人工知能やロボットの登場で職が奪われる「テクノ失業」が現実になりつつあるという。既にこの言葉が様々なメディアで取り上げられるようになった。

海外メディアが報じたところによると、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が中国・江蘇省の工場で6万人の作業員を「ロボットに置き換える」という。

ホンハイの本社は台湾新北市にあるが、生産拠点は世界14カ国にあり、従業員数は約80万人。54万人が中国本土で働いているという世界的大企業だ。

人工知能やロボットの登場で、単純労働ばかりか、知的労働の領域にまでテクノロジーが導入され、労働者の職が奪われる現実がくる−−。鴻海の大リストラはそう予言しているかのようだ。

家政婦の職業は機械に代わられることはない

人工知能やロボットができる仕事は、繰り返しなど作業といった定型的なものだ。

逆に単純でない仕事はロボットには難しい。「ルンバ」のような人工知能を備えた掃除機でも家の掃除はできるが、平坦な床を掃除するだけであり、階段や狭い隙間や机の上は掃除できない。だから家政婦のような職業が、今すぐ機械に取って代わられることはない。

仮にロボットがその仕事をできたとしても、企業経営者にすれば、機械と人間のどちらが安いかで導入するかどうかを決めることになる。

ロボットの値段が高いうちは、人間の肉体労働はなくならないが、人間の労働に対する対価(給料)のほうが安ければ、企業家は人間を雇うのである。

ロボットが注目されるもう一つの要因は労働問題だろう。ロボットは労働環境が劣悪でも、(物理的に動けなくなるような条件を与えない限り)労働争議は起こさない。

企業トップの意思決定や、科学者の研究とか芸術家の創作活動といった、知的活動はロボットでは絶対に無理な仕事とされてきた。

しかし最近ではロボットが文章を書く(ライターになる)という未来も信ぴょう性が高まってきている。意思決定にしても、情に流されずに客観的かつ冷静に、一定のルールの下で判断ができるという意味では、ロボットやAIにできるのかもしれない。研究についていえば、ロボットは不正をしようとはしないはずだ。

ロボットが接客する時代は来ている

コンサルティングも行う世界最大の会計事務所デロイト&トウシュが今年1月、オックスフォード大学と共同でテクノ失業の報告書によれば、英国では今後25年で小売業の59%が危機に瀕するとしている。

そればかりか、倉庫や運送業では74%で、製造業は90%の人が影響を受けると結論づけているからだ。全職種は35%がロボットやAIによって仕事が奪われるそうだ。

またボストン・コンサルティング・グループの予測によれば、2025年までに全職業の約4分の1がロボットかAIに置き換わると発言している。その証拠に、米国では、銀行の窓口業務やスーパーのレジ係、ホテルの受付係や特定地域でのトラックやバスの運転手などだが、ロボットに置き換えられているのだ。

ロボットと共生のマネジメント?

ロボット出失職者が出る反面、ロボットとAIのメンテナンスやソフト開発、あるいは、訓練などの仕事が生まれるという指摘もある。

ハイテク関連の情報調査会社フォレスター・リサーチ(米マサチューセッツ州)によれば、テクノ失業で10の仕事が奪われたとしても、1つの新しい仕事が生まれるはずと予測されている。ロボットを使用する人に対し、新たな職業訓練やロボットと人間との共生マネジメントが必須となるからだ。ロボットを効率的に動かしたり教育したりすることすら、ロボットの役割になるかもしれないが……。

文・ZUU online編集部

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