2017年に配当金が高かった銘柄のトップ3 は、ロイヤル・ダッチ・シェル、中国移動通信、エクソンモービルだったことが分かった。ロイヤル・ダッチ・シェルは2年連続首位を維持、中国移動通信は12ランクアップ、エクソンモービルは1ランクダウンとなった。

トップ10の配当金は総額1200億ドル(約12.8兆円)以上。世界全体では前年比7.7%増、過去最高の1.25兆ドルにのぼっている。

ランキングは英国を拠点とする国際資産運用企業ジェイナス・ヘンダーソンの「国際配当指数(GlobalDivinded Index)」に基づいて作成したもの。世界41カ国・地域の1200社が支払った配当金を分析している。

配当金が高かった20社と昨年順位

20位(18位) プロクター・アンド・ギャンブル(米国)
19位(14位) ネスレ(米国) 
18位(17位) ノバルティス(スイス)
17位(20位) JPモルガン・チェース(米国)
16位(13位) ウェルズ・ファーゴ(米国)
15位(16位) ファイザー(米国)
14位(15位) BP(英国)
13位(12位) オーストラリア・コモンウェルス銀行(オーストラリア)
12位(11位) シェブロン(米国)
11位(9位) ゼネラル・エレクトリック(米国)

10位(10位) ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国)
9位(8位) ベライゾン・コミュニケーションズ(米国)
8位(7位) 中国建設銀行(中国)
7位(6位) HSBCホールディングス(英国) 
6位(4位) AT&T(米国)
5位(5位) Microsoft(米国)
4位(3位) Apple(米国)
3位(2位) エクソンモービル(米国)
2位(19位) 中国移動通信(中国)
1位(1位) ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ)

41カ国・地域のうち11カ所で配当記録更新

世界中で総額1.25兆ドルという過去最大の配当が支払われた2017年。2009年と比べるとほぼ3倍に膨れあがっている。調査の対象となった全41カ国・地域で配当に増加が見られ、そのうち11カ所で記録が更新された。

過去5年間常にトップ10入りしているのはロイヤル・ダッチ・シェル、エクソンモービル、中国建設銀行、AT&T、HSBCホールディングスの5社のみ。ロイヤル・ダッチ・シェルは2014、15年にVodafoneグループとエクソンモービルに首位を奪われたものの、それ以外は首位に立っている。

最新版で跳躍を見せたのは中国移動通信。AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズと並ぶ大手通信事業企業で、データ通信による収入の伸びが高配当につながったものと思われる。

米国の金融セクターから健闘したJPモルガン・チェースは、昨年に続く2度目のトップ20入り。4年連続でランクインのウェルズ・ファーゴは3ランクダウンとなった。

北米の期待株はカナダ?米国企業の大半はランクダウン

北米(米国・カナダ・メキシコ)で支払われた配当金は総額4756億ドル。そのうち4381億を、トップ20にランクインした13社の米国企業が占めている。しかし潜在的な成長率では北米と米国が6%台に留まるのに対し、カナダが9.4%と突出している。 米国はトップ20入りした企業数が最も多いが、2つ順位を上げたJPモルガン・チェース(17位)、変動なしのMicrosoft(5位)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(10位)以外は順位が落ちている。

日本の潜在的成長率はアジア最高の11.8%、配当金総額は700億ドル
アジア太平洋圏(日本除く)も記録的な伸びを見せ、総額1399億ドルに。香港、台湾、韓国が新記録を打ちだし、全体的な配当金総額を18.8%に押し上げた。潜在的成長率も8.6%と今後さらに成長しそうだ。

日本も同じく8.1%増の700億ドルを記録。潜在的成長率は11.8%と、ほかのアジア太平洋地域でトップのオーストラリア(9.7%)を上回っている。

中国移動通信と中国建設銀行がトップ10入りした中国は、2年連続で配当金に減少が見られていたが2017年はもち直したようだ。しかし配当総額は299億ドル(5.5%増)、潜在的成長率は3.1%と低めである。

新興国・地域の配当金総額は16.5%増の1024億ドル、潜在的成長率は8.6%。ブラジルやインドの潜在的成長率は6.5%、3.7%と勢いが失速し、南アフリカは配当金が減額。

最も伸びが鈍かったのは欧州で、前半の好調さとは対照的に第4四半期の配当金が大きく落ち込んだ。総額は2274億ドルとアジア太平洋圏や新興国の約1.6~2.2倍に値するが、年間1.9%しか増えておらず、潜在的成長率も2.7%と全地域中最も低い。

欧州の主要配当国である英国は957億ドル(3.0%増)。ポンド下落の影響で多数の企業が圏外落ちした。鉱業株の配当率が上がっていることから潜在的成長率は10%と、この点には期待がもてそうだ。

通信以外の産業は成長、金融の配当が最大

配当の成長度を産業別に見てみると、通信産業を除くすべての産業が伸びを示している。配当額では金融(2993億ドル)、商品やサービスから利益を得る顧客ベース(1215億ドル) 、石油・ガス・エネルギー(1137億ドル)が最も高い。次いでIT(990億ドル)、工業(948億ドル)、一般消費財(943億ドル)など。金融の1679億ドルは銀行、568億ドルを保険、顧客ベースの269億ドルをアルコールが占めている。

成長率の速さでは鉱業産業がトップだが、リストラを含む大規模なコスト節減が配当金の増加につながったようだ。

総体的総じてに2017年はインカムゲイン狙いで外国株式に投資をしている投資家にとって実りの大きな1年だったのではないだろうかといえる。ジェイナス・ヘンダーソンは今年も成長が続くと予想している。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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