DNAの塩基配列を読み取ることで、症状のない段階から罹患(りかん)の可能性をチェックする「次世代シーケンシング(NGS)システム」など、最先端のがん診断市場が拡大しそうだ。WHO(世界保健機関)では直近の報告書で、2015年のがんによる死亡者数が880万人に上ったとして早期診断を促している。がん患者の数は30年に2100万人(現在推定1400万人)に拡大することが見込まれ、いち早く病気を検知するための取り組みが強化される。

日本でも死亡原因の1位を占めるがんは、早期の発見が治療のポイント。治癒可能な段階で発見されたがんの場合、5年生存率が90%を超えるという統計もある。がん診断は「スクリーニング検査」と呼ばれ、バリウム検査やX線、マンモグラフィなどが一般的だ。

ただ、これらは精度に限界があり、確実な早期発見方法とは言えない。そこで注目されている技術の一つがNGS。次世代シークエンサーと呼ばれる装置を使用しDNA配列を解析することで、微細ながんでも見つけ出せる。がん細胞の変異割合も測定できるため、効果的な治療法を選択しやすいメリットもある。

遺伝子受託解析でDNA研

現状では費用が数十万?数百万円と高く普及には至っていないが、そのコストは年々低下しており、数年内にがん診断の主流になるとみられている。NGSによる遺伝子受託解析を主力とするDNAチップ研究所(2397)は、将来的に中核的な関連銘柄として注目される可能性がある。また、コスモ・バイオ(3386)も受託サービスを手掛ける。

血液やリンパ液の中を循環し、がんの転移・再発に影響を及ぼす「血中循環腫瘍(しゅよう)細胞(CTC)」を測定する診断法も有力だ。画像診断よりも早い段階での発見が可能で、主にがん治療後の効果判定に用いられる。オンコリスバイオファーマ(4588)では、ウイルス検査薬を用いた検出技術の開発を進めている。

NGS、CTC測定が浸透することで、がん診断の市場は今後大きく拡大する可能性を秘める。関連銘柄はほかに、タカラバイオ(4974)や東ソー(4042)、カネカ(4118)、日立化成(4217)など。

日立化成も参入目指す

CTC測定装置などのシステムを開発する日立化成では、遺伝子診断市場の規模について、15年の7300億円から18年まで年率7%で成長すると予想している。同社は昨年6月、米テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターと提携。臨床試験を経て「21年までにがん診断市場に参入したい」(日立化成の吉田誠人執行役)としている。(2月10日株式新聞掲載記事)

文・ZUU online編集部

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