2020年3月決算銘柄の9月中間決算が11月の上旬に発表されたが、アパレル関連では、郊外型紳士服チェーン大手3社の決算が予想を上回る厳しさだったのが注目された。

最大手の青山商事は、
・売上高:1018億8200万円(-3.1%)
・営業利益:-15億5700万円(ー)(前年は10億6100万円)
・経常利益:-11億5800万円(ー)(前年は15億8600万円)
・当期利益:-64億6900万円(ー)(前年は-1億2300万円)

AOKIホールディングスは、
・売上高:827億9500万円(-2.0%)
・営業利益:3億7700万円(-75.8%)
・経常利益:-4億9600万円(ー)(前年は5億3300万円)
・当期利益:-9億8800万円(ー)(前年は-10億5600万円)

コナカは9月本決算となるが、
・売上高:606億9800万円(-6.8%)
・営業利益:7300万円(-91.9%)
・経常利益:4億5400万円(-66.8%)
・当期利益:-53億4400万円(ー)(前年は-4億9300万円)

3社とも当期利益(最終利益)は赤字。通期については、青山商事が-20億円、AOKIホールディングスが54億円(前年比+17.3%)、コナカは変動要因が大きく今後に発表を延期。青山商事は「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)」事業からの撤退による特別損失として69億9800万円を計上したのが赤字の原因だ。

しかし、それにしても厳しい決算だ。いまさら「クールビズ」のせいだとか「カジュアル化がさらに進む」とか、もう30年は言われている毎年のことである「天候が最悪だった」と理由をつけているのがアホらしくなる。業界紙だとか一般紙とかはまあ理由を書かないと商売にならないのだろう。しかし、「クールビズ」なんていうのももう2005年に小泉純一郎内閣の環境大臣だった小池百合子氏が始めたキャンペーンですでに賞味期限切れではなかろうか。まさか「人口減少が最大の原因だ!」と書いたら、デスクから削除するように命令されるだろう。しかし、どうも「人口減少」というのは言い出さないとどうにも済まなくなっているようだ。

例えば11月20日付けの『繊研新聞』の第一面。「前年大きく下回る/レディスアパレル10月/消費増税、台風、高気温⋯」とレディスアパレスの10月の不振を書いている。こういう記事を読むのもシンドイ。もう、人口減少と割り切ってはどうなのだろう。

同じ『繊研新聞』11月18日付けの第一面。「本当にモノを買わない世代なのか。点描 ミレニアル世代消費」という記事というか分析(松浦治記者)。洋服が売れないことをなんとかしようという試みなのだが、なんとなく徒労に終わっている感じである。こういうのは2017年5月に日経BPから出版された杉原淳一&染原睦美記者による『誰がアパレルを殺すのか』症候群と言えるだろう。面倒臭いことを理由にするよりも、もう「人口が減っているから」を理由にしてスッキリしてはどうなんだろうか。

文・久米川一郎/提供元・SEVENTIE TWO

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