年商2328億8700万ドル(2018年12月末決算。1ドル110円換算で25兆円)のアマゾンと年商5144億ドル(2019年1月期決算。1ドル110円換算で56兆円)のウォルマートは、言ってみればオンライン小売業とリアル店舗の両雄である。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のディスラプション4騎士に対する風当たりが次第に強まっている昨今だが、11月12日の『フォーブスジャパン』のデジタル版にコントリビューターのキリ・マスターズが書いた「米国で進む『アマゾン離れ』、過半数がウォルマートを選ぶ」という記事を見つけた。

この両雄の対決で、アマゾン離れが進んでおり、同記事では「アマゾン・ドット・コムへの熱狂的な支持に陰りが見られ始め、アマゾン・プライム会員の比率が下がってきているほか、サイトでの購入頻度も落ちている。代わって、ネット通販の強化を急いでいるウォルマートが今また台頭して来ている」としている。

EC-ORANGEによると、ウォルマートがネット通販で強化しているのは全米約5000軒の店舗をミニ配送センターとして活用するオムニチャネル戦略。各店舗から5マイル以内に住んでいる人の数は全人口の3分の2を超えるというから、このミニ配送センター化はきわめて有望で、将来的には注文から配送まで90分を目指すという。ECのマーケットプレイスとしては、ウォルマートのEC部門は、アマゾン、ebayに次ぐ第3のポジションでしかないが、将来的にはこの流通網の確立でトップに躍り出るのも可能だと分析している。

全米の数々の有名小売業を危機に陥れているアマゾンには、「悪役」のイメージが定着しているような印象もあり、『フォーブスジャパン』の記事にあるような消費者の「アマゾン離れ」が本当なのかどうか、今後に注目してみたい。

文・久米川一郎/提供元・SEVENTIE TWO

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