JR中央・総武線、京王電鉄井の頭線が通る「吉祥寺」。東京都武蔵野市にある駅は、都心へも20~30分程とアクセスも良く、「住みたい街ランキング」でも、例年上位にランクインしている。便利な商店街や自然豊かな公園もある人気の街に、家族3人で住むマンションを購入するには、世帯年収はいくら必要なのだろうか。

吉祥寺駅周辺の家族3人向けのマンション価格は約8,000万円

吉祥寺は都心までの通勤の便利さに加え、デパートや商店街などのショッピング施設、さらに井の頭公園の自然も堪能できる住環境で、ファミリー層に人気の街だ。今回はそのメリットを存分に享受できる、駅徒歩10分圏内のマンションを見てみよう。

吉祥寺駅周辺で供給される新築物件は、家族が集まるリビング・ダイニングと主寝室、そして子供部屋を設けられる2LDK~3LDKを中心とした70平方メートル前後のものが多い。販売開始まで価格は未定となっていることが多いが、近年の取引を参考にすると、価格はおおよそ7,000万円台後半~8,000万円強。中古でも70平方メートル前後の物件は7,000万円以上するものが多い。吉祥寺駅周辺で家族3人が暮らすマンションの購入を考えるのなら、8,000万円程度は見積もっておいたほうがいいだろう。

8,000万円のマンションを買うには年収900万円は必要

仮に8,000万円のマンションを購入するとして、必要な世帯年収を算出してみよう。8,000万円をフラット35で全額借入をした場合(返済35年、ボーナス払いなし、全期固定で金利1.89%)、月の返済額は26万1,000円。年間で313万2,000円だ。総返済負担率の基準である35%(年収400万円以上)を満たすには、おおよそ年収900万円が必要ということになる。まとめると以下のようになる。

住宅ローン(借入) 8,000万円
年間返済額 313万2,000円
月返済額 26万1,000円
必要な世帯年収 約900万円

ただし、フラット35で借りられるのは8,000万円まで。マンションの購入には、物件価格以外にも諸費用がかかる。新築か中古か、利用する住宅ローンなどによりその額は異なるが、物件価格の約5%と考えていいだろう。この場合、400万円程度を自己資金で用意するか、フラット35以外の住宅ローンを検討しなければならない。

900万円では足りない! 最低でも970万円は欲しい

ここで注意したいのが、「借りられる額」が必ずしも「無理なく返済をしていける額」ではないということ。一般的に生活水準に合わせて消費も多くなる。総務省統計局の平成29(2017)年度の「家計調査報告」によると、年収900万円に人が属するクラスの月平均消費支出は、住居費を除いて約34万円。年間で408万円の消費支出に加えて、所得税や社会保険料などの非消費支出が年間約138万円。そこに住宅ローンの返済313万円と固定資産税が112万円(建物の課税標準額が購入価格の約半分の4,000万円として算出)が加わる。積み上げていくと、合計で971万円になる。

子供の教育費なども考えると、吉祥寺駅周辺でマンションを購入するのなら年収1,000万円程度は必要になるだろう。

吉祥寺のマンションは資産として有望なのか?

大規模開発が進む豊洲などの湾岸エリアに比べると、供給物件が少ないこともあってか、吉祥寺にマンションを購入し暮らすことは、決して安く済むとは言えない。

しかし「住みたい街ランキング」の上位常連である吉祥寺は、現在老朽化した建物の建て替えや生活環境の整備など、再開発の計画も進んでいる。より魅力的な街へと進化する可能性を考えると、資産としても有望と言えそうだ。

文・柴田千青(ファイナンシャル・プランナー)
 

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