受注目標達成の秘訣は「追加発注」にあり
1つの案件を受注したり、受注が濃厚になったりすると、不思議なもので私達はその案件に集中するがあまり、追加受注の機会や他の案件が見えなくなってしまうことが少なくない。
ゼロから案件を発掘するより、追加工事や追加受注の難易度の方がはるかに低いので、この機会を確実に数字につなげる行動をルーチンワークに加えて欲しい。
今回はそのコツについて共有したい。
関連売りで労せず数字を上乗せさせる
例えば、あなたが築28年のマンションの大規模修繕でエレベーターのリニューアル工事を受注した営業パーソンだったとする。
追加受注の対象として保守契約を推進するのはもちろんだが、この時、築28年ということなので、防犯カメラが入っていなければ新設を提案したいし、共有部分の照明がLED化されていなかったらLED照明も提案したい。
顧客側とすれば、いずれもエレベーター工事の金額と比較すれば少額であるし、まとめて発注することによって大幅なディスカウントが期待できるので、個別に発注するより安くつく。
さらに窓口が1つで済むというメリットもあるため、受注率が高くなるのだ。
営業でも「クロスマーチャンダイジング」が可能
あるいは、あなたが総合人材サービスの営業パーソンで、あるメーカーから理系の学生5名の採用プランを受注したとする。
ここでもやはり、その5名を採用するだけでなく、彼らを育成するための新人研修や、迎える側のOJT研修なども追加受注のターゲットにしなければならない。さらに、新人から5名を採用できる保証はないので、そのリスクヘッジとして中途採用のプランも仕掛けておきたい。
要はBtoCの世界でいうところのクロスマーチャンダイジング、つまり生肉売場に“焼肉のタレ”を展開したり、冬場であれば“鍋つゆ”や“鍋のもと”を展開したりする関連買いを促す販促手法を、BtoBの営業でも活かしたいのだ。
トップ営業マンは必ず「追加」を狙う
この関連買い、営業サイドから見れば関連売りということになるが、労せず高業績を上げ続ける営業パーソンの常套手段なので、実行していない読者は是非とも試して欲しい。
営業目標の達成率が8割、9割まではいくが、達成までには1割、2割足りないという惜しい営業パーソンは必須だ。
なぜなら、この追加受注を狙う方法が最も難易度が低く、実現性が高いからだ。
追加の商談をしないのは「相手に失礼」と心得よう
さて、追加受注を狙うことの重要性はここまでにして、次に自然にその展開へ持っていくための実務について共有しておきたい。
そもそも、目の前の受注済みの案件回しで手一杯で、他の案件を仕掛ける発想などなかった人や、せっかく受注した仕事を納品に向けて動いているのに、それに便乗して他の案件を仕掛けることにためらいを持ったり、億劫さを感じたりする人もいるだろう。
しかし、追加の商談に乗るか乗らないかはお客様が決めることであって、営業サイドではない。お客様が好都合だと思えば発注を下さるわけだから、むしろそれを判断できるような情報を与えないほうが、“気が利かない”営業と認識すべきだ。
とはいっても、ためらいがあったり、億劫だったりすると行動には移しにくくなるので、そういう人のためにトークを3つ紹介しておく。
魔法の言葉「ところで~」「別件ですが~」
まずは「ところで~」という出だしで、追加案件を模索するトーク。
エレベーターのリニューアルの打合せが一段落したタイミングで「ところでこちらのマンションでは防犯カメラは今、何台設置されているのでしょうか?」とか、打合せの最後の雑談的な場面で、「もうすでに共用部照明はLED化されましたでしょうか?」といった質問を仕掛ける。
次に「別件なのですが~」もよく使われる。
「別件なのですが、新人の方が入社された後の新人研修やOJTに関しましても、ご担当は野崎様という理解でよろしいでしょうか」といった感じで、まずは担当者を聞き出し、それが目の前の人物なら、そのまま計画や状況のヒアリングに移る。そうでない場合はその担当者名をお聞きして、その上で紹介を依頼したい。
いずれにしても採用計画で取引関係があるために、その延長線上にある研修の担当者をお聞きすることは全く失礼にならないどころか、聞かない方がまずい。
「ついで」と言ってしまえば、相手の心のハードルが下がる
最後は相手の心理的負担を下げる言い方。「ついでと言ってはなんですが……」という切り出し方だ。
これなら既に「ついで」と明言してしまっているので、営業としても次に続く話が言いやすくなる。
「ついでと言っては何ですが、弊社ではマンション用の防犯カメラやLED照明も扱っておりまして、大規模修繕の折に同時にご検討いただけると、かなりボリュームディスカウントが可能なのですが……」という流れだ。
こうして追加受注の可能性を模索するだけで、たとえ10%だとしても案件化のチャンスが生まれる。
この行為をルーチンに入れるか入れないかで、1年を通してみると案件数や受注額にはかなりの差が出てくるはずだ。
(出典:営業サプリ)
文・営業サプリ編集部(えいぎょうさぷりへんしゅうぶ)
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提供元・THE21オンライン
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