「日本人は働き過ぎ!」という言葉をよく耳にしますが、海外の人がどんな働き方をしているかみなさんはご存知ですか?「日本よりはマシな働き方なんでしょ…」といった漠然とした考えを抱くことはあっても、その実情を知らない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、海外の人がどのような働き方をしているのか、何故そのような働き方ができるのか、日本との違いを交えながら解説していきます!

健康と生産性を考え、1日6時間労働を取り入れたスウェーデン

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スウェーデンでは、13年前にトヨタサービスセンターという企業が会社全体で1日6時間労働を導入しました。それ以来、1日6時間労働を導入する会社が少しずつ増えています。

なぜ、1日8時間労働ではなく1日6時間労働を導入したのでしょうか。それには、働く時間に関する2つの課題が問題視されていたからなのです。

1.健康の問題

週55時間働く人と週35~40時間働く人を比べると、週55時間働く人の方が脳梗塞のリスクは約35%、冠状動脈疾患のリスクは約13%も高くなるという調査結果があります。また、長時間労働による疲れやストレスから事故や仕事のミスの頻度も高まります。
以前から働き過ぎによる健康被害が問題視されていましたが、この調査結果から更に注目が集まりました。

2.生産性の問題

労働時間が週48時間以上になると生産性が下がると指摘した論文もあるほど、働く時間と集中できる時間は密接に関係していると言われています。労働時間が減ることで、時間に対する意識が強くなり、短時間で効率よく仕事を進め、生産性が上がるのではないかという見方があります。

スウェーデンの人は分業を徹底していて、自分の仕事にだけ責任を持ち他人の仕事には基本的にあまり関わらないのだそう。更に、仕事に対して価値に見合った質を求めており、安い価格帯のものに高い質を求めないという考えを持っている人が多く、ひとつの仕事にあまり時間をかけないという特徴があります。このような仕事のやり方が、1日6時間勤務ができる理由の一つであると考えます。

実際に1日6時間勤務を導入した会社は、会議時間の短縮や、業務中の仕事に関係ない行動(SNS)を減らすなどを従業員に徹底したことで、集中力が高まり生産性がアップしたという結果に。別の会社でも導入した結果、「イライラすることも減り注意力が増した」と言う人が増え、病欠が減ったという結果が出ています。
しかし、1日6時間勤務を取り入れるために人員を増やさないと仕事が回らないという会社もあり、結果コストが増えてしまうという課題もあります。

一方、日本は…

仕事に対する考え方がスウェーデンとは大きく異なります。安い価格であっても手を抜かず、高い質や完璧を求めるため、日本人の仕事の質はかなり高いものだと思います。逆に、完璧を求めすぎるが故に仕事量が増えてしまうことも。

しかし、そんな日本でも短時間正社員を導入する企業が増えつつあり、一部の人は短時間での勤務がしやすくなっています。また、ZOZOTOWNでお馴染みの株式会社スタートトゥデイでは1日6時間勤務を導入しています。

働く場所はライフスタイルに合わせる!?8割の人がリモートワークを行うノルウェー

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約8割の人がリモートワークをしているノルウェー(※1)。

なぜ、そこまで多くの人たちがリモートワークを行えるのでしょうか。それには、ノルウェーの人の働き方に2つの特徴があったからなのです。

1.仕事の時間がフレキシブル

ノルウェーの人は、仕事より家族と一緒に過ごすことを大切にし、その時間を確保するために労働時間をアレンジするそうです。上司と相談しながら、生活に合わせて仕事の場所・時間を選べるのだそう。
夕方には家へ帰り、家族と過ごしたあと、1時間程度の業務メールやプレゼン資料の作成をする人が多いのです。

2.フラットな組織

ノルウェーは人件費が高く、社員を管理するために人を雇うと、その分コストがかかってしまうため、管理職を雇い社員の管理を行うのではなく、社員自らが自分の管理を行います。
結果的にヒエラルキー組織のような上の人から指示されて作業を行うことは少なく、自分で何をすべきか考えて判断し自分の裁量で作業を進めるフラットな組織が多いようです。ホラクラシー型組織に近いかも知れませんね!

そんなノルウェーは、OECD加盟国の中で労働生産性2位と非常に高く、約9割の人は自分の所属する企業の労働生産性が高いと言っています。この高い生産性には、長時間労働が評価されず、早く仕事を済ませて帰宅する、いわゆる「生産性」で評価されるノルウェーの文化が浸透しているから。

短時間でどれだけ成果を出すか考えて作業している人が多く、顧客やメンバーとのコミュニケーションは手短にメールや電話で済ませてしまうことが多いようです。そのため、丁寧な対応があまりできていない部分があり、コミュニケーションの取り方に課題がありそうです。

一方、日本は…

ヒエラルキー組織が一般的なため、上の人から指示された作業や、手順が決まっている作業をすることが多いですよね。また、リモートワークのような管理の行き届かない働き方に不安を感じる企業が多く、会社へ出勤するスタイルが一般化されています。
しかしながら、出社することでコミュニケーションを密に取ることができたり、日本人特有の丁寧な対応で顧客とも質の高いコミュニケーションを取ることができたりとプラスの面も多いように感じます。

最近では日本国内でもリモートワークの推進を行っており、少しずつですが広がりを見せています。Fledgeを運営するえふななでも多くのメンバーがリモートワークを行っていますよ!

(※1)…ワークスアプリケーションズ :: 【調査報告】生産性第2位のノルウェーと日本における「働き方」に関する意識調査を実施

子どもが世界でいちばん幸せな国。週休3日制を定着させたオランダ

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オランダの新しい働き方が世界から注目されていることを皆さんはご存知ですか?オランダでは週休3日制がかなり定着しているようです。

なぜ、週休3日制が定着しているのでしょうか。それには、オランダの働き方に2つの特徴があったからなのです。

1.パートタイマーと正社員の待遇の差がない

オランダでは国をあげた政策で、パートタイマーと正社員の待遇の差が撤廃されています。そのため、パートタイマーも正社員と給料や条件面は同じ扱いが保証されているのです。
この政策をキッカケに失業者が減るだけでなく、経済的にも好転したそうです。また、リモートワークや在宅勤務などを取り入れている企業も多いオランダ。IT系企業は当然のこと、役所や銀行・大学までもがこのような働き方を取り入れています。「自分の働きたい時間に働きたい場所で働く」という考え方が浸透しているようですね。

2.ワークシェアリングが浸透している

労働時間を短くして仕事を分け合う「ワークシェアリング」が浸透しています。一人当たりの仕事量が増えた場合は、人を増やすという方法を取っています。
働く時間が減ると給料は時間の分だけ減ってしまいますが、働く時間が減って、家族と一緒に過ごすための時間が増えたと考えるのがオランダ人の特徴ともいえます。

そんなオランダは、共働きの家庭が非常に多く、子育て中のパパママの大半は、週3・4勤務で働いています。(パパママが交代で勤務する日を決める家庭もある。)フルタイムの正社員として働きながら保育園や幼稚園などに預けるより、できるだけ夫婦で協力して小さな子どもを育てるのだそう。
まず家族や子どもを最優先するオランダ人だからこそ、この週3・4勤務が一般的な働き方になったのだと思います。

一方、日本は…

最近では少しずつパートタイマーと正社員の差が縮まりつつありますが、ワークシェアリングの考え方はあまり浸透していないですよね。仕事量が増えても、人員を増やすのではなく、すでにいるスタッフに割り振ることの方が多いような気がします。
また、ワークシェアリングが増えることで給与が下がる可能性も出てくるため、生活のために仕事をしている人たちにとってはマイナスになることが浸透しない理由の一つかもしれません。

そんな日本でも週休3日制を打ち出したYahoo!JAPANを始め、少しずつ週休3日制の企業が増えていきそうですね!

働き過ぎは評価されない!?高い生産性を誇るドイツ

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先進国の中でも、最も労働時間が短いと言われているドイツ。
日本と同じく勤勉な国としても有名なドイツですが、ドイツの年間平均労働時間は1,371時間、日本は1,791時間でおよそ348時間もの差(※2)があります。また、労働時間当たりのGDPでも、ドイツは65.49ドル、日本は42.17ドルと23.32ドルの差(※3)が…

同じ勤勉な国でも、何故ここまでの差があるのでしょうか?それには、2つの徹底した働き方がドイツにはあったからなのです。

1.長時間の労働はNG

ドイツでは1日10時間を超える労働を法律で禁止しています。万が一、1日10時間を超える労働をした場合、会社側が15,000ユーロ罰金を科せられてしまいます。
また、ドイツでは「労働時間貯蓄制度」というものがあり、2時間残業した場合、別の日には2時間早く帰ることができます。残業した分の時間を貯蓄し、必要な時に貯蓄した分早く帰れるといった柔軟性が、長時間労働を引き起こさない鍵なのではないでしょうか。

2.有給消化は100%が当たり前

ドイツの企業は週5日勤務なら、最低24日間の有給休暇を社員が取れるよう法律で義務付けられています。ドイツの人はみんな、休暇を取るのは当然の権利だという考えを持っているため、有給を全て消化するのは当たり前です。また、病気で休む場合は有給を使うわけではなく病気休暇が別に付与されるとのこと。そのため、病気で有給がなくなってしまった…ということはないのです。有給は健康な状態で過ごすものという考えがあるため、バカンスを楽しむ人が多いようです。
プロジェクトごとにタスクと進捗状況・担当者が共有されていることが多く、進行をいつでも確認することが出来るので、休暇の計画が立てやすいというのも理由の一つかもしれませんね。

そんなドイツでは、短い時間の中でどれだけ大きな成果を上げるかが最も重要視されます。労働時間が長いのに成果が出せない社員は評価されません。そのため朝早くから夜遅くまで会社に居続ける人は仕事ができない人と思われることも。

また、量より質が重視されるため、いくら仕事の量をこなしても質が悪ければ評価されないのです。自分のやるべきことをしっかりこなしていれば、周りが咎めることはありません。
短い時間の中で自分のやるべきことにどれだけ質を保ちながら取り組めるか、という考えがあるからこそ、このような働き方ができるのだと思います。

一方、日本は…

長時間労働の温床と言われるほど、長い労働時間は国を挙げた問題となっていますよね。また、有給取得率も50%(※4)という調査結果が出ています。
このことから、日本の働き方は時間で質を担保している部分が少なからずあるように感じます。丁寧で完璧なサービスは世界に誇れるレベルだと思いますが、長い労働時間のもと成り立っている部分も多いのではないでしょうか。

しかし、最近では政府が残業時間改定の取り組みを行い、政府だけでなく長い労働時間の問題に向き合う企業が少しずつ増えているのです!

(※2)…世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD) - Global Note
(※3)…時間当たり労働生産性 国際比較統計・推移 - Global Note
(※4)…有休消化率3年ぶりに最下位に!有給休暇国際比較調査2016│エクスペディア

もはや文化!?複数の仕事を持つことが当たり前なベトナム

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ベトナムでは、なんと約65%もの人が副業(ダブルワーク)を行っています(※5)。もはや副業が文化になっているベトナムの人たちは、複数の仕事を行うことが当たり前なので、「副業ってなに?」と聞かれることもあるそう。

なぜ、ここまで多くの人が副業をしているのでしょうか?ベトナムの人が複数の仕事をかけもちする理由は2つあります。

1.終身雇用という文化がない

そもそも終身雇用という文化がベトナムにはありません。
会社と被雇用者は短期で契約を結ぶことが多いため、一つの会社にずっといるという文化があまりないのだそう。また「別の会社で働いて辞められたら困る」といった会社側の縛りも少ないようです。

2.効率よくお金を稼げる

ベトナム人の大学卒の平均月収は約30,000円程度だと言われています。そのため、効率よくお金を稼ぐことを念頭に置いて働いている人が多いのです。自分ができる知識やスキルをお金に変えられるなら、何でもやるという考えの人も少なくないとのこと。

そんなベトナムは近年IT大国として注目されていて、2020年までに情報通信産業のGDP比率を8~10%にする目標を掲げている(※6)ことで、ソフトウェア産業は重要な分野とされています。IT系の仕事は他の分野と比べると平均月収が最低でも約5万円高いのだそう。その影響からIT系の仕事は年々人気を増していて、本業とは別のプロジェクトに所属して働いている人が多いようです。

また、日本に比べ始業時間が早く、終業時間も早いとのこと。更に残業をあまり好まず、残業をする時間があれば、家族と過ごす時間やスキルアップのための時間として使います。このような時間に対する意識も、ベトナムの人が複数の仕事を持つことができる理由の一つかもしれないですね。

一方、日本は…

「終身雇用崩壊」と言われつつも、完全に崩壊したとは言い難い現状があります。そのため、「今所属している会社だけにずっといられればいい!」と考える人も少なからずいるのではないでしょうか。また、「辞められてしまうのではないか…」という考えから、現時点では複数の職を持とうとすることに抵抗を持つ会社も多いように感じます。

しかし、日本にも複数の職を持つことを推奨している会社が少しずつ増えてきているんです!

(※5)…ベトナム人の副業事情についてに関するベトナムマーケットレポート |  Q&Me
(※6)…ベトナム最新IT事情 - CICC(PDF資料)

まとめ

様々な国が様々な働き方を取り入れており、その中のほんの一部をご紹介させていただきました。

今回、記事を書いていく中で様々な国の働き方について調査したのですが、多様な働き方を取り入れている国には共通した特徴がありました。
それは、「家族との時間を一番に優先する」こと。家族との時間が減るくらいなら働き方を変えていけばいいじゃん!という確固たる信念のもと、多様な働き方を実践しているように思いました。

そんな海外の多様な働き方をいくつかご紹介してきましたが、日本でも確固たる信念のもと多様な働き方を実践している素敵な企業があるのです。Fledgeではそんな企業を数多く取り上げていますので、これを機にチェックしてみてください♪

文・YUKA SUZUKI/提供元・Fledge

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