクレジット機能も含めて利用できなくなる。楽天カードとの違いを説明したところで、このカードの3つのメリットを紹介していこう。

3,楽天銀行カードの3つのメリット――楽天銀行特典、優待、付帯保険

このカードのメリットを、以下の3つに集約して紹介しよう。

メリット1,楽天銀行を便利でお得に利用できる機能・特典

「楽天銀行カード」には、楽天銀行を便利でお得に使える機能・特典がある。

・特徴1,クレジットカードとキャッシュカードが一体

「楽天銀行カード」はクレジットカードと楽天銀行キャッシュカードの機能を備えており、利用時にはATMに挿入する向きが変わる。券面を正面から見て、左方向に挿入するとクレジットカード(クレジット利用/キャッシング利用)、あるいはICキャッシュカードとして利用でき、右方向に挿入するとIC非対応ATMでキャッシュカードとして利用できる。

暗証番号はそれぞれの機能で設定するため、クレジットカード用とキャッシュカード用の2種類の暗証番号を利用することになる。券面にはエンボス加工されたクレジットカード番号のほか、銀行口座番号も印字されている。

・特徴2,条件クリアで普通預金金利が2倍に

カード利用代金の引き落としがあると、その翌月の普通預金金利が優遇されて2倍になり、年率換算では0.02%(税引後、年0.015%)から年0.04%(税引後、年0.031%)になる。これは、大手銀行の金利の40倍だ。

ただし「普通金利2倍」は「楽天カード」にも適用される特典であり、「楽天銀行カード」独自のものではない。

メリット2,楽天・JCBの共通海外トラベルサービス・優待が提供される

発行元である楽天カード、国際ブランドであるJCBの共通サービスとして、海外旅行で便利な各種のサービス・優待を利用できる。主なサービスを紹介しよう。

・楽天カード共通のトラベルサービス

サービス名 内容
WiFiレンタル優待 海外用WiFiレンタル20%オフ
海外レンタカー優待 ハーツレンタカーの事前予約割引料金からさらに10%オフ
手荷物宅配優待 空港-指定場所間の宅配料金が最大で300円オフ
防寒具一時預かり優待 1着10%オフ
楽天カード
ワイキキラウンジ
「Tギャラリア ハワイ by DFS」内の専用ラウンジが無料
楽天カード
アラモアナラウンジ
「アラモアナセンター」内の専用ラウンジが無料

・JCB共通のトラベルサービス

サービス名 内容
JCBプラザ/
プラザ ラウンジ
世界各地の主要都市に設置されたJCBの海外窓口
「JCBプラザ」で、観光情報案内、レストラン・
オプショナルツアーの予約、カードの紛失・
盗難時対応、当日中の荷物一時預かり
サービスなどが提供される。
「JCBプラザ ラウンジ」ではそれに加え、
ドリンクサービス、マッサージ機、レンタル傘
サービスなども提供される
JCBプラザコールセンター
(日本)
海外渡航前に、現地JCB加盟店のレストラン・
エステなどを電話で
予約手配できる無料サービス
たびらば(旅LOVER) ウェブサイトやスマホアプリで、海外JCB加盟店の
優待情報を確認でき、人気レストランの
予約機能なども利用できる
「ワイキキ・トロリー」
乗車賃無料
ワイキキとアラモアナ間の
シャトルバスの乗車賃が無料に。
対象はカード会員本人と、その家族の大人1名・
子ども2名(11歳以下)
JCB空港優待ガイド 国内主要国際空港内のJCB優待店を
まとめたオリジナルガイド
JCB GLOBAL WiFi 海外用WiFiルーターレンタルサービスが優待価格
海外レンタカーサービス 海外の代表的レンタカー会社が5~25%オフ
高品質スーツケース
格安レンタル
人気ブランドスーツケース
(RIMOWA・Samsonite・Protecaなど)
7,000台以上から格安でレンタル

年会費無料で多くの優待・サービスが提供されるので、旅行の際はこのカードが活躍してくれるはずだ。

メリット3,最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯

このカードには、最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯する。保険は旅行代金をクレジット払いした場合のみ付帯する(利用付帯)が、年会費無料であることを考えると十分な内容と言えるだろう。

海外旅行傷害保険(利用付帯)

補償内容 保険金額
(傷害)死亡・後遺障害 最高2,000万円
傷害治療費用 最高200万円
疾病治療費用 最高200万円
賠償責任 最高2,000万円
携帯品損害 最高20万円
(免責金額3,000円)
救援者費用 最高200万円

この他、

  • 盗難されたカードが不正利用された場合に損害額を補償する「盗難補償」
  • ネットショッピングが関係する不正利用の損害を補償する「ネット不正あんしん制度」
  • 楽天市場で商品未着や、店舗と連絡が取れなくなった場合に請求を取り消す「商品未着あんしん制度」

など、安心してカードを使える仕組みが備わっている。

4,楽天銀行カードのポイント還元率は?――楽天市場で4%還元

ポイントサービスに関しては、楽天カードと同様のプログラムだ。

楽天ポイントの通常還元率は1%

貯まるポイントは、楽天グループのさまざまなサービスで使える「楽天ポイント」。クレジット払い100円ごとに1ポイント(1円相当)が付与される。ポイント還元率は1%。

有効期限は、最後にポイント獲得した月を含めた1年間。ただし、有効期間内に一度でもポイントを獲得すると、すべてのポイントの有効期限がそこから1年間延長される(ポイント倍付けやキャンペーンなどで獲得した期間限定ポイントを除く)。日常的にカードを使っていれば、実質的に無期限と考えていいだろう。

ポイントの使い道は楽天での支払い充当が一般的!ANAマイルにも交換できる

「楽天ポイント」は楽天のパンダグッズに交換できるほか、1ポイント→1円として楽天グループの各種サービスの支払いに充当したり、楽天Edyにチャージしたりすることもできる。

また、50ポイント以上2ポイント単位で、2ポイント→1マイルのレートでANAマイルに交換することもできる。

ポイント還元率を上げる3つの方法

「楽天カード」には、楽天グループで利用するとポイント還元率が上がる仕組みがいくつかある。これは、「楽天銀行カード」も同様だ。

・方法1,楽天市場でポイント4倍

楽天市場でカードを利用すると、ポイント還元率が4%になる。その内訳は、以下のとおりだ。

  • クレジット利用ポイントが1%分
  • 楽天カード利用ポイントが1%分
  • 楽天市場の通常ポイントが1%分
  • 楽天カードの利用代金引落口座を楽天銀行にしていることによる特典ポイントが1%分

・方法2,「楽天市場アプリ」の利用で0.5%のポイント付与

楽天市場で買い物をする際にスマホの「楽天市場アプリ」を使うと、0.5%分のポイントが付与される。

方法1と方法2により、楽天市場では4.5%の超高還元率が実現する。

・方法3,「ハッピープログラム」へのエントリーでポイント3倍

楽天銀行の優遇プログラム「ハッピープレゼント」にエントリーすると、楽天銀行の入金や出金、振込などによって得られるポイントが3倍になる。例えば楽天カード利用代金の引落では、引落のたびに9ポイントが付与される。

5,楽天銀行カードの3つのデメリット――国際ブランド、カード搭載機能、ETCカード

クレジットカードを作る前にはメリットだけでなく、デメリットも確認しておきたい。「楽天銀行カード」は年会費無料ということもあり、金銭的な損失は発生しないが、不便を感じることもある。

デメリット1,国際ブランドがJCBのみ

国際ブランドとしてのJCBは日本国内の加盟店は多く、利用上の問題はあまり生じない。しかし、海外ではVISAやMasterCardと比べて加盟店が少なく、カードを使おうとして使えないこともあるだろう。北米ではディスカバーカードとの提携で730万店以上で利用できるようになっているが、それでもなお、海外旅行時にJCBのカードのみでは心もとない。

デメリット2,楽天Edy機能、楽天ポイントカード機能がない

「楽天カード」と違い、楽天Edy機能と楽天ポイントカード機能がない。利用するためには別途申し込みが必要となるため、手間だ。

デメリット3,ETCカードが有料

ETCカードは年会費550円(税込)となる。昨今ではETC無料のクレジットカードが多い中、余分なコストがかかってしまう印象がある。

楽天ポイントクラブの会員ランクが「ダイヤモンド会員」「プラチナ会員」の場合は無料になる。楽天グループでの利用が多い人にとっては、あまり気にならないだろう。

6,楽天銀行カードはどんな人におすすめ?財布を少しでも薄くしたいなら

ここまで見てきたように、「楽天銀行カード」は「楽天カード」から一部の機能がそぎ落とされた形となっている。

「楽天銀行カード」のメリットといえる楽天市場でのポイント還元率4%に関しては、「楽天カード」の利用代金引落口座を楽天銀行にすれば4%還元を実現できる。普通預金金利が2倍になる特典に関しても「楽天カード」も適用される。

以上のことから、「楽天銀行カード」はクレジットカードとキャッシュカードを1枚にまとめて、財布を少しでも薄くしたい人にだけおすすめできるカードということになるだろう。特に楽天銀行をメインバンクにしている人なら、カードを持ち歩く機会も多いはずなので、十分検討する価値があるはずだ。

 

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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