各国の格差社会はどうなっている?格差社会の実態や共通する問題点を解説

2020.3.23
BUSINESS
(画像=Getty Images、The Motley Fool Japanより引用)
(画像=Getty Images、The Motley Fool Japanより引用)
映画は、その当時の世相や社会問題を切り取った作品が多くなります。

アカデミー賞作品賞を獲得した「パラサイト 半地下の家族」や日本の「万引き家族」、アメリカの「ジョーカー」など格差社会をテーマにした映画は増えており、格差社会が各国で問題になっているのを浮き彫りにします。

そこで今回は、各国の格差社会の実態や格差社会の定義、日本、アメリカ、韓国の格差社会に通じる問題点などを解説します。

格差社会の定義

格差社会は歴史を振り返るといくつもありました。

インドではカースト制度、ヨーロッパでは厳格な身分制度、ロシアでは農奴など、社会階級制度によって身分が決まり、就ける職業や義務、権利が違っていました。

これらの社会階級制度を打破する気風が高まり、フランスで起きた革命を皮切りにヨーロッパ中で王政への革命が勃発しました。

現代の格差社会は生まれながらの身分では無く、「収入や財産によって社会の階層化が進み、階層間の移動が困難になっている状況」を指します。

親の収入や財産によって、子供の生活レベルや受けられる教育レベルがある程度決まってしまい、その状況を打破するだけの政策や取り組みがなされていないと格差社会はますます広がります。

2015年に日本でもベストセラーになった「21世紀の資本」を書いたトマ・ピケティは、「ヨーロッパや日本は、格差のレベルが第一次世界大戦より前の水準まで逆戻りしている」と分析しています。

第一次世界大戦が起きたのは1914年。江戸時代が終わったのが1867年で、日本は諸外国に追いつけ追い越せの精神で急成長を続けていました。

1886年~1907年までに産業革命を成し遂げ、その期間に日清・日露戦争を経験しています。

国民総生産だけを比較すると、産業革命が始まった1986年時点で実質国民総生産は約40億だったのが、1907年には約62億円までに成長しています。

しかし、そこから5年以上は経済成長がストップし、停滞してしまいます。

大きな転機となったのが、1914年に勃発した第一次世界大戦です。

主に繊維製品がアジア市場やアメリカ、未開拓だったオーストラリアや南米などにも送られるようになり、国民総生産は4年間の戦争中に66%も上昇しました。

後に大戦景気と呼ばれる大正バブルは、日本を豊かにしましたが、同時に格差社会を広げる原因ともなりました。

財閥の確率や資本の独占化、都市への人口が集中し、農村人口の減少、そしてインフレによる物価高騰が起き格差社会の下層に位置していた人たちの生活は困窮していきます。

教科書にも取り上げられるほど有名な、成金がお札を燃やして明かりにする風刺画はこの頃の社会を描いた物です。

トマ・ピケティはこの前後の格差社会と現代の日本の格差社会は近いレベルだと指摘したのです。

とはいえ、その当時を知る人たちは既に存在しておらず、風聞や歴史的資料だけで当時と今の格差社会が近いと言われてもピンときません。

そこでこの記事では外務省のOECD(経済協力開発機構)が定義した相対的貧困率という指標を元に格差社会を定義します。

相対的貧困率とは、「世帯の所得が等価可処分所得の中央値の半分に満たない人々」を指しております。

つまり、その国の文化や生活水準の半分に達していない人々の割合になります。

日本の格差社会

OECD所得分布データベースによれば、日本の可処分所得の中央値は約244万円となり、半分の122万円に満たない相対的貧困率は15.7%になります。

日本人の6人に1人が貧困と定義され、先進国で構成されるG7ではアメリカに次いで2番目に高いパーセンテージになります。

最新のデータはまだ発表されておらず、2015年に発表された統計が元となっているため、現在の相対的貧困率は不明です。

相対的貧困率は富裕層が急激に増えるか、所得の低い世帯が増えると変化しますが、ここ数年の経済成長率からするとどちらも急な変化は起きていないため、2020年時点も16%前後だと推測できます。

世代別に分析すると、20歳未満が34.5%、20歳~64歳までが26.9%、65歳以上が38.6%になります。

老人世代と若者世代の収入が少ないのは、働けない・親の収入に頼るなどの要因がありますが、20歳~64歳の働き世代の4人に1人が月収約10万円程度で暮らしているということになります。

特に15歳~24歳までの世代が相対的貧困とされる人々の20%近くを占めています。

そして、20歳以下の子供の貧困率を世帯構造別に分類すると、夫婦と未婚子や三世帯(祖父母・父母・孫)の家庭は全体の22.5%。

一人親と未婚子のみだと43.6%、その他の世帯だと43.3%の比率になります。

つまり、貧困とされる家庭の半分近くは一人親と未婚子の家庭になります。

特に母親だけの家庭は父親だけの家庭に比べて貧困の割合が7%も多くなっています。

まとめると、日本は母子家庭・父子家庭や65歳以上の高齢者、そして20代前後の若者が相対的貧困の割合が多い国となります。

これらの貧困層を支援する福祉制度がきちんと機能しておらず、経済が成長していないため限られたパイの取り合いとなったのが原因と考えられています。

アメリカの格差社会

2017年の等価可処分所得の中央値は約3万5千ドル(約367万円)で、半分以下の相対的貧困率は17.8%になります。

先進国G7の中では最も高い比率となっています。

貧困層の割合を世代別にみると18歳未満が21.2%、18歳~64歳までが13%~20%、65歳~76歳までの16.5%が相対的貧困となっています。

アメリカでは働き盛りの世代の貧困率が日本よりも高い結果となっています。

アメリカの格差社会で大きな問題となっているのが学生ローンです。

若い世代だけで約110兆円規模の負債を抱え、60歳以上の300万人が未だに学生ローンを返済しきれてはいません。

アメリカのクレジットカードの合計債務額は約125兆円ですが、全ての世代の学生ローンを合計すると、約170兆円に達するとされており、国内最大の消費者債務となっています。

学生ローンの返済期限は10年ですが、学士号(大卒)を取った方が学生ローンを完済するまでに平均で19.7年かかっています。

22歳で社会にでて、約20年かけてやっと学生ローンが返済できるのです。

相対的貧困率の比率が、働き世代が最も多い理由が頷けます。

多くの学生は短期間で学生ローンを返済するために、より良い仕事、つまり給料の高い仕事を選択するようになります。

しかし、多くの学生が給料の高い仕事に就けるとは限らず、そこから零れ落ちた若者は学生ローンの支払いに苦心しながら社会に出ていきます。

つまり、アメリカの格差社会は学生ローンの返済に苦しむ中間層や貧困層が増えてしまい、それを解決する術が見いだせないまま富裕層だけがますます裕福になっているのが原因の一つとされています。

韓国の格差社会

2017年の等価可処分所得の中央値は約2640万ウォン(約233万円)で、半分以下の相対的貧困率は17.4%になります。

世代別に分類すると、18歳未満は14.5%、18歳~65歳までが11%~14%、66歳~75歳未満の35%が相対的貧困となります。

韓国の格差社会は66歳以上になると格段に増え、76歳以上になると半分以上の55%が貧困となっており、国内での課題となっています。

韓国では高齢者への福祉制度があまり充実しておりません、国民年金が本格的に支給されたのが2008年と遅く、支給金額は平均すると1ヵ月3万円~4万円になります。

等価可処分所得の中央値の半分である約116万円の半分にも満たないのです。

30年以上前は、同居する高齢者の生活を子供が担っていましたが、日本同様に核家族が増えていったため、高齢者も自分で働いて生活費を稼ぐ必要に迫られています。

また国内所得上位10%の超富裕層が国民総所得の45%を占めており、正規と非正規の格差や、大企業と中小企業の優遇差が酷く、国民の反感を買っています。

国内所得上位10%の多くが財閥の関係者で、彼らのスキャンダルが起きるたびに大きな社会騒動になるのは埋まらない格差への怒りになります。

こうした格差社会から脱出するための手段として大学入試があり、小学生の頃から毎晩10時まで塾に通う子供が大勢居ます。

ここでも所得の格差により教育レベルに差が生じており、そのまま合格率に繋がっていきます。

これだけの努力をして大学に入っても、有名企業に就職できるのは難しく、15歳~29歳の失業率は8.9%となっています。

韓国の格差社会は富裕層の所得割合いが非常に大きく、若者や高齢者を支援する制度が少ないため、中間層ばかりが広がってしまい、相対的貧困率が上昇していると分析できます。

格差社会を変えるためには

日本、アメリカ、韓国の格差社会に共通する問題は、若者世代や高齢者世帯に多くの貧困問題が集中している点です。

また、国の経済力が成長していないのに、富裕層ばかりに資産が集中しているため、富裕層ばかりが裕福となり、中間層や貧困層が苦しんでいるというのも問題です。

これらの問題を解決するには、富裕層に集中している資産に税金を掛け貧困層への再分配を行い、貧困層や中間層への教育制度や福祉制度を見直すべきだと専門家は提言します。

まとめ

以上が、各国の格差社会の実態になります。

格差社会が広がった背景には、現在の資本主義が限界を迎えているのではないかという議論も起きています。

ヨーロッパでは、既に市民による抗議活動が起きつつあり、欧州各国は対応に苦慮しています。

日本でもこのまま格差社会が広がっていけば、大きな変化を迎える可能性が高くなります。

そうなる前に、自分の将来設計やポートフォリオを見直してみましょう。

文・野田幹太/提供元・The Motley Fool Japan

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