(本記事は、加賀田裕之氏の著書『営業は台本が9割』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)

ラポールには、3つのレベルがある

(画像=PIXTA)(写真=ZUU libraryより引用)

私たちは信頼している人、心を開いている人、つまり好きな人の話は聞きますが、尊敬していない人、心を開いていない人、嫌いな人の話は聞きません。

そこで重要なのが「ラポール」です。

営業職の人であれば、ほとんどの人が聞いたことあるであろう「ラポール」ですが、あらためて説明しようとすると、意外とわかっていない人も多いのでは?

そこで、まずはいまさら聞けない「ラポールとは?」について説明します。

ラポールとはフランス語の「関係」という意味から来ています。

そこから「心と心がつながっている状態」「相手と親密な関係を築くこと」「信頼関係を構築すること」を指します。

ラポールには、3つのレベルがあります。

  • レベル1:FOR YOU「相手のために」

    ・レベル2:WITH YOU「相手と一緒にいる」
    ・レベル3:IN YOU「相手と一体化している」

です。

それぞれ解説します。

レベル1:FOR YOU「相手のために」

「セールスが苦手」とか「営業って、うしろめたい」と思っている人は、「自分の売上のため」と思っていることが多いです。

「自分のため」「会社のため」「売上のため」と思っていると、お客様への説明がうしろめたくなり、力が出なくなります。

そこで、セールスの目的をお客様のためと思うようにするのです。「相手のため」「お役立ち」と思えば、説得に力が出ます。

レベル2:WITH YOU「相手と一緒にいる」

これは物理的にいつもそばにいるということだけでなく、「良いときも悪いときも、気持ちの上で一緒にいる」という意味です。

ビジネスで言えば、「儲かっているときも、破産しそうになってみじめなときも、ずっとその人のままで変わらずにいてくれる」ということです。

それが「WITH YOU(あなたと一緒にいる)」の心理状態です。

お客様が苦しんでいるときも、お客様がうれしいときも、お客様の良いときも、お客様の悪いときも、気持ちのうえでずっとそばにいて、お客様の成功と幸せを見守ってあげるということです。

あなたが本当にお客様を愛し、一緒に成功したい、豊かになりたい、幸せになってもらいたいと思ったら、気持ちを込めて「一緒にがんばっていきましょう!」とお伝えしましょう。

レベル3:IN YOU「相手と一体化している」

もし、あなたがトップセールスであったり、セラピストやカウンセラーの方なら、この感覚を理解できるのではないでしょうか。

IN YOUとは、つまり「一体化」です。

たとえて言うなら、あなたがお母さんのお腹のなかにいる感覚です。もちろん意識的には覚えていないと思いますが、感覚的にわかればOKです。ものすごい安心感ですよね。

では、お客様と、どうやって一体化の関係性になるか?

そのための技は、この後の項目で説明します。

見逃せない「雑談力」

人間関係を構築するための「雑談」は、とても重要です。

営業マンの間では、これを「商談時のクラッチ合わせ」と言って、非常に重要視している行為です(マニュアル車を発進させるときの、クラッチを合わせる際の比喩)。

雑談が必要な理由は、会話にも「クラッチ合わせが必要」だからです。

雑談(クラッチ合わせ)の目的は、

  • 相手をリラックスさせる

    ・信頼関係を構築する

の2つです。

商談目的での対面だとしても、相手は「売り込まれる?」と緊張しているかもしれません。

また、いきなり商品説明などの商談に入ると「売りたいだけ?」と思われてしまいます。

お客様にリラックスしてもらい、信頼関係を構築するために「雑談」は必要不可欠なのです。

もちろん、お客様によっては雑談を嫌う方もいますし、時間がない場合もありますので、臨機応変な対応が必要ですが、一般的に雑談は必要です。

たとえば、法人営業だったら、最寄り駅から相手先の会社に行くまでの「行列ができている話題のお店」についてや、できたばかりの「駅ビル」についてなどに対して、ビジネス的な観点で見解を述べると、「この営業マンはできるな!」と、自然に思わせる雑談になります。

個人宅への飛び込み営業だったら、玄関に入って「見るものすべてをほめちぎる」ぐらいで初めて、お客様は営業マンの話しを聞く態勢になります。

富裕層相手だったら、投資の話題だったり、ラグジュアリーブランドの流行りの話題だったり、若い女性が相手だったら、アイドルやファッションの話しだったり、自分の顧客対象が食いつく雑談を常にストックしておくのです。

つまり、雑談で「営業マンのレベル」がわかってしまうのです。

では、もしあなたが富裕層を相手とした「不動産の営業マン」だとしたらどのような雑談をしますか? 不動産会社に入社してわずか3か月で、トップセールスになった元キャバ嬢はこんな話を聞かせてくれました。

「普通の営業マンって、お客様の家に訪問したときに、『ワンちゃんかわいいね~』と口で言うだけで、心のなかでは、「きたない!」とか「フケツ!」って思って、ワンちゃんの頭をなでたりしないでしょ。お客様は、見てないようで、しっかり見てるんだよね。

私は、違うの。

私は『ワンちゃん可愛いですね~』って言うじゃなくって、ワンちゃんを抱っこして、顔をベロベロ舐めさせあげるの。そんなことまでする女性の営業マンっていないでしょ。

ワンちゃんは、私の虜になるから、次に私が行くと、私の足に腰をこすりつけて、うれしょん(嬉しくておしっこを漏らしてしまう)までするようになるの。

可愛いワンちゃんをそんなに可愛がってくれたら、お客様も嬉しいでしょ。

お客様を虜にするには、やり方があるんだよね」

お客様の立場で考えれば大切なもの、大切な人(動物)をあなたが可愛がってくれたら、あなたを好きになるのは、当たり前です。

トップセールスは、顧客と関係性を築くために、ここまで雑談にも注意しているのです。

加賀田裕之 (かがた・ひろゆき)
営業コンサルタント。ホームメンターズ株式会社代表取締役社長。ミリオンセールスアカデミー®代表。NLPトレーナー。大学卒業後、体育会系の営業会社にて高額商材のセールスマンとなるが、まったく売れず、250万円の自社商材を自分で購入するほど追い込まれる。「もう辞めるしかないな」と思ったときに、トップセールスから営業極意を伝授され、人生を逆転。その後はみるみるうちに売れるようになり、100億円企業の営業マネジャーとして、部下20名のチームを連続優勝させ、新規事業部の責任者に任命。初年度年商1億円を達成。その後、IT事業会社で、部下約20名を束ねる営業マネジャーとなり、さらに部下約100名、年商25億円の事業会社の事業部長として結果を出す。口下手、人見知り、営業が苦手の方でも自然にお客様の「欲しい!」を引き出す営業スキルをお伝えしたい、と独立。独自の「台本営業®」メソッドは朝日新聞等でも紹介。13年苦しんだ対人恐怖症営業マンが、セミナー後、前月比500%の契約獲得、元キャバ嬢でも歩合給が月に300万円以上になるなど、「モンスター営業マン製造工場」の異名をとる。本書が初の著書。

提供・ZUU library

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