「中高年よりもミレニアル世代のほうが、老後の貯蓄に自信をもっている」

現在30~40代のミレニアル世代は、上の世代よりも経済的に恵まれていないと各種調査でも指摘されていた。しかし将来には楽観的であるようだ。

これはチャールズ・シュワブの調査から分かったもの。

確定拠出型年金「401kプラン」の利用者500人のうち、「(401kプラン)の資産運用判断に非常に自信がある」と答えたミレニアル世代は64%であるのに対し、X世代(1960~70代生まれ)は47%、ベビーブーマー世代(1946~64年生まれ)は39%と、高齢になるほど自信が弱まっていく。

学費の高騰で過去最大の学資ローン(1.3兆ドル)をかかえているといわれる若年層が、最も老後の貯蓄に自信がある―という意外な結果だ。その反面、株式市場への投資などには消極的だと指摘されている。

「老後の貯蓄」が経済面での最大の不安材料

調査はシュワブの年金制度サービス部門が 実施したもの。2016年の1000人を対象とした調査では、 実施されたすべての年齢層(25~70歳)を通して、経済面での最大の不安は「老後の貯蓄(40%)」と回答している。「雇用保障(24%)」や「カード負債の返済(21%)」「毎月の支出(20%)」のほぼ2倍と、かなり深刻にとらえている。

約半分(49%)が「定年までに十分なお金を貯めるのは不可能」と感じている反面、半分以上(57%)が「正確にいくら貯金したら十分か把握していない」。

2017年の調査では 、ミレニアル世代の86%が「401kプラン」の必要性を強く感じている。ベビーブーマー世代、X世代も「401kプラン」の必要性は感じているものの、ミレニアル世代ほどの執着心は見られない。

この温度差は世代間の経済力に根差すものと推測される。ミレニアル世代の多くがまだ家も世帯ももっておらず、「401kプラン」を老後の唯一の収入源と見ているのに対し、上の世代は家も家族もほかの年金プランも所有している割合が高い。つまり高齢層はミレニアル世代より経済的に余裕のある人が多いため、経済的な懸念も薄いものと解釈できる。

ミレニアル世代の3割以上が、余ったお金を貯蓄に回している

実際、ミレニアル世代の3分の1(35%)が、「経済的な不安が仕事の業績に反映したことがある」と答えている。ベビーブーマー世代(24%)、X世代も(11%)よりはるかに多い。24%が「学資ローンの返済」を経済的ストレスの原因として挙げているが、80%が「家賃や光熱費などの支払いを延滞したことはない」「毎月いくらかお金が手元に残る」など、金銭管理に長けている。

余ったお金を「401kプラン」など老後の貯蓄プランの運用に回している割合はミレニアル世代が最も高く(34%)、ベビーブーマー世代(8%)の4倍以上、X世代(20%)1.4倍である。

ミレニアル世代の貯蓄に堅実な一面は、「401kプラン」の手数料にも注意を払っている点にも反映されている。約半分が「手数料はプランを選ぶ決め手のひとつになる」と重視している。

「老後に重要なのはお金より健康」という女性はわずか3割

同じミレニアル世代でも男女によって、老後の貯蓄への考え方には差がでるようだ。チャールズ・シュワブが25 ~35歳の回答者に焦点を当てて行った調査 では、288人のうち男性46%、女性70%が「老後に十分なお金があるかどうか非常に心配」と回答。「老後に重要なのはお金より健康」という質問では、男性54%、女性30%とさらに大きく差が開いた。

現時点における経済力や健康への自信は、男女ともに70~80%前後とそれほど大差はないものの、年金という長期的な人生プランを見直した際、女性は経済的に自分の老後を支えていく自信に欠けるようだ。男性の1.5倍に値する33%の女性が「70歳になっても働いていると思う」と答えている。

実際、「老後のために十分な貯金をしている」自信があるのは、男性55%、女性42%。「401kプラン」のような資産運用に関しては、自分で運用するという事実自体に多大なストレスを感じる女性も多い(42%)。「もっと簡単な運用法」を求めている割合は、女性(79%)の方が男性(59%)よりもはるかに多い。

老後の貯蓄以外の資産運用には消極的?

ミレニアル世代が老後の貯蓄に対して賢明かつ積極的であることは分かったが、年金貯蓄以外の資産運用となるとかなり慎重だ。ウェルズ・ファーゴが2017年に行った調査では53%が「株式市場への投資には自信がない」、20%が「将来的にも投資する気はない」と答えており、同様の傾向はほかの調査結果にも見られる。

通常の投資への消極性は、「多感な時期に前経済危機を目の当たりにしたことが影響している」との見方も多い。ウェルズ・ファーゴの調査では、ミレニアル世代の回答者の41%が「前経済危機のトラウマで投資を減らした」ことなども分かっている。

リスクの高い投資は避け、着実に老後の貯蓄に励むというこの世代の特徴を、米国の資産運用起業ユナイテッド・キャピタルのマネージング・ディレクター、ジョン・ヴァッカロ氏は、さらに根深く分析。「社会的な成功、学資ローンの返済、低所得などによる圧力が、若い世代から総体的に自信をうばっている」としている(USニュースより )。

ヴァッカロ氏の説が本当であれば、ロボットアドバイザーがミレニアル世代で人気があるのも納得できる。ロボットが自分の代わりに最適と思われるポートフォリオを低コストで組んでくれるというシステムは、投資に自信のないミレニアル世代でも気軽に試せる。

調査結果を見るかぎり、世代による経済力の差が、自然な金融リテラシー効果を発揮しているといったところだろうか。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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