大手コンビニの2019年3~5月期(2020年2月期・第1四半期)の決算が出揃った。ファミリーマートが営業収益を落とした一方で、セブンイレブンとローソンは好調だ。最新決算の内容を紐解いたうえで、今後のコンビニ業界における勝敗の分かれ目について考える。

直営店売上が不調のファミマ

ファミリーマートの親会社であるユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)の2019年3~5月期の連結決算では、ファミリーマート単体での営業収益は前年同期比7.5%減の1,024億9,400万円と不調に終わっている。

加盟店からの収入は前年同期比2.1%増の853億900万円と微増したが、直営店の売上高が同35.3%減の113億1,300万円と大幅に下落し、ファミリーマート全体の営業収益を押し下げた。

なぜ、直営店の売上高がここまで落ちたのだろうか。要因の一つは、直営店の国内店舗数が減っていることだ。2019年5月末時点の国内直営店は251店舗で、1年前と比べて59店舗も減っている。2020年2月末にはさらに直営店を減らして、全国で215店舗体制を予定している。

ただし、加盟店を含めたファミリーマート全体としては、2019年5月末時点で1万5,507店舗との前年同期比で338店舗増えており、2020年2月末には1万5,613店舗まで増やす計画だ。加盟店収入が今後どれだけ伸びるかが注目されるだろう。

増収増益のセブン­-イレブン

セブン&アイ・ホールディングスが発表した2019年3~5月期決算におけるセブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)の業績を見ると売上高は52億円増で、44億円の増益も果たしている。

同社はこの結果について「既存店売上は計画未達も、荒利率の伸長と販管費適正化により計画達成」と決算資料に記載しており、売上高の増加は店舗数の増加が大きく影響したことを説明している。

ただし、客数に関しては直近24ヵ月中20ヵ月が前年割れとなっており、厳しい状況が続く。同社も「最大の課題は客数」と明確に説明しており、来店客を増やす施策の必要性に触れている。

同社はその後、7月に導入した独自のスマホ決済サービス「7pay(セブンペイ)」で来店客数を伸ばそうとしたが、不正利用が発覚したことなどにより9月末でサービスが終了することとなり、水が差された感がある。

純利益を16.5%伸ばしたローソン

ローソンはどうか。2019年3~5月期におけるローソン全体の営業利益は前年同期比12.4%増の142億2,470万円、純利益も同16.5%増の71億8,400万円と好調だった。

国内コンビニエンスストア事業では、「加工食品」「ファストフード」「日配食品」「非食品」のすべての商品群において前年同期比で売上高を伸ばしている。ファストフードでは、カウンターで販売するからあげクンの新ラインナップ「超(スーパー)からあげクン」が人気を集めたことが注目された。

決算発表では、ゴールデンウィークスタンプラリーやスピードクジなどの販促施策も集客に結びついたと説明している。

「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」を合わせた店舗数も1万4,681店舗となり、1年前と比べて22店舗増えている。

新たな決済システムへの対応や働き方改革もカギ

コンビニ業界では、キャッシュレス対応や「ペイ系」への対応などが急務となっている。また、人手不足や人件費の高騰、長時間労働などの課題がある中、24時間営業の是非も問われており、各社の取り組み次第ではブランドイメージに大きな影響を与える可能性もある。

今後のコンビニ業界における勝敗の分かれ目は、新商品開発や店舗展開ももちろん重要だが、新たな決済システムへの対応や働き方改革への取り組みにもあると言えそうだ。

文・MONEY TIMES編集部
 

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