2020年に行われたある世論調査によると、現金で決済をする人の割合が過去最低となったことがわかった。クレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス決済が増加し続けている。国際的には日本のキャッシュレス化はかなり遅れていて、経済産業省は2025年までに日本のキャッシュレス決済率を40%、将来的には80%にするという目標を立てている。お隣の韓国ではキャッシュレス決済の比率が90%を超えているという。
新型コロナウイルスの流行の影響もあり、日本でも急速に進んでいるキャッシュレス化。その先に待っているのは一体どのような社会なのだろうか?

コロナ禍で一気に加速したキャッシュレス化

キャッシュレス決済を導入する事業者も急速に増えてきている(写真=オトナライフより引用)

 日本銀行に事務局を置く金融広報中央委員会が2020年の8月から9月にかけて「家計の金融行動に関する世論調査」を行なった。それによると対象となる2人以上の世帯、2,052世帯では、1,000円以下の決済における現金の割合は、2019年の84%から70.8%に減少。クレジットカードは9.1%から14.1%に、電子マネーは18.5%から29.6%に上昇。さらに1万~5万円までの決済においても、現金の割合は48.5%から33.9%に減少、クレジットカードは58.5%から65.1%に、電子マネーは3.4%から6.4%に上昇した、ということが分かった。現金の割合は過去最低に、クレジットカードと電子マネーは過去最高だという。

 この現金離れの要因の一つは、2019年の消費税率引き上げに伴う消費活性化対策として国が推し進めた「キャッシュレス・ポイント還元事業」だった。これによりQRコード決済も一気に普及した。また2020年からの新型コロナウイルスの流行によって、非接触決済が好まれるようになったこと、巣ごもり需要でインターネットでの買い物が増えたことが、キャッシュレス化の勢いをさらに加速させた。上記アンケートの結果を見る限り、経済産業省の2025年までに40%とする目標は、あと4年を待たずしても達成することができそうである。