クレジットカードでおなじみの「VISA」は、自社ではカードを発行しておらず、多くのカード発行会社へグローバルな決済の仕組みを提供している。ここでは、VISAブランドの特徴とメリット、日本で発行されているカードについて紹介しよう。

世界的カードブランド「VISA」の歴史

国をまたいで決済を行うカードブランド(国際ブランド)にはVISAのほか、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブなどがあり、そのうちVISAやMasterCardは自社ではカードを発行していない。

VISAは200以上の国と地域に加盟店を持ち、現在利用されているVISAブランドのカードは24億枚(2015年3月31日時点)、全世界のカード決済の54%(2016年度・THE NILSON REPORT調べ)を占めるカードブランドだ。もし、クレジットカードの券面の右下に「VISA」のロゴマークがあれば、そのカードは世界中のVISA加盟店で使うことができる。

VISAの歴史は、1958年にバンク・オブ・アメリカが消費者向けクレジットカード「BankAmericard」を発行したことに始まる。1976年にカードの名称を「VISA」に変え、2007年には世界各国の事業を統合する形でグローバル企業としてのVISAを発足した。
 

VISAカードランクと主な特典は?

VISAのカードランクは、一般カードにあたる「クラシックカード」から順に、「ゴールドカード」→「プラチナカード」→「Infiniteカード」とランクアップする。たとえば、ゴールドカードには、空港宅配優待や国際線クローク(荷物の一時預かり)、優待、海外Wi-Fiレンタル優待などの特典が付帯する。通常はこれらVISAの優待に、各カード発行会社独自のゴールドカード特典がプラスされる。

プラチナカードではゴールドカードの特典に加え、コンシェルジュサービスや旅行、ゴルフの優待などの特典も付帯。こちらにもVISAの特典に、各カード発行会社独自のプラチナカード特典が加わる。

VISAブランドで最上位に位置づけられるInfiniteカードは、カード発行会社からの招待によってのみ入手でき、日本ではほとんど発行されていないようだ。

海外旅行専用プリペイドカードなど多彩な決済手段を提供

VISAブランドのメリットといえば、なんといっても世界トップシェアならではの加盟店の多さだ。海外では「VISA」か「PLUS」マークのATMで現地通貨を引き出せることもあり、VISAブランドのクレジットカードは海外旅行には欠かせない。

また、VISAはクレジットカードのほか、デビットカードやプリペイドカード、海外で現地通貨を引き出せるトラベルプリペイド、ネットショッピングで使えるプリペイドのネットプリカなど多彩な決済手段を提供している。よって、何らかの理由でクレジットカードを作れない人でもキャッシュレス決済が可能だ。

加盟店の多さと決済手段の豊富さは、まさにVISAの真骨頂と言える。

VISAの代表的なクレジットカードを紹介

世界各国で使用でき、海外旅行には欠かせないブランドである「VISA」。ここからは日本国内で発行されている代表的なカードを3つ紹介しよう。

銀行系×VISAの安心感「三井住友カード(旧クラシックカード)」

日本におけるVISAブランドカードの代表格とも言えるのが、三井住友カードだ。一般カードにあたる三井住友カード(旧クラシックカード)は初年度年会費無料で、自動リボ払いを年間1回以上利用する(※)か、年間300万円以上のショッピング利用により、次年度の年会費1,250円(税別)が無料となる。

このカードには、最高2,000万円の海外旅行傷害保険のほか、年間最高100万円のショッピング保険が付帯する。カード名末尾に「A」のつく、三井住友カード A(旧クラシックカードA)というカードもあり、こちらには最高2,500万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯する。

三井住友カード A(旧クラシックカードA)の年会費が無料になる条件は前述の条件と同じで、年に1回以上自動リボを利用する(※)と、年会費を支払うことなく最高2,500万円の海外・国内旅行傷害保険を利用できる。これは、他社カードの特典と比較してもなかなかの好条件だ。カード発行会社が銀行系というのも信頼度が高い。

※2021年2月支払い分からはリボ払い手数料の支払いが必須となる。

>>「三井住友カード」の詳細を見る(公式サイトへ)
 

とにかくVISAブランドのカードが欲しいなら「楽天カード」

海外旅行などでVISAブランドのカードが必要な人のために、審査のハードルが比較的低いと言われる楽天カードを挙げておこう。

VISAのほかMasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレスからカードブランドを選べる楽天カードは、年会費無料であるにも関わらず最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯する。ショッピング支払い分の1%がポイント(楽天スーパーポイント)として還元され、楽天市場での利用時は最大3%の還元率となる。

空港ラウンジなど充実した特典を求めるなら、楽天ゴールドカードという選択肢もある。このカードはゴールドクラスながら年会費2,160円(税込)というリーズナブルな設定となっており、国内空港ラウンジと一部海外空港ラウンジを年間2回無料で使えるほか、世界38拠点の現地トラベルデスクの利用、楽天市場でポイント最大5倍(還元率5%)、ETCカードの年会費無料といった特典を利用できる。

>>「楽天カード」の詳細を見る(公式サイトへ)

ポイント高還元を求めるなら「REX CARD」

もう1つ、還元率が高いVISAブランドのカードとして、VISAかMasterCardからカードブランドを選べるREX CARDを紹介しよう。ジャックスが発行するREX CARDは年会費無料で作れ、ショッピング支払い分の1.25%がポイントとして還元される高還元カードだ。

年会費無料であるにも関わらず、海外最高2,000万円、国内最高1,000万円の旅行傷害保険が付帯するのも大きなメリットだ。

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基本1.2%、最大4.2%となる高還元率カード「リクルートカード」

REX CARDと並ぶ高還元率カードが年会費無料で作れるのがリクルートカードで、Visa、MasterCard、JCBからカードブランドを選べる。カードのポイント還元率は1.2%で、旅行予約サイトのじゃらんではサイト自体の付与ポイントと合わせて3.2%還元、ネット通販サイトのポンパレモールでは4.2%以上となる。

貯めたポイントは、ホットペッパーグルメやホットペッパービューティーなどリクルート系のネットサービスで使える。またPontaポイントに交換すると、ローソン、KFC、ゲオ、シェルのSS、高島屋、すき家、ピザハット、AOKI、オリックスレンタカーなど、さまざまな店舗で使える。

年会費無料であるにもかかわらず、海外最高2,000万円、国内最高1,000万円の旅行傷害保険(利用付帯)と、年間200万円限度のショッピング保険が付帯するのも大きなメリットといえる。

>>「リクルートカード」の詳細を見る(公式サイトへ)

リクルートカード

ドコモユーザーならぜひ持ちたい「dカード」

ドコモのクレジットカードである、dカードは年会費初年度無料、2年目以降も前年度に1回でもクレジット利用があれば年会費無料となる。実質、年会費無料と考えていいだろう。

カードブランドはVisaかMasterCardから選べ、ポイント還元率は1%。ドコモ関連ショップのほか、街のdカード特約店ではさらにポイントアップし、特にローソンではdカード決済による3%オフも合わせて5%相当となる。

このカードには「dカード ケータイ補償」がサービスとして用意されている。利用中の携帯電話端末が使えなくなり(紛失・盗難・修理不能)、新たに同一機種・同一カラーの新端末をドコモショップなどで購入する場合に、その費用の一部を補償する特典がある。また、年間100万円限度のショッピング保険も付帯する。

dカードの上位カードにあたるdカードGOLDでは年会費1万円(税別)かかるが、ケータイ補償やショッピング保険の補償金額がより高額に設定され、ドコモ携帯電話やドコモ光の料金のクレジット決済分ではポイント10倍となる。

また旅行系サービスでは国内主要空港でのラウンジサービスや、自動付帯で海外最高1億円、利用付帯で国内最高5,000万円の旅行傷害保険も付帯している。

>>「dカード」の詳細を見る(公式サイトへ)

Tポイントがどんどん貯まる「ヤフーカード」

年会費無料でカードブランドをVisa、MasterCard、JCBから選べるヤフーカード(Yahoo! JAPANカード)。カードはクレジット機能とTカードの機能が一体になっている。

クレジット利用100円につき1ポイント、還元率1%分のTポイントが付与される。さらにTポイント提携先店舗ではカード提示によるTポイントが付与されるため、クレジット利用ポイントとの二重取りもしやすい。

Yahoo!ショッピングとLOHACOでは3%にポイントアップするが、そのうち1%分はTポイントではなくPayPayで使えるPayPayボーナスライトで、効期限が付与日から60日間となる。なお、このカードには年間100万円限度のショッピング保険も付帯する。

>>「ヤフーカード」の詳細を見る(公式サイトへ)

※ヤフーカードの新規申込受付は、2021年11月30日(火)19時をもって終了いたしました。

マルイ系列のお店でのショッピングが多いなら「エポスカード」

年会費無料で作れるエポスカードのカードブランドはVisaのみとなる。ポイント還元率は0.5%と高いほうではないが、提携店舗でのボーナスポイント、飲食店などでのポイントアップが最大5倍、さらに、ポイントサイト「たまるマーケット」経由でのネットショッピングで2倍~30倍ポイントアップする。

また、このカードの会員にはマルイの店舗・通販で年4回、10%オフになる期間が設けられ、マルイでまとまった買い物をするときには大きなメリットとなる。そのほか1万店以上の店舗で優待を受けられる特典や、最高500万円の海外旅行傷害保険も自動付帯する。

エポスカードの上位カードにあたるエポスゴールドカードは年会費5,000円(税込)かかるが、招待だと永年無料、年間利用額50万円以上で翌年度以降は永年無料になる。

エポスゴールドカードには国内空港ラウンジサービスのほか、Visaがゴールドカード会員向けに提供するトラベルサービス、最高1,000万円の海外旅行傷害保険が自動付帯するなどゴールドカードとして必要十分な機能が備わっている。これらのサービスが年会費無料で利用できることのメリットは大きい。

>>「エポスカード」の詳細を見る(公式サイトへ)
 

将来、銀行系ゴールドカードを持ちたいなら「MUFGイニシャル」

銀行系クレジットカードを初めて作る人が検討したいのがMUFGイニシャルだ。このカードの年会費は1,250円(税別)で初年度は無料、学生は在学中のみ年会費無料。カードブランドはVisaのほかMasterCard、JCBから選ぶことができ、ポイント還元率は約0.5%となる。

ポイント還元率は高いとはいえないが、利用金額に応じたポイント優遇のほかポイントサイト「POINT名人.com」ではポイントが倍付けとなる。こういったこのカード独特の優遇ポイントが付与される仕組みがあり、それらを上手に利用すれば基本のポイント還元率の低さをある程度カバーできるだろう。

そのほか、このカードには最高2,000万円の海外旅行傷害保険と年間100万円限度のショッピング保険が付帯。

また、初回のカード更新時(原則5年後)に、上位グレードのMUFGカード ゴールドに切り替わるというのも大きな特徴だ。切り替え時には審査があるものの、普通にカードを使っていれば比較的容易に審査をパスできると考えられる。

その意味で将来的に銀行系のゴールドカードを持ちたい人には、メリットの大きいカードといっていいだろう。

多様なVISAブランドのカードの中から自分に合った1枚を

ここでは日本国内で発行されているVISAの一部を紹介したが、VISAブランドのカード発行する会社は多く、カードの種類も豊富なので、自分のニーズにぴったり合う1枚を選ぶことができるだろう。海外旅行時だけでなく、国内でも大いに頼りになるVISAブランドのクレジットカードやデビットカードは、ぜひ1枚は持っておきたいカードだ。
 
執筆・モリソウイチロウ

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。  

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