世界でコロナ禍からの経済復興が期待される2021年。アフターコロナと呼ばれる国際社会でも、引き続き国連が提唱する「SDGs」が多くの企業にとって果たすべき使命となってくることは変わらないでしょう。

もちろん使命というだけでなく、SDGsは魅力的なビジネスチャンスでもあります。そこで今回は、経済復興の旗手となりうるSDGs領域の注目スタートアップを調べてみました。

今さら聞けない?「SDGs」とは何か

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を省略した用語です。

2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、国連に加盟している国が2016年から2030年までの15年間で達成すべき17の目標で構成されています。具体的には、「貧困をなくそう」「安全な水とトイレを世界中に」「気候変動に具体的な対策を」など、社会や環境に関する幅広い目標が設定されています。

SDGsの17種類の目標には、それぞれ具体的な行動指針(ターゲット)が設定されています。たとえば「貧困をなくそう」という目標には、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」というターゲットなどが設定されています。

世界から注目を集める、日本のSDGsスタートアップ

SDGsには、政府や大手企業だけでなくスタートアップと呼ばれる新興企業も積極的に取り組んでいます。たとえば、SDGsの目標達成をテクノロジーで解決するスタートアップを発掘・支援する目的で行われている「Extreme Tech Challenge(XTC)」と呼ばれるコンテストでは、日本から以下の2社がパリで行われた本選への出場を果たしました。3アクセルスペース アクセルスペースは、超小型衛星の技術を用いたソリューションを提供する企業です。具体的には、“オーダーメイド”の衛星の制作や、小型衛星を用いて世界的に問題になっている違法伐採を早期発見するといったサービスを開発し、提供しています。

XTCの日本予選では、技術力や将来的な市場の大きさが高く評価されました。3インスタリム インスタリムは、3D-CAD(3次元 製図・設計支援ツール)や3Dプリンティング、機械学習の技術を応用し、低価格・高品質な義肢装具を製作している会社です。同社は従来の10分の1の価格で義足を販売することに成功し、これまで義足を購入できなかった途上国の障がい者の方に義足を提供しています。

XTCの日本予選では、社会貢献度の高さはもちろんのこと、現実的に購入できる値段と利益の確保を同時に実現している点が高く評価されました。

【参考】XTC JAPAN COMPETITION 2020レポート@Nagatacho GRiD)

SDGsへの取り組みは実益も兼ねている

SDGsに取り組む企業は、外部のステークホルダーに対して積極的に社会問題の解決に努めていることをアピールできます。そのため、消費者や投資家からの信頼性獲得、従業員のモチベーション向上、人材確保といったメリットを享受できます。

実際に東京都産業労働局が2018年に実施したアンケートによると、SDGsに取り組んだ企業242社のうち、14.9%が売上高の増加、24.4%が取引の拡大、25.6%が競合他社との差別化といった効果を得られたと回答しています。

以上より、SDGsに取り組む企業は少なからず事業の発展に資する効果を得られるといえます。そうした事情もあり、さまざまな業界でSDGsへの取り組みの重要性を認識する企業や経営者が増加しています。

【参考】東京都産業労働局「都内企業等におけるSDGsの認知度・実態等に関する調査」

ESG投資の拡大とともに、SDGs関連市場は世界的に成長する可能性

SDGsが目指す“持続可能”な社会を重視する動きは、日本のみならず世界中で加速しています。このことは、投資家が企業においても“持続可能性”を重視するようになった結果、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)という3つの課題解決に努める企業を投資対象とする「ESG投資」の市場が継続的に拡大していることともリンクしています。

こうした背景には、「社会課題解決に取り組んでいる企業は消費者から幅広く支持され、長期的にみて成長しやすい」という認識が浸透していることが挙げられます。環境や人権などの諸問題は未だに解決していないため、今後もますますSDGsの市場は成長を続けると考えられるでしょう。

スタートアップが目指す長期的な方向性として、SDGsの関連市場は引き続き注目を集めそうです。

文・J PRIME編集部/提供元・J PRIME

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