モトリーフール米国本社、2020年12月22日投稿記事より
フェイスブック(NASDAQ:FB)は、2020年に最もマイナス材料の多かったハイテク銘柄の1つです。
その原因は、同社が様々なグループによるヘイトスピーチ、暴力を扱うコンテンツ、偽ニュースの拡散を止められなかったためで、結果的に広告主によるボイコットを引き起こしました。
最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏が議会証言で批判された後、連邦取引委員会(FTC)と46州の司法長官は最近、競争阻害的な慣行を理由にフェイスブックを訴追しており、子会社の売却を余儀なくされる可能性があります。
また、アップルの最新版のiOSは、フェイスブックや他の広告主によるユーザーデータの蓄積をより困難にする可能性があります。
ところが同社の業績は、以上のような逆風と、新型コロナウイルス・パンデミックによる広告売上高の伸びの鈍化に直面する中で、好調に推移しました。
2020年1₋9月期の売上高は前年比17%増、純利益は同61%増となり、株価はこの1年間で33%上昇しています(本稿執筆時点)。
アナリストは、2020年通期の増収率と増益率をそれぞれ19%、45%と予想し、2021年についてそれぞれ24%、12%と予想しています。
予想株価収益率(PER)が25倍にすぎない企業の割に業績の伸びは堅調と言えます(執筆時点)。
同社は短期的には依然として多くの課題に直面していますが、2021年に株価を押し上げる可能性のある3つの大きな材料を投資家は見落とすべきでありません。
1. 広告売上高の伸びが加速すると予想される
フェイスブックは、米国を含む多くの国のデジタル広告市場でアルファベット(NASDAQ:GOOG)(NASDAQ:GOOGL)傘下のグーグルに次ぐシェアを持っています。
こうした2社寡占下では、アプリ・ファミリー(Facebook、Messenger、Instagram、WhatsApp)の月間アクティブユーザー数が32億人を超えるフェイスブックの存在を広告主が無視するのは困難です。
こうしたユーザー数の多さを背景に、今年初めの広告ボイコットは一過性の象徴的現象に終わり、パンデミック下での広告支出の減速を難なく乗り切りました。
実際、2020年1₋9月期の広告収入における前年同期比増収率を見ると、フェイスブックは16%と、グーグルの4%を上回りました。
以上のことを踏まえると、パンデミックが収束し、広告主の財布のひもが緩むにつれて、フェイスブックの広告売上高の伸びは2021年には加速すると考えられます。
ウォール街の売上高予想は既にそうした回復を反映したものとなっています。
2. Instagramの情報開示が新たな可能性を開く
フェイスブックで最も急成長している事業はInstagramと思われますが、定かではありません。同社は同プラットフォームの成長指標を定期的に開示していないからです。
同サービスの月間アクティブユーザー数は2016年から2018年の間に5億人から10億人超へ倍増したものの、それ以降はデータが更新されていません。
ブルームバーグによると、Instagramは2019年に200億ドルの広告収入を生み出しました。
これはフェイスブックの売上高全体の28%に相当し、グーグルのYouTube部門の昨年の広告収入(151億ドル)を上回ると思われます。
フェイスブックがInstagramの成長指標を開示すれば、強気派の投資家をより多く引き付ける可能性があります。
また、ソーシャル電子商取引プラットフォームとしてのInstagramの成長の可能性や、ゼネレーションZ指向の競合相手である動画投稿サイトTikTok(ティックトック)や写真共有サイトのSnapchat(スナップチャット)への対抗策を投資家に示すこともできます。
こうした情報開示により、フェイスブックが新規株式公開(IPO)を通じてInstagramをスピンオフする道を開く可能性もあります。
スピンオフは規制当局をなだめ、フェイスブックの株主にInstagramの株式を与えると同時に、独立企業としてのInstagramの成長の可能性を引き出すかもしれません。