森記念財団が毎年出している世界主要都市の「総合力ランキング」(GPCI)が発表されました。これは世界の主要都市の総合力を、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野から複眼的に評価し、順位づけするものです。東京はロンドン、ニューヨークに次ぎ、3年連続で3位となっています。

2008年に調査が始まって以降、東京は4位が定位置でした。2015年にそれまで3位だったパリで同時多発テロが起きたことから2016年に1つ順位を上げました。2020年の東京五輪を契機に一気にトップに躍り出たいところです。現にロンドンは五輪を開催した2012年に1位となり、2018年時点でもその座を守っています。

東京の強みと弱み

東京の強みと弱みは何でしょうか。強みはまず研究・開発の分野です。2018年はニューヨークに次いで2位に選ばれました。また経済の分野でも、安定してトップクラスの順位を維持しています。一方、東京の弱みの一つが環境分野です。二酸化炭素(CO2)排出削減やリサイクル、再生可能エネルギーに関する評価が相対的に低いことから、対象となっている44都市中29位と全体の足を大きく引っ張っています。

東京五輪を目前に控え、改善が求められている文化・交流の分野では4位でした。買い物や食事の魅力が評価され、訪日外国人や留学生が増えていることなどから徐々に上がってきてはいるものの、トップの2都市との差を大きく縮めることはできていません。さらに交通・アクセス分野では「公共交通の充実・正確さ」「通勤・通学の利便性」、「渋滞の少なさ」といった都市内交通に関する評価が高い傾向です。

一方、国際線直行便就航都市数の少なさといった海外と日本を結ぶインフラ施設の不足が弱点となっています。特定の分野だけを突出して伸ばしても1位に浮上することはできません。「“総合力”ランキング」の名のとおり、いかにバランスよくスコアを取るかが重要です。最大の弱点である環境分野については、2019年の5月に東京都知事を小池百合子氏が「2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにする」と宣言しました。

具体的には、2030年までに焼却される廃プラスチックを4割削減することや、電気自動車、FCV(水素を燃料とする燃料電池車)など、走行時にCO2の排出をできる限り抑える自動車の普及を後押し。2025年には普通充電器を現在の2倍の約5,000基に増やすことなどを目標として掲げています。

注目は五輪後のインフラ活用

近年、日本では東京の各大都市でさまざまな再開発を進めてきましたが、ロンドンのように五輪終了後もトップをキープするには、継続的な成長が欠かせません。特に注目されているのが、競技会場が最も集中する湾岸エリアです。最近では、築地市場の移転に伴う環状2号線の整備、選手村を再開発する「HARUMI FLAG」プロジェクトなど、大きな動きが出てきています。

HARUMI FLAGは、東京都が整備するマルチモビリティステーションや公園、中央区が小学校を新設するなど官民が共同で実施する街づくりで、3つの分譲街区で合わせて4,145戸が供給される予定です。また、都心部と湾岸エリアを結ぶ「東京BRT(バス専用レーンや専用道路を走るバスのことで、通常の路線バスよりも効率よく輸送可能)」の整備は、交通・アクセス分野の底上げにつながることが期待されます。

ますます激化する都市間競争の中、果たしてこれらの取り組みで東京が1位となり、持続させていくことができるのでしょうか。世界の名だたる都市を相手にどのような奮闘ぶりを見せるのか、熱戦が予想される東京五輪とあわせて注目していきましょう。

文・J PRIME編集部/提供元・J PRIME

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