グローバル規模で、実業界や金融界で活躍するユダヤ系の人々。華僑やインド人などと比較すれば、圧倒的に数は少ないが、ユダヤ人は存在感を解き放ち、数多くの大富豪が誕生している。その富を形成する資産運用の秘訣は、民族のルーツに起因している要素が多い一方、一般のサラリーマンでも実践できそうなアイデアも盛り込まれている。

土地、商品、現金の3分法で資産を管理せよ

キリスト教やイスラム教をはじめとする他宗教との対立などから、迫害を受けてきた歴史を持つユダヤ人。築き上げた財産を一夜にして失ってしまうリスクと常に隣り合わせで生き延びてきた。そのような状況下で、ユダヤ人は、資産を「現金」「商品」「不動産」に分けて管理する術を身に着けた。そうすることで、仮に迫害によって土地を追われ不動産を失ったとしても、持ち運べる「現金」と「商品」は、手元に残すことができたのだ。

宗教や民族間の争いに翻弄された歴史に加え、ユダヤ教の聖典「タルムロード」にも「富は3分の1を土地、3分の1を商品、残る3分の1を現金と、常に3分法で保有すべき」と記されている。この教えにも沿って、ユダヤ人たちは、資産を主に3つのポートフォリオに配分して管理することで、リスクをコントロールして富を築き上げてきたのだ。

金融と資源の事業を持つ

ロスチャイルドやロックフェラーといった巨大なユダヤ資本は、どんな時代にあっても金融と資源に資産(事業)を分散して保有してきた。たとえば、戦争が起きそうになると経済の先行き不安から株価は冷え込むが、天然資源などは上昇しすることが多い。アメリカで9・11(同時多発テロ)が起きたときのマーケットも「株安、資源高」で反応している。

一方が悪くなっても、もう一方でカバーする。そうやって資産を分散させてきたからこそ今日の繁栄があるともいえる。

賢人に学ぶ資産運用

確定拠出年金(401k)の導入や少額投資非課税制度(NISA)の整備により、一般のサラリーマンも、投資に向き合いやすい環境が整いつつある。プロでも勝ち続けることは困難な資産運用において、長い歴史から培われた賢人ともいえるユダヤ人の知恵を借りない手はない。

「タマゴを一つのカゴに盛るな」という資産運用の格言を忠実に実践したユダヤ人の姿勢を見習いたい。一攫千金を狙って特定の運用先に資産を集中させるのではなく、リスクの管理という観点に立てるかどうかが鍵になりそうだ。

ユダヤ系は世界大富豪ランキングの常連

財産を築いたユダヤ人は、米経済誌「フォーブス」が発表する世界の大富豪ランキングの常連でもある。大手ビジネスソフトウェアのオラクル・コーポレーションの創業者であるラリー・エリソンは資産522億ドル(約5兆5000億円)で、フォーブスの大富豪ランキングでは7位に入っている。このほか、ニューヨーク市長で通信社「ブルームバーグ」を設立したマイケル・ブルームバーグ、Facebookの創設者であるマーク・ザッカーバーグもユダヤ系大富豪として、ランキングの常連だ(資産額は2018年3月時点)。

大富豪のほか、金融やビジネスに影響を及ぼす役職でもユダヤ人の活躍が目立つ。ベン・バーナンキ元FRB議長もユダヤ系の家庭の出身で、バーナンキ氏の後を継いだジャネット・イエレン前FRB議長もユダヤ人だ。また、トランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問もユダヤ系の家庭で育ち、実業家としても名声を上げた。

大富豪として、さらには政財界の重要な役職でも活躍するなどユダヤ人のの影響力は計り知れない。成功を掴み取ったユダヤ人の教えを参考に取り入れたいものだ。

文・ZUU online編集部

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