多くの人事担当者の頭を悩ませる課題の1つ「採用ミスマッチ」。

その原因は、企業側が求める人物像が定義できていないことや、メリットばかりを伝えていたり、面接で応募者を正しく見定められていない、などさまざま。

適性検査の『ミツカリ』は、目には見えにくい応募者の性格や価値観・志向性といった部分を数量化し、社風や部署の人間関係などとのマッチ度を可視化できるサービスなのだとか。

今回は、そんな『ミツカリ』を世の中に広める株式会社ミツカリ代表の表孝憲さんにお話をお伺いしました。

表 孝憲(おもて たかのり)

株式会社ミツカリ 代表取締役社長
京都大学法学部卒。モルガン・スタンレー証券株式会社債券統括本部に入社し、トップセールス賞を11期連続で受賞。営業の傍、リクルーティングチームとして面接を行う。退社後、カルフォルニア大学バークレー校に留学しMBAを取し、株式会社ミライセルフ(現在は株式会社ミツカリ)を設立。

人と人との相性をAIで可視化

ーー表さん、学生時代アメフトをされていただけあって、今でもマッチョですね!!

表: こう見えて、今は腕立て伏せしかやっていませんよ!(笑)。ちなみに2019年の目標は1万回で、達成までもうすぐです。表さんの腕立てチャレンジの様子はこちらから@takanori52

ーープライベートでもチャレンジを続けてらっしゃるんですね。そんな表さんが、“やりたいことが分からない”を無くすということをモットーに始められたという『ミツカリ』とは一体どういったサービスなんですか? 
 

Fledge
(画像=Fledge)

表: 適性検査を使って人と人との相性を可視化するサービスです。

社員の採用において、スキル以外の要因でミスマッチが起こることがよくあると思うんです。その部分を“感覚”以外のもので定量化するために作りました。

ーースキル以外のことで起こるミスマッチ、というと具体的にどんなことがあるんでしょうか?

表: 同じ目的を達成するためには論理的に進んでいく人と、想いを重視して進んで行く人など、いろんなやり方の人がいます。

スキルよりもそういった仕事の好ましいやり方や価値観の部分で、評価されずに辞めていってしまう、そういったケースが多くあります。本来、価値観や性格というのは定義づけが曖昧な部分ですが、それを可視化するのがミツカリの役割です。

ーーたしかに、性格や相性を論理的に定義するのは難しいですね。

表: そうですね。でも感覚的に相手によって先に結論を話したり、話し方を変えたりできる優れたマネジメント能力のある方っていますよね。

また学術的には精度が上がりにくいと言われる面接でも、長年関わっている中でその方が予想するとだいたい当たるって方が結構各社いらっしゃるんです。弊社の初期のお客様でもいらっしゃいます。つまり、何かしらの特徴を掴めば面接の精度を上げることができる、それならAI(人工知能)でも可能なのではないかと思い、AIを利用して適性検査の結果を分析しマッチ度を出すことにしました。

人事担当に必要なのは、データ分析力

ーー一般的な適性検査との一番の違いはどんなところでしょうか?

表: 仕事観などを分析したデータの蓄積があり、それを元に会社のカルチャーと個人の性格を比較することができることですね。

普通、適性検査というと応募者の方が受けるだけという一方的なものが多いですが、ミツカリは社内の人に受けてもらうことが前提に作られているので、相互の結果を数値化して分析し、そのマッチ度を計ることができるんです。

ーーそういった適性検査の需要は高まっているのでしょうか?

表: 産業構造が、製造業が中心で画一的な職種が多い時代は従来型の適性検査でも良かったと思います。でも仕事も働き方も多様化すると、もちろん人材も多様化します。それに合った新しい方法があったほうがいいと思うんです。

ーー企業側も、「こういう人が欲しい」という人物像を明確にしづらいのかもしれませんね。

表: 海外のカンファレンスで聞いてきたのですが、一部グローバル企業では、人事に求められる力として、データ分析力があがっています。あと10年15年すれば日本もそうなっていくはずです。

“想い”という部分を大事にするのが日本の企業の特徴で、それは全然良いことです。だけどそれだけでなくてマーケティング目線の発想も必要で、数値化して課題を見つける力があるかないかで、採用の質には大きな差がついてくると思いますね。

ギャンブルに近い、現代の採用方式

ーーさて、ここからはインビジョンのCEO吉田さんも交えてお話をお聞きしたいと思います。インビジョンでミツカリを導入してみての感想はどうですか?

吉田: うちの会社でもいろんな適性検査を導入してきたけど、手続きが面倒なものが多いなという印象だったんだよね。ミツカリの良いところは、10分くらいでできちゃうし、それですぐに結果を見ることができて、面倒くささが全然ないところ。

あとは、今うちのチームのバランスはどうなのかっていうことを知ることもできるから、なぜ上手くいかないのかなってときにヒントになりますね。

表: 組織のバランスについては業界業種それぞれの理想があるなと思っていて、それを今研究しているところです。会社数や分析データが増えているので、「御社には、このタイプの人間が少ないですね、でもそれが合っています」などといったアドバイスができるようになるといいなと思っています。

吉田: 例えば、経営チームとマーケティングチームがいっしょにプロジェクトを進めるときに、チームごとにみんなの特性が違っていると分断が起きやすくて、その組織って微妙ですよね。

チームを横断したプロジェクトのほうが仕事は進んでいくと思うので、その中でのメンバーの適正や、こういうチーム構成がいいんじゃないかとかが出たらすごいいいかもしれないですね。

表: どういうタイプの人を組み合わせると、組織として力を発揮できるか、などはまだ計算できていないんです。そこにも事業によっての特色があると思うので、どういうパターンがあるかを出して、数値化していけたらいいなと思っています。データを活用してできることはまだまだたくさんありますね。
 

Fledge
(画像=Fledge)

短期間で結果を出すとき、AIは大きなヒントになる

ーー今の一般的な採用に関する課題はどういったところでしょうか?

吉田: 今の採用ってギャンブルに近いんだよね。直感でなんとなく良いって感じた人を採用して、それで結局ヤバいことになったりとかもあると思う(笑)。

人間同士はどこまでいってもわからない部分があるから、いきなり正社員雇用はしないようにしていて、長期のインターンだけしか今は採用していないね。 

インターンにもいろいろあるけど、ワンデイとかでは意味がなくて長期でないとダメ。なんでかっていうと、実際に業務をやってみたリズム感が大事だから。あとは、出張とかで二人きりでどっか行ったりするときに、耐えられるかどうかも大事だね!

ーーお見合いとか、デートみたいな感じですね。

表: たしかに、どんなに優秀でも出張で耐えられない人はいっしょに働くのは大変かもしれないですね(笑)。

ーーミスマッチが起こらないために一番大事なのは、やっぱり波長が合うかどうか。なのでしょうか?

表: 上手くいってる会社さんは波長の合う人を採用できていると感じます。仕事をちょっと振ってみてどんな感じでやるかとかを見てみるのはとても重要なことだと思います。

でも、選考にそこまで長い期間を設けることができない場合に、AIを使った分析データは大きなヒントになると思います。人間が時間をかければわかることなので、AIにも可能なんですね。

吉田: あとは、家族とどういう関わりだったかってことも結構重要だなと思いますね。特に13才くらいまでの。

表: 家族との関わりって私もとても大事だと思います。応募者さんと信頼関係ができてそのような話も相互にできると理想ですよね。昔いた会社でもそういったところを採用において大事にしていたので、本当の家族のような雰囲気の組織でした。

吉田: 社会全体を見ると今、10代の自殺率が増えていて、それはなぜかっていうと、本当にやばいときに「やばい」って言えるコミュニティがないことが原因かなと思ってて。そういった状態で、就活をして落ちたりとかして凹んだとしても、相談できる人や帰る場所がないのはすごい深刻な状況だと思う。

ーー社会がそういった現状を脱するためにも、ミスマッチを防ぐことが重要かもしれないですね。

ミスマッチを防ぎ、好きなコミュニティに出会える社会に

吉田: どっちかっていうと、会社は組織っていうよりコミュニティに近いと思っていて、好きでもないコミュニティに入って我慢している人が90%くらいるのが現状。だから、「どうせ死んじゃうんだから、我慢しないで好きなコミュニティを見つけたほうがいい!」って話を地方とかでしています。

好きなコミュニティを見つけたくても、社会に出ている情報って少なすぎるんですよね。きれいごとというか、キラキラしていることばかりが伝えられていて。

でもその情報が本当なのかどうかを計るために、ミツカリがあるんじゃないかなと思います。「こういうコミュニティなんだ!」ってデータを通して本当のことがちゃんとわかるようになればいいですね。

表: ミスマッチがなくなれば、入りたいコミュニティでやりたいことをやれる人も増えると思いますね。

ーー表さんは今後どういった人にミツカリを利用して欲しいですか?

表: やっぱり課題が明確にある会社さんに導入してほしいですね。悩みが深いお客さんに提供して、課題をさらに明確にしたいです。広く浸透していけば、その先でどんなお客さんに使っていただきたいのかも見えてくると思います。

ーー表さん自身がミツカリを通して実現したいことはどんなことでしょうか。

表: 新たな心理学的な理論だったり何かの軸やルールをみつけて、それを広く使ってもらい、その結果として、不幸なミスマッチが防げたらいいなと思いますね。

自分自身はこれまで合う組織に運良く拾われて、すごく成長できたなと思っています。逆にすごく優秀な友人もいたんですが、合わない組織で働いてすぐに辞めてしまったり、という悲しいケースも見てきたので、ミスマッチが起こる現実を少しでも変えていくことができればと思います。

ーーありがとうございました!
 

Fledge
(画像=Fledge)

文・川西里奈/提供元・Fledge

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