「日本企業はグーグルに勝てるのか?」BCGが示す、最先端のコンサルティングファーム像とは

2019.9.10
BUSINESS
(画像=Liiga)
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株式会社ジョブウェブ、株式会社産学社は7月3日、ボストン コンサルティング グループ(BCG)などと協力し、学生・若手社会人向けのトークイベント「戦略系コンサルティングファームのキャリアデザイン」を開いた。BCGの高部陽平マネージング・ディレクター&パートナー、岩渕匡敦マネージング・ディレクター&パートナー、生田目将慎パートナーらが登壇。1960年代から日本に根を下ろしトップ企業の経営層と太いパイプを持つBCGならではの強みや、近年力を注ぐデジタル関連の取り組みなどを紹介した。東大・早慶などの学生や戦略コンサルに興味を持つ社会人らが参加し、現役トップコンサルタントの話に耳を傾けた。

データサイエンティストにデザイナー、進む人材の多様化

主催者代表の佐藤孝治ジョブウェブ会長が司会を務めたトークセッションでは、BCGの岩渕氏、生田目氏が登壇。参加者からの質問にも答えつつ、普段あまり表に出ないBCGの採用やキャリアパスについて率直に語り合った。

BCGではデジタル化の流れに伴い、社内が急速に変化している。生田目氏は、「今までのBCGにはいなかったスキルや経験を持つ方たちを積極的に採用し、組織として進化している。従来のコンサルタントだけでは、急激なデジタル化にキャッチアップできない。専門性と多様性をかつてないほど重視している」と採用方針を紹介。

岩渕氏は「近年デジタル化の中心を占めてきた広告などBtoC関連では、GAFAの寡占の状況もあり日本企業が市場に新たなインパクトを与えるのは難しいが、BtoBビジネスやインフラなどの領域は日本にとって面白い戦いになる。この領域の改革やイノベーションは社会的意義も大きく、データサイエンティスト、デザイナーといった職種の人にとってもやりがいのある仕事になる。実際、パッションのある人たちがBCGにどんどん入ってきている」と活躍機会の豊富さに触れた。
 
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岩渕匡敦マネージング・ディレクター&パートナー(画像=Liiga)
とはいえ、こうしたデジタル系人材とコンサルタントでは、バックグラウンドが全く異なる。「初めは互いに戸惑うこともあった」と、岩渕氏は初期の苦労に言及。「例えばデータサイエンティストは専門的なスキルで価値を創出することに注力し、これに対しコンサルタントはパワーポイントでの資料作成や経営報告をリードしていく。最近はうまく融合できていて、最終的にはそうしたバックグラウンドの違いを面白いと感じられる人が、活躍できていると思う」と述べた。

生田目氏はキャリアパスについてコンサルタントとしてパートナーを目指す「ジェネラルトラック」に加え、特定分野の専門性を磨く「エキスパートトラック」があることを紹介。「途中までジェネラルで、ある時点からエキスパートに切り替えることも可能」と、キャリア選択の自由度を示した。
 
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生田目将慎パートナー(画像=Liiga)
話題はBCGを“卒業”した人材のキャリアにも及んだ。生田目氏は「多いのは事業会社の経営陣、若手であれば幹部候補、あとはPEファンド。最近では起業、No.2やCxOレベルでスタートアップに参画、もしくはベンチャーキャピタル(VC)に行くといった例も増えている。さらには、一度外で異なる経験を積み、またBCGに戻ってくるキャリアもある」と近年の傾向に言及した。

他ファームがクラシックなら、BCGはジャズ

セッション後半は、参加者から寄せられた質問に両氏が答える形で進行。特に多かった質問が、他ファームとの違いだ。

外資戦略コンサル同士の比較では、「音楽で例えると、他の戦略系ファームがクラシックだとすると、BCGはジャズなのでは」と岩渕氏が指摘した。

どちらかと言えば譜面通りの正確さで短期的な財務インパクトを目指す他社に対し、複数の専門家が柔軟な発想を持ち寄り、中長期の課題解決を促すBCG-。ジャズ的なインプロビゼーション(即興)の要素やコンサルタントの独創性が多分に求められ、「時には今まで見たことのない楽器を弾く人がいたり、各々譜面通りには弾かなかったりするが、ぴったり合うと素晴らしい音楽になる。それがBCGらしさ」という。

また、デジタル分野などの事業拡大を踏まえ、「総合コンサルになるのか?」といった質問に対しては、岩渕氏が「(総合コンサル化は)目指していない」と否定。「社会インパクトの大きい仕事、高い付加価値をデリバリーできる仕事にフォーカスしているので、何でもやるスタイルはとらない」とした。

ユニークだった質問は、「日本のクライアントはグーグルに勝てるのか?」というもの。岩渕氏は「確かにクライアントからも頻繁に投げかけられる質問」としつつ、「まず『なぜそのような質問をするか?』と問い返すことが多い」と回答した。

その上で、「むやみやたらとGAFAに戦いを挑むのは意味のないこと。冷静に一歩引いて、『目標はここで、あなたの立ち位置はここだから、こっち側から山を登ると上手くいく、こういうM&Aをしたらどうか』とアドバイスをすることが多い」と述べた。

デジタル戦略を支える4チーム

講演の部では高部氏が、近年BCGが注力しているデジタル分野の取り組みについて説明した。BCGジャパンは、2018年5月に新組織「DigitalBCG Japan」を創設。同組織と既存コンサルティング部門が有機的に連携し、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)などを支援する体制を築いている。「DigitalBCGでは、データサイエンティストやUI/UXデザイナーなど、コンサルタントではない方々にも存分に活躍していただく“箱”を提供している」と高部氏は解説した。

BCGジャパン全体でデジタル関連のプロジェクトに携わるのは、主に以下の4チーム。

① BCG Technology Advantage
(BCGジャパン本体、テクノロジーに強いコンサルタントが所属)

② BCG GAMMA(DigitalBCG Japan傘下、データサイエンティストらが所属)

③ BCG Platinion
(DigitalBCG Japan傘下、ITアーキテクチャー、UI/UXデザインなどの専門家が所属)

④ BCG Digital Ventures(別組織、新規事業創出などを支援する起業経験者が所属)


デジタルに強いコンサルタントとさらに“尖った”専門家が手を組むことで、より難しい課題の解決を可能にする仕組みだ。高部氏は連携の例として、「Technology Advantageのコンサルタントが顧客の現場をどう変えるかをデザイン。顧客のターゲティングを変更するならば、GAMMAのチームがターゲティング手法のアルゴリズムを提供し、現場に落とし込んで結果を出すのをTechnology Advantageと一緒に進めていく」と述べた。
 
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高部陽平マネージング・ディレクター&パートナー(画像=Liiga)

CEOから高い支持、セクター×テーマで徹底支援

このほか高部氏は、「Unlock the Potential(潜在性を開花させる)」をキーワードとするBCGの理念も紹介。「企業の潜在性を開花させることで業績を上げ、政府など公共の可能性を引き出して社会を良くし、さらに関わる個人の能力を解放することでキャリア形成を支援することがBCGの基本的存在意義。コンサルティングというビジネスは、そのための手段になる」と説明した。

また、日本市場では経営者に信頼されるアドバイザーとしてBCGが突出している点に触れ、「他ファームより長く日本に根差した事業展開をしているため、CEOの相談者として圧倒的地位を築いている」と強調。結果として「社会インパクトが極めて大きい仕事が多い」と実績を紹介した。

続けて、経営者からの相談で多いものとして、

・環境変化が激しい中で誰を競合と認識すべきか
・組織をどう変えてベンチャーやテクノロジー系企業のスピード感に対抗すればいいか
・経営資源をどう配分すればいいか
・新規市場にどう参入し勝っていけばいいか


などを挙げつつ、「こうした経営の本質に関わる難しい課題を解決できる知見の蓄積が、BCGの特徴の一つ」とした。

その上で、近年の傾向について「特定テーマの専門性と、顧客が抱える固有事情への理解の両方が高レベルで求められている」と指摘し、「インダストリー」より細かい「セクター」単位で各コンサルタントが専門性を磨く組織体制を紹介した。

BCGでは自動車、金融、食品といったセクターと、テクノロジーなど支援テーマの2軸でコンサルタントの得意領域を可視化しており、これにより、各プロジェクトに対する最適な人材配置を可能にしている。高部氏はセクター別では保険、支援テーマ別ではテクノロジーに通じた自身の専門性を紹介した上で、「個々のコンサルタントが自分にフラグを立てながら、得意な方面へキャリアを寄せていくことができる」と仕組みを解説した。

当日は会場内とオンラインで計200人近くが聴講し、活発な質問からはBCGに対する関心の高さがうかがえた。結びでは佐藤ジョブウェブ会長が「転職か、起業か、または今の会社で上にいくかなどキャリアで悩んでいる人は多い。学生と社会人の両方がキャリアについて学べるこうした機会は、今後もっと作っていきたい」と述べ、イベントを締めくくった。
 
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佐藤孝治ジョブウェブ会長(画像=Liiga)
〈登壇者Profile〉

高部 陽平(たかべ・ようへい)
ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&パートナー
プライスウォーターハウスクーパーズ、IBMビジネスコンサルティングサービスを経て2005年BCGに入社。BCGミュンヘン・オフィスに勤務した経験を持つ。BCGグローバルの保険グループのアジア・パシフィックリーダー、BCGジャパンのデジタル&アナリティクス・リーダー、および、DigitalBCGのジャパン・オフィスリーダーを務める。
デジタル・IT分野に豊富な経験を有し、保険、金融を含む多様な業界向けにテクノロジーを活用した競争優位構築を主軸とするプロジェクトを数多く手掛ける。最近携わったプロジェクトは、デジタル戦略・ロードマップ策定、デジタルトランスフォーメーション、AI・データ戦略など。

岩渕 匡敦(いわぶち・まさのぶ)
ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&パートナー
ソフトバンク、複数のIT・ベンチャー企業のマネジメントを経験後、複数の外資系コンサルティング企業でデジタル領域をリードし、その後BCGに入社。BCGジャパンのデジタル&アナリティクスのコアメンバー。
幅広い産業に対し、デジタル戦略構築、デジタルトランスフォーメーションの支援に加え、先端技術を用いたイノベーション創出、サプライチェーン、マーケティング、成長戦略に関連するコンサルティングを数多く手掛ける。

生田目 将慎(なまため・まさのり)
ボストン コンサルティング グループ パートナー
フューチャーアーキテクト、アクセンチュアを経て2010年にBCGに入社。Technology Advantageのコアメンバーであり、現在はTechnology Advantageの採用担当責任者を務める。 
幅広い業界に対し、ITアーキテクチャー、ITソーシング戦略・ITコスト削減、事業戦略、新規事業構築などのプロジェクトを多く手掛ける。

佐藤 孝治(さとう・こうじ) ジョブウェブ代表取締役会長。
1996年10月ジョブウェブを創設。1997年7月、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。1999年10月、ジョブウェブを法人化。現在、学生の就職支援と企業の採用支援と社会人のキャリア支援に取り組む。

提供元・Liiga

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