新型コロナウイルスの感染拡大が続き、収束のめどが立たない一方、国内の観光産業を支援する「GoToトラベル」キャンペーンが始まり、旅行消費を喚起する機運が高まっています。

そのような状況下、一部旅行会社は、海外旅行解禁を見据えて動き出しています。

大手旅行会社のHISは、感染症予防対策に配慮した海外旅行商品「Social Travel(ソーシャルトラベル)」シリーズの販売を開始しました。

目次
HISの「Social Travel」とは:感染症に配慮した海外旅行プラン

 ▶︎接触を低減した滞在形式を提案
 ▶︎2020年8月現在、取り扱う渡航先は?
自宅から「海外旅行」オンラインでの観光体験にも引き続きニーズ
往来再開の動きや世論、観光産業の回復に期待

HISの「Social Travel」とは:感染症に配慮した海外旅行プラン

大手旅行会社のHIS(エイチ・アイ・エス)は、感染症予防対策を追求した海外旅行商品「Social Travel(ソーシャルトラベル)」シリーズを発売しました。

出発日は2020年10月以降に設定されており、外務省の感染症危険情報のレベル引き下げ、出入国制限解除、帰国後の隔離条件解除などに基づき、ツアーの催行を決定する予定です。

旅行取消料は、出発8日前まで無料となっています。
 

訪日ラボ
▲[HIS Social Travelトップページ]:編集部キャプチャ(画像=訪日ラボより引用)

接触を低減した滞在形式を提案

Social Travelシリーズでは、旅行者が安心して海外へ旅行できるよう、様々な取り組みを打ち出しています。

感染症予防対策を積極的に実施している宿泊施設を選定し、同一グループだけの専用車で空港とホテル間を往復送迎することで、別のグループとの接触を減らすとしています。

またホテルのチェックイン時には、代行チェックインやオンラインチェックイン、ルームチェックイン、専用デスクの設置などにより、接触を低減します。

ホテルの朝食に関しても、ビュッフェではなくアラカルト朝食としたり、朝食ボックスや部屋でのセットメニューを用意したりと、接触を軽減した形で提供されるということです。

ツイッター上では、できることから着実に始めていくことを評価する声や、2020年内に海外旅行へ行きたいという声、旅行取消料が出発8日前まで無料という点に注目する様子などが見受けられました。

2020年8月現在、取り扱う渡航先は?

2020年8月現在、Social Travelシリーズでは、すでに韓国や台湾、香港、マカオ、タイ、シンガポール、ホーチミン、ハノイ、ハワイ、グアム、バリ島、ロンドン、ケアンズ、ゴールドコーストを販売中で、8月7日からはアメリカ、ニュージーランド、ダナンの発売も予定されています。

価格帯は、首都圏発、10月からの日程で、グアム4日間が89,800円~、バリ5日間が99,800円~、ハワイ5日間が164,800円~などとなっています。

プランはいずれも基本的に最少催行人数が2名に設定されており、一人旅よりもカップルや夫婦、家族連れをターゲットとしているようです。

グアムやハワイなどのリゾート地は家族連れに人気の目的地として知られています。ホテルと空港を往復専用車で送迎してもらい、感染予防対策の施されたホテルで滞在できるなど、感染対策への配慮は一定の安心材料になるでしょう。

また新型コロナウイルスの早期封じ込めに成功している台湾なども、旅行先として選ばれやすい可能性があります。

自宅から「海外旅行」オンラインでの観光体験にも引き続きニーズ

一方で、海外旅行が解禁されても新型コロナウイルスが完全に収束しない状況下では、海外へ行くのに抵抗感がある消費者もいます。

そのようなニーズに応えるため、旅行関連事業を展開するOrangeは、自宅で手軽に海外旅行気分を味わえる商品「おうちソクたび海外版」を開発しました。

旅先の名物や特産品の詰まった箱が自宅に届き、旅先からのライブ配信や、同梱される旅のしおりで旅行気分を楽しめるもので、これまで販売していた国内版に加え、海外版となる「海外食べ歩き旅気分」を、8月3日まで新たに販売しました。

到着の約1週間前からLINEで旅先のヒントが送られてくるなど、旅行前のワクワクを感じさせる工夫もされています。

往来再開の動きや世論、観光産業の回復に期待

日本の旅行会社が海外旅行の販売を開始する中、外国人の日本への渡航制限についても、段階的に緩和が進んでいます。

7月30日より、ベトナム・タイからの長期滞在者向けに訪日ビザの発給が開始されたほか、8月5日からは在留資格を持つ外国人の再入国が可能となります。

自治体が報告する新型コロナウイルスの感染者数は増えているものの、陽性結果の出た全ての人が深刻な症状というわけではないことも伝えられており、経済の回復に向け動くべきだという声も出てきています。

海外との往来にはリスクが伴うものの、予防策の有用性についても専門家が伝えてきたところです。社会の多数派の認識が変わるにつれて、観光産業も回復していくと期待できるかもしれません。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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