内食化の進行によりハム・ソー業界でも家庭用のほぼすべてのカテゴリーが前年を上回り推移した。とりわけ伸び率が高いのがベーコンと焼豚だ。4~6月の市場データではロースハムやウインナーが前年比110%強で推移したのに対しベーコンは120%強、焼豚は130%弱と大きく伸長。内食需要の拡大で加工肉全般が料理の素材として利用される機会が増え、なかでも素材感の強いベーコンや焼豚が支持を集めた。

休校やテレワークの広がりで、内食率が最も高まったのが昼食。そのため一時はパスタやレトルト商品が品薄となったが、ベーコンが伸びたのは昼の主食であるパスタや炒飯などに使われる機会が増えたことが大きい。

一方、焼豚はもともと夕食の食卓に上ることの多い食材だが、家庭での昼食にラーメンを食べる機会が増えたのも伸長の一因と思われる。ただ、夕食需要も確実に伸びており、夕食での出現率が前年より10ポイント高まったというデータもある。家飲みが定着したことで、おかずだけでなく、おつまみとして食べられる場面も増えているようだ。

7月以降、市場は落ち着きをみせているが、メーカー各社は料理での利用を増やし、市場の活性化を図る狙いでベーコンの新商品を投入した。

日本ハムは今年2月に看板商品のウインナー「シャウエッセン」のベーコン「シャウベーコロン」を発売した。このほど新たに、3連パックとブロックタイプを加えラインアップを強化。同社は「3連は炒め物やパスタ、ブロックはスープなどベーコンを使う料理の幅を広げたい」としている。

丸大食品は角切りの生ベーコン「お料理生ベーコン」、厚切りのベーコンをずらさずに重ねてパックした「切れてるベーコン」を発売。前者は使い切りの少量タイプ、後者は重ねてありそのまま切ることができる利便性が特徴。「パスタへの利用が増えるにつれ、生ベーコンの購入機会も増える」と期待を寄せる。

伊藤ハムはベーコンの中でも、切り落としとハーフサイズの伸長率が高いことに着目。スモークしてから切り落とした「つるし燻しベーコン」を発売し、既存品とともにカット済ベーコンの品揃えを強化する。

焼豚でも引き続き夕食需要を喚起しようと、各社はメーン料理やおつまみになる新商品を投入している。

 

提供元・食品新聞

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