中国の建国を記念する祝日である国慶節は、毎年大型連休が組まれ、多くの中国人が国内外へ旅行に出かけます。

昨年(2019年)は国慶節の人気旅行先として日本が1位となるなど、インバウンド需要の高まりが見受けられました。2020年は新型コロナウイルス流行の影響が心配されますが、依然として訪日旅行への注目度は高い傾向にあります。

今回は、2020年の国慶節のスケジュールや国慶節の風習などをふまえ、国慶節に向けたインバウンド対策について解説します。

2020年の国慶節はいつ?

そもそも国慶節とはどのような祝日なのか、2020年の中国における祝祭日の日程と合わせて解説します。

例年中国からのインバウンド需要が高まる国慶節について、2020年のスケジュールを事前に確認することで、計画的にインバウンド対策を行えます。

国慶節は中国の建国記念日

国慶節とは、10月1日の中国の建国記念日を指し、毎年祝日になっています。1949年10月1日に、毛沢東を主席とし首都を北京に定め、天安門広場で正式に中華人民共和国の成立が宣言され、中国の国旗「五星紅旗」を掲揚するなどの建国式典が行われたことに由来します。

国慶節は、2月頃の中国における旧正月「春節」に並ぶ大型連休の1つであり、国慶節の期間に日本を訪れる訪日中国人観光客は、年々増加しています。

2020年の国慶節のスケジュール・休日日数

2020年の国慶節は、中国4大伝統祭りの1つである中秋節と合わせて、10月1日(木)~8日(木)の8連休になります。

2019年の国慶節は、10月1日(火)~7日(月)までの7連休となりました。日本の紅葉の時期に重なるため、訪日旅行を計画し紅葉狩りを楽しみに日本を訪れる中国人の姿も、例年見受けられます。

2020年の中国の祝祭日一覧

2020年の中国の祝日は、以下の通りに発表されました。国慶節と中秋節からなる期間は、2020年最後の大型連休といえます。

  • 1月1日(水) 元旦
  • 1月24日(金)~2月2日(日)旧正月・春節
  • 4月4日(土)~6日(月)清明節
  • 5月1日(金)~5日(火)メーデー・労働節
  • 6月25日(木)~27日(土)端午節
  • 10月1日(木)~8日(木)国慶節・中秋節

国慶節の風習・過ごし方

中国における国慶節は、日本の建国記念日に比べるとより盛大に祝われる点が特徴です。

しかし近年では、国内の国慶節を祝うイベントにあまり興味を持たず、連休を使って日本などの海外へ旅行をする中国人も多くいます。

ここでは、中国における国慶節の風習や過ごし方を紹介します。

国慶節の風習

国慶節の風習としては、爆竹が特徴的です。中国では、爆竹を鳴らすことで邪気を払えると信じられているため、お祝いごとの際には爆竹を使用する様子が多く見受けられます。

日本で報道されているニュースなどから、旧正月に爆竹を使用するイメージが強いですが、国慶節も同様です。

ただし、近年は大気汚染問題を懸念し、中国政府が規制していることもあり、以前よりは爆竹の使用を控えるようになりました。

爆竹以外の国慶節の風習としては、獅子舞のダンスや、街中に国慶節を祝う横断幕、中国国旗などを掲げることなどが挙げられます。

国慶節の間は大型連休となるため、中国国内では観光業以外の商業活動は必要最低限に縮小され、中国の株式市場も閉鎖されます。

国慶節の過ごし方

国慶節の過ごし方は、実家に帰省し家族と過ごすケースや、国内・海外旅行へ出かけるのが一般的です。

中国の大手オンライン旅行会社「携程」(Trip.comグループ)の事前調査によると、2019年の国慶節における中国人の人気旅行先では、日本が1位に選ばれました。

都市別では、大阪・東京・マカオ・香港・ドバイ・バンコク・ロンドン・パリ・シンガポール・名古屋の順にランクインし、上位10都市のうち3都市が日本となるなど、国慶節期間の訪日旅行人気がうかがえる結果となりました。

2020年の国慶節はどうなる?

2020年の国慶節は、コロナ禍により状況が見通しにくい状況となっていますが、近年の傾向と同様に、中国人の訪日旅行需要は高いものとみられています。

ここでは、2019年の国慶節における中国人観光客による訪日旅行の傾向をふまえ、2020年の国慶節に向けた中国人のニーズを予測します。

2019年の国慶節:日本は旅行先人気1位、人気エリアも拡大

大手スマホアプリ決済サービス「アリペイ」を運営するアントフィナンシャル サービスグループが、2019年10月に発表したデータによると、2019年の国慶節におけるアリペイ海外取引件数は、タイを抜き日本が1位になりました。

国慶節の大型連休を利用して訪日した多くの中国人観光客が、アリペイを使用し買い物などをしたことが考えられます。

宿泊施設の予約アプリ「Relux」を運営するLoco Partnersによると、日本における国慶節の人気旅行先として、都道府県別では大阪府が1位となりました。さらに2019年は新たに北海道や山梨県、沖縄県が上位に選ばれるなど、人気エリアが全国へと拡大しました。

また、連休中に最もチェックインが集中したのは、連休2日目の10月2日(水)でした。2018年はチェックインの日に大きな差はありませんでしたが、2019年は国慶節の前半に旅行を楽しむニーズが高まったことがうかがえます。

今年はアフターコロナ、国慶節には客足もどる?

アジア諸国向けに日本を紹介するメディア「FUN! JAPAN」を運営するFun Japan Communicationsが、2020年4月に新型コロナウイルス流行による訪日旅行への影響をアジア9カ国を対象に調査しました。

「訪日旅行が安全であると判断できたら日本に行きたいですか?」という質問に対し、調査対象の中国人のうち66%が「はい」と回答しました。

台湾やタイといった他のアジア諸国は90%以上となっているため、それらと比べると中国人の数値は低い傾向にあります。ただし、「安全と判断してからいつ頃日本に行きたいですか?」の質問に対しては、中国人の回答は「1~3か月以内」が27%、「3~6か月以内」が30%となりました。

これらの調査結果から、日本に行きたい中国人に限っては、比較的早い段階で訪日旅行に踏み切る可能性もあるでしょう。

また、中国人のアフターコロナの人気旅行先ランキングについて、各種調査で日本はランキング上位に入っていることから、依然として訪日旅行への注目度は高いと考えられます。

正確な情報発信と適切なプロモーションを

前述したFun Japan Communicationsの訪日旅行に関する調査によると、中国を含むアジア9か国すべてにおいて、日本の新型コロナウイルスの感染状況を判断する情報源を「日本政府の発信する情報」とする人が30%以上にのぼりました。

日本政府が国内の感染状況を積極的に海外へ発信し、さらにその情報を適切に拡散するメディアのあり方が求められるでしょう。

また、「新型コロナウイルスに関連し、日本行きを再検討する際にどんな情報を事前に知りたいですか?」という質問に対し、中国人の56%が「安全に対する正確な情報」と答えた一方で、同じく56%が「日本の交通機関の運行状況や飲食店の営業状況」と回答しました。

訪日旅行の際には、もちろん安全に配慮しながら、新型コロナウイルスが流行する前と変わらず観光コンテンツを楽しみたいといったニーズがうかがえます。

中国人のアフターコロナの旅行先でもやはり日本は人気|スピーディで正確な情報発信で国慶節に向けて集客

中国人の間では、アフターコロナの海外旅行先として日本への注目度が高いといえます。日本における新型コロナウイルスの感染状況に関しては、慎重に判断する姿勢を見せている一方で、安全とわかれば比較的早期に訪日旅行を実現したいという中国人の声も見受けられます。

中国の2大大型連休の1つである国慶節を見据え、日本国内の感染状況を見極めながら積極的に正しい情報を海外へ発信し、訪日中国人観光客の集客を進めることが重要です。

特に中国人は飲食店の営業状況などを事前に知りたいということから、各事業者は店舗の営業時間などの基本情報とあわせて、店舗における3密回避やアクリル板の設置など、感染予防対策を積極的に実施している点をアピールすると、好印象に繋げられるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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