上司が理解していない「最近の若手」の4つの本音 3年は在社なんてムダ

2019.10.3
BUSINESS
(写真=Doucefleur/Shutterstock.com)
(写真=Doucefleur/Shutterstock.com)
(本記事は、平賀 充記氏の著書『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』=アスコム出版、2019年6月3日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

時間を奪われるのが最恐最悪のパワハラ

20代の若手社員に何が一番のパワハラかを尋ねたら、意外な答えに最も多くの賛同が集まりました。

「何十分も説教されるのが一番嫌かも。時間を奪われるのが最悪」てっきり、暴言を浴びせられたり怒鳴られたりする説教がパワハラかと思っていたのですが、それよりも時間を奪われることにハラスメントを感じると言うのです。

これは新たな気づきでした。無茶な仕事を振られるのも、理不尽な指示を受けるのも、結局は時間が無駄になるのが一番のダメージだと、彼らは考えているのです。逆に強烈な説教であっても、パッと終わるのであれば構わないとさえ言っていました。

もちろん、これはひとつの例ですが、若者が全般的に時間に対してとてつもなく大きな価値を見出しているのは確かです。

第2章で見た通り、何百人とか千人超というフォロワーとつながり、いくつものコミュニティに所属して、マルチに活動している若者は、オトナが想像している以上に忙しい毎日を送っています。そんな中で、どうやって時間を生み出すか、そしてその時間で何を生産するか。「コストパフォーマンス」ならぬ「タイムパフォーマンス」を常に追求しているのです。

定時に帰りたがるなどと言われることもありますが、若者たちも働きたくないわけではありません。私が聞いた若者の時間に対するコメントをいくつか紹介しましょう。

「親とかの世代は長時間働くことを正当化している」「金はツール。時間を買うツール」「ブラック企業は適切な評価や賃金がもらえない企業。いくら長く働こうが評価されればいい」「仕事の時間と自分の時間を分けたいから、そこに踏み入ってこられるとパワハラと思う。起業したら仕事の時間と自分の時間は一緒になる」

「同じ量の仕事を、昔より短い時間でやらないといけないから、そこは困る。昔の人はいくらでも時間をかけられたが今は違う」

どうやら若者たちには、オトナ世代には仕事に費やせる時間がたっぷりあったけど、自分たちは違うという感覚があるようです。

ところが、それを理解できていないオトナは、自分の時計で若者を縛ってしまいます。一言で結論を伝えればいい話をだらだら続けたり、わざわざ会議するまでもない内容なのに仰々しく集められたりすることは、若者にとって苦痛でしかありません。

上司の時間も部下の時間も平等に流れているという認識が大事です。

石の上で3年も費やすムダ

オトナは時折、若者に修行の機会を与えようとします。

「まずは1回、自分で考えてみてよ。それから打合せしよう」

なんでもすぐに答えをほしがるな。自分で考えるようになってほしい。そうした悩みの時間や、立ち止まって考えること、それが経験値となって成長につながる。そんな想いで、あえて課題を与えるわけです。

しかし残念ながら、若者にその想いは届きません。「なんだこの無駄なやり取り」と思われるのがオチです。彼らは「無駄なく最短ルートで成長したい」と考えているのです。

インターネットやSNSには、さまざまな情報が存在します。そこには仕事の解もたくさんあると、彼らは信じています。自らが難しいことに挑んで無駄に時間をかけるより、SNS上の友達から答えを聞けばいい。そのほうが仕事も捗るとナチュラルに考えているのが若者です。

同じような価値観から、若者はジョブローテーションを好みません。その昔、狭き門を勝ち抜き念願のレコード会社に就職した友人が、最初に総務課に配属されました。彼はオフィスの電球を替え、トイレが詰まったら掃除するという修行期間を経て、プロデューサーに上り詰めました。このエピソード、オトナ世代には美談ですが、若者にはまったく意味不明でしょう。

何事も続けることで道が開けると信じて、「石の上にも3年」を地で行っていた時代もありましたが、今の若者は3年も時間を無駄にできません。せいぜい3分です。

飲み会のコスパ、残業のコスパ、出世のコスパ、人生のコスパ

デフレの真っ只中で育った今の若者は、無駄遣いをしません。メディアではよく「今どきの若者は欲がない」「お金の使い方を知らない」などと語られますが、無理もありません。若者の多くは将来のお金に不安を抱えています。高度成長期やバブル期のように、イケイケドンドンの夢が見られない時代、「金は天下の回りもの」などという発想を持てるはずがありません。

そんな倹約体質をさらに強くさせるのが、ネットの存在です。価格比較サイトで、口コミやレビューが山ほど読めます。メルカリでお得に買い物ができます。こうした環境が、「1円でも損したくない」という気持ちを助長させているのです。

若者がとにかく気にするのが、コストパフォーマンス。いわゆるコスパです。日用品は百円ショップ、洋服はファストファッション、自動車はシェア、音楽は聴き放題サービス。最低限の価格で機能があれば十分。逆に「なんで高いお金を出してそんなものを買ったの?」と思われることが最大の屈辱。コスパはもはや、若者にとって強迫観念と化しています。

コスパの概念は当然、仕事にも適用されます。飲み会のコスパ、残業のコスパ、出世のコスパ、
なんでもコスパです。「やたら残業して40万円稼ぐより、定時帰りで20万円ならそれでいい」「叱られまくって40万円稼ぐより、叱られないで20万円のほうがいい」

欲望を刺激するより、コスパに訴えたほうが若者の心は動きます。

それって意味あります?理不尽と書いて無能上司と読む

「それって、やる意味あるんですか?」

職場で若者をマネジメントする人ならば、多くの人が聞いたことのあるセリフではないでしょうか。イラッとして「いいから言われたことを黙ってやれ!」と言いたくなる人もいるかもしれません。でも、それは一番のタブー。若者にとっては、物事の「意味づけ」がなにより大事だからです。

昨今、マネジメントではよく「目標より目的で語れ」と言われます。例えば「うちの店で売上100万やろう!」と言っても、若者は動いてくれません。「私たちの仕事は、お客様のためにあります。お客様の満足が、私たちへの信頼となり、その信頼の積み重ねが100万の売上になるのです」と説明して、やっと腹に落ちるといった具合です。物事の大小にはこだわりはありません。たとえ小さなことでも、誰かのためになるとわかれば真面目にやりきります。

反面、理不尽なことにはものすごいアレルギー反応を示します。

「仕事とは理不尽なものだ。社会とは理不尽なものだ。今までキミたちが生きてきた学生生活とはまったく違う。覚悟してほしい。くわしく聞きたいやつは、3000円握りしめて私のところに来なさい。飲みながら続きを教えてやる」

これは、私が新入社員として出勤した初日に、人事部長が挨拶で語った言葉です。

オトナであっても無意味なことはやりたくなくて当然です。しかし仕事においては「とにかくやれ!」という理不尽が通用していました。なぜなら、経済が右肩上がりの時代には、やれば必ずリターンがあると信じられたからです。

しかし今は、先行き不透明な時代。とにかくやってもリターンが返ってくる保証はありません。若者はただ働きたくないのではなく、「やり損」になるリスクを避けるために、ひたすら合理性を求めるのです。

職場には「理不尽耐性」イコール「オトナの度量」とする風潮が、確実に存在していると思います。しかし意味づけが大事な今の若者にとって、理不尽とは「ブラック企業」や「やりがい搾取」と同列に位置するネガティブワードです。

若者に理不尽な上司とは?と聞いてみたところ、指示がコロコロ変わる上司や、簡単に前言を覆す上司という声が多数でした。そういう意味で、理不尽とは、無能な上司によってもたらされる職場の災害だともいえます。インターンで働く21歳の男子大学生は、「理不尽なことに反論しても、どうせまた理不尽が返ってくる。だからやり過ごすようにしている」と言っていました。話がわからない相手は無視するだけ。そして静かに去るのみです。

そんな彼らに、仕事はそもそも理不尽なもの、理不尽に耐えてこそキミの成長がある、などと説こうものなら、自分が無能であると認めているようなもの。途端にそっぽを向かれてしまうでしょう。
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平賀充記
ツナグ働き方研究所所長。株式会社ツナググループ・ホールディングスエグゼクティブ・フェロー。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年、株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。人事部門で新卒採用を担当後、リクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を務め、2009年にダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げ。2012年、リクルート分社化で株式会社リクルートジョブズ、メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年に同社を退職、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。
 

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