LINEによる規制強化

SNS大手のLINEは今月3日、利用者の安全性向上と品質維持のため、有害なコンテンツへの対応を強化していくと発表した。

LINEはSNSプラットフォームがテロ行為のパブリケーションやリクルート活動に利用された。
また、フェイクニュースによって社会が混乱する恐れを懸念して

「コンテンツテイクダウンに関連する施策」
「フェイクニュースに対する施策」
「テロや暴力行為に関連するコンテンツに対する施策」

などを今後強化していくという。

欧米ではインターネットやSNSに依存するテロが相次ぐ

長年、国際テロリズム論を研究してきた筆者としては、LINEがこのような対応を強化していくことには大きな意義があると考える。
来年には9.11米国同時多発テロから20年となるが、同テロを実行した国際テロ組織アルカイダはテロの計画から実行に至るまでインターネットをフルに活用してきた。
特に2005年以降、欧米諸国ではアルカイダの暴力的過激主義の影響を受ける個人によるローンウルフ的なテロ事件が繰り返し発生したが、その際アルカイダやその支持組織はインターネット上にテロを呼び掛ける声明や動画を日々発信してきた。

イエメンを拠点とするアラビア半島のアルカイダ(AQAP)は、組織の機関誌「インスパイアー」を定期的に発信し、インターネットはAQAPにとってなくてはならない発信手段となった。
そして、2014年以降国際社会で大きな脅威となったイスラム国(IS)は、フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどのSNSを巧み利用し、ハリウッド映画さながらの戦闘シーンやメッセージを毎日のように発信し、欧米諸国でのローンウルフ的なテロ事件を支持者たちに呼び掛けた。

それによって、米国や英国、フランスやドイツなど各国でIS信奉者による無差別的なテロ事件が続き、社会に多大なる恐怖と混乱を与え続けた。
要は、今日のテロ組織、テロリストにとって、インターネットやSNSは生命線的な役割を果たしてしまっており、テロ対策専門家の間でも、それらなしに近年のテロはないという意見が多い。

利便性の中にあるリスクを考える

今日、我々若い世代はインターネットやSNSなしに生活は送れない。
インターネットやSNSの急速な発達と普及は、我々に多大なる恩恵と利便性をもたらした一方、リスクも与えている。

テロ組織やテロリストといっても、それに参加する多くは10代から20代の若者であり、当然ながらインターネットやSNSの使用には支障がない。
テロ組織の幹部たちも、SNSを利用し、資金調達や武器入手、リクルート活動や広告活動などを頻繁に行っている。

海外ではSNS会社と政府との連携が進む

筆者は、海外のテロ対策専門家たちが集う”Global Internet Forum to Counter Terrorism”  https://www.gifct.org というグループに参加しているが、このグループは簡単に言うと、政府やSNS会社、市民が如何に連携して過激なコンテンツを監視、削除し、テロを未然に防止するかを研究・情報共有することを目的としている。

近年、各国政府とフェイスブック、ツイッターなどのSNS会社が連携し、過激なコンテンツの即時削除やアカウントの凍結を徹底するようになり、テロ組織にとってSNSを使うことは難しくなっている。
しかし、ISやアルカイダ、白人至上主義組織などは、インスタグラムなど暗号化されたアプリなどを使用し、それぞれが独自のチャンネルを立ち上げるなどしている。
暗号化されたアプリは政府や関係団体でも監視するのは難しい。

以上のような近年のテロ情勢を考えると、今回LINEがテロや暴力行為に関連するコンテンツへの対策強化に乗り出すことの意義は大きく、今後は行政機関や各国のSNS 会社との連携強化が重要となる。
そして、日本国内の各分野の専門家との連携も重要になってくるだろう。

文・和田 大樹 清和大学 法学部 講師/提供元・ビズキャリonline

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