【前編】「TikTok」が世界制覇する日

2020.2.13
BUSINESS
(画像=Getty Images、The Motley Fool Japanより引用)
(画像=Getty Images、The Motley Fool Japanより引用)
TikTokと聞いて、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?

10代の間で流行している若者向けアプリと思っている方も多いのではないでしょうか。

実はこのイメージは日本向けの広告戦略に過ぎす、TikTokの全体像を正確には捉えてはいません。

TikTokは2016年9月に中国のバイトダンス社から「Douyin」として、海外向けサービスは「TikTok」という名前でリリースされました。

現在までに150以上の国と地域で展開されており、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターを超えるSNSとなる可能性があると言われています。

今回はTikTokの何が優れているのかを中心に、バイトダンス社について徹底解説していきます。

TikTokの前身はシリコンバレーにいた2人の中国人によって創られた

2014年中国人の2人がシリコンバレーで起業して、エンジェル投資家から資金を調達してTikTokの前身となる教育系ショートムービーサービス「Cicada」を始めましたが、「Cicada」は期待通りとはいかずヒットしませんでした。

その理由として3分から5分ぐらいの尺の動画がユーザーに受け入れられなかったことが要因だと言われています。

事業に失敗した2人に残された資金は残りわずか。

まさに崖っぷちの状況から「Cicada」で使用した技術を応用して生まれたのが、「Musical.ly(ミュージカリー)」です。

これは音楽×ショートムービー×SNSを掛け合わせたアプリとして大ヒットします。

米国や欧州で大人気となっていたころ、中国ではライブ配信が全盛期を迎えており、バイトダンス社は完全模倣した「Douyin」を発表して「Musical.ly」を買収しようと試みます。

途中からテンセントも名乗りを上げて一騎打ちとなる中で、最終的にバイトダンス社が約10億ドルで買収することに成功しました。

当時スタートアップ企業の一つでしかなかったバイトダンス社がIT巨人のテンセントとの買収競争に勝てたのは、テンセントが買収金額の提示を優先したのに対して、バイトダンス社は未来を語り、それが決め手となったとも言われています。

現在、創業者の2人はバイトダンス社に在籍しており、買収の決め手もいかに企業文化を尊重できるかがポイントとなった好事例ではないでしょうか。

TikTokがすごいこれだけの理由

2019年現在、様々なコンテンツが動画サービスへと移行しつつありますが、TikTokの最大の特徴は自分で動画を探さなくても良いことです。

これがYoutubeとの大きな違いです。

つまりスムーズに「連続視聴」させることに長けており、TikTokは他のSNSよりも可処分時間を奪うことに強みがあるのです。

TikTokにも検索機能はありますが、レコメンドにここまで舵を振り切ったサービスはありません。

またYoutubeは視聴途中でCMが入るので、スムーズな連続視聴という設計にはなっていません。

TikTokを始めたら知らぬ間に時間が経っていた、ということが頻繁にあるのは、いかにレコメンドに特化してストレスフリーな動画サイトを構築しているかという何よりの証拠です。

次世代のプラットフォーマー

TIkTokの最大の強みは、競争の中で磨いてきた技術力と快適なレコメンドを約束する機械学習力です。

TikTok誕生前にも既に中国には動画プラットフォームがあり、初期のTikTokと大きな違いはありませんでした。

大きな違いはレコメンドの技術力が他社よりも優れていた点です。

そこに現在の成長の秘密があるのです。

このレコメンド力については、テンセントやアリババ、GAFAですら敵わないといわれています。

バイトダンス社の「選択と集中」によって、レコメンド技術に特化したサービスを展開しているのです。

これは創業当初からGAFAとの競争を避け「AI×ビッグデータ」に特化したことと、中国では個人情報の取り扱い方が欧米とは異なり、もともと国民にIDが付与されており、便利になるのであれば個人情報をオープンしても構わないと考える方が多いのです。

こうした文化的土壌に加えて、AI分野においては国策として中国が全面的にバックアップしていることも、TikTokの躍進を支えているはずです。

また個人情報が必要とされる分野において、中国は他国よりも規制が少ないため、信用情報、スコアリング、顔認識技術などの分野でイノベーションが加速度的に進み、結果的に世界をリードする存在になっています。

バイトダンス社の運営戦略

バイトダンス社は2018年時点で時価総額8兆円を突破しました。

これはUberを超え世界一のユニコーン企業となった瞬間でもあります。

社員の平均年齢は20代と若く、AIエンジニアなど約3万人の従業員がいるAI企業です。

新しい技術は先行者優位の世界です、バイトダンス社は2012年からデータサイエンスの世界に特化しており、これはテンセントやアリババでも2014年ごろから重点を置いているので、どこよりも早い段階から先行投資してきたことが現在の結果として現れています。

特徴的な運営戦略としては動画の長さが挙げられます。

TikTokの最適な動画の長さは15秒~1分であり、YOUTUBEの5分~8分とは大きな違いがあります。

これにより動画投稿のハードルが下がり、誰もが気軽に投稿できるアプリとして認知されたのです。

また1分以上の投稿は一定数のファンをを獲得しないと投稿できない仕組みになっており、それがTikTok全体のクオリティを保つことへと繋がっています。

またSNS特有の「SNS疲れ」が少ないと言われています。

その秘密はTikTokの場合、他のSNSと異なり、フォロー/フォロワーに必ず投稿した動画がアップされるわけではありません。

実際使ってみるとフォローしていない投稿も次々に出てくるので、偶然出会ったお気に入り動画はブックマークするように「いいね!」を押してしまう仕組みになっています。

知り合い同士が繋がる場というよりも、知らない人同士が緩やかに繋がる設計なので、必要以上に知り合いに気を使う必要がないことも人気の要因となっています。

バイトダンス社が検索型ではないレコメンド重視の動画プラットフォーマーとして、いかにエンゲージメントを高めていく戦略を採用しているのかが見えてくるのです。

成長を続ける中国のショートムービー市場

2017年が中国における「ショートムービー元年」と言われており、これは2016年の2倍以上の平均月間使用時間へと伸びました。

2019年現在ではMAU(Monthly Active Users)は8億人を超えたとも言われています。

中国でここまでショートムービー市場が発達した要因として、農村部の存在が大きいことも特徴でしょう。

中国は都市部と農村部の給与面や住環境に圧倒的な格差(日本の比ではない)があります。

これまでは農村部で都市部のようにお金を稼ぐことはほぼ不可能な状況でしたが、例えばTikTokでインフルエンサーになった場合、田舎にいても都市で働く以上の収入を得ることができます。

今までになかったチャンスを掴むことを夢見て、農村部のユーザーからTikTokは圧倒的な人気を占めています。

前編・まとめ

中国のショートムービー市場への投資件数・投資額は年々増加しています。

これはバイトダンス社による積極的な投資が影響していることは間違いありません。

現代社会はいかに時間を消費してもらうか、様々なサービスが業界の垣根を越えて熾烈な競争をしています。

より短時間で見ることの出来るコンテンツ需要が、今後もさらに求められていくはずです。

次回(後半)はTikTokのマーケティング戦略についてお話ししていきます。

文・アートノミクス/提供元・The Motley Fool Japan

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