餃子の王将が、一時の業績低迷から復活を果たしている。さまざまな経営改革の取り組みが功を奏した結果と言えるが、その中でも「王将大学」は復活のエンジンとなった。最新決算の内容を紐解きながら、同社の取り組みに迫っていこう。

餃子の王将、売上高が過去最高を記録

餃子の王将を展開する王将フードサービスが発表した2019年3月期の連結決算では、通期の売上高が前期比4.5%増の816億3,800万円で、過去最高となった。餃子の王将は2015年から2017年まで3年連続で売上高が減少していたが、ここに来て業績低迷から完全に抜け出したという印象を業界に強く与えた。

経常利益は同26.5%増の73億1,000万円で、減少が続いていた純利益も同14.7%増の41億8,900万円を確保した。実は、王将フードサービスの復調は2年前から続いており、2017年3月期から2018年3月期にかけても売上高を約30億円伸ばしている。

餃子の王将の完全復活は、どのようにして実現したのだろうか。

餃子の王将の復調の理由は「王将大学」?

王将フードサービスが2019年7月に発表した2020年3月期の第1四半期(2019年4~6月)決算では、同社が実践している主な戦略と成果について説明されている。具体的には、「積極的な人材教育投資」や「生産性向上」「料理の味の向上」「テイクアウト強化」などが挙ており、複合的に取り組みを進めていることがわかる。

特に注目したいのが、「積極的な人材教育投資」だ。王将フードサービスは2017年の組織改革で社内に「王将調理道場」と「王将大学」を開設した。「王将調理道場」では社員の調理レベルの向上を図り、「王将大学」では従業員の店舗マネジメント能力の向上に注力。従来は店舗ごとでの研修だったが、アカデミー制を採用し集約することで、マインドとスキルの醸成が加速したようだ。

こうした結果が各店舗におけるQSC(品質・接客・清潔さ)の向上に結びついたと考えられる。同社はその成果として「本年の大型のゴールデンウィークにおける店舗の受け入れ態勢を整えることができ、店舗の混雑とチャンスロスを最小限に抑えることができた」と説明している。

餃子の王将では2020年3月期の第一四半期も売上増が続き、2018年2月から17ヵ月連続で過去最高売上高を更新し続けている。

新業態「GYOZA OHSHO」、東京にも進出

人材教育の強化だけではなく、新業態の店舗「GYOZA OHSHO」にも注目したい。

2019年3月に東京では初となる6店舗目がオープンした「GYOZA OHSHO」は、今までとは異なる新たな客層をターゲットにしている。店内はモダンでおしゃれな内装に仕上がっており、女性客の獲得を強く意識していることがうかがえる。

メニューにも工夫を凝らしており、女性受けするよう栄養バランスにもこだわっている。ランチ用にお値打ちメニューも開発し、テイクアウトメニューも充実させた。これまで少なかった女性客を取り込むことができれば、さらなる成長が期待できる。

国内店舗数は減少も海外で台湾3号店を開業

しかし餃子の王将にとって、今はまだまだ踏ん張り時であるとも言える。国内飲食業界では人手不足が続き、雇用環境の改善を主張する世論も高まりつつある。経営体質の強化に向け、社内改革も引き続き求められるはずだ。

国内店舗数が2019年3月末時点で前年比7店舗減の729店舗となっていることも気がかりだ。しかし、同社は2017年に台湾南部の高雄市内に直営店を2店舗オープン、2019年4月には3店舗目を開業するなど、海外展開にも力を入れており、海外事業の成功でさらに業績を伸ばすことも十分考えられる。

低迷から復活、そしてさらなる成長へ、餃子の王将の挑戦は今後も続きそうだ。

文・MONEY TMES編集部
 

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