新型コロナウイルス感染収束のめどが立たない中、3密を回避しようという機運が高まっています。レジャーや観光には厳しい世相ではある一方で、3密を回避しつつ、非日常を求める消費者心理も存在しています。

こうした中、利用者の「安心」、「(接触低減という意味での)安全」を確保できるヘリコプターは、新しい観光コンテンツとして商機があると考えられます。

目次
ヘリコプター×食事、宿泊、観戦:新たな観光コンテンツ

 ▶︎1. ヘリコプターでしか行けない「離島寿司」鮨裕 禅
 ▶︎2. ヘリコプターでグランピング
 ▶︎3. スポーツ観戦にも応用
遊覧飛行、価格帯や利用者の傾向、口コミ
 ▶︎ナイトクルージングでプロポーズ
 ▶︎古墳を望むコースも
 ▶︎有名観光地で、雄大な自然の景色を楽しむ
展開しているエリア、withコロナで注目度上昇のチャンス

ヘリコプター×食事、宿泊、観戦:新たな観光コンテンツ

ヘリコプターを活用した新たな観光コンテンツの創出が進んでいます。3つの事例を紹介します。

1. ヘリコプターでしか行けない「離島寿司」鮨裕 禅

三重県志摩市の伊勢志摩国立公園・英虞湾の中心に位置する離島、「間崎島」で営業する会員制の寿司屋「鮨裕 禅」は、船かヘリでしか行くことができません。

神奈川で寿司職人をしていた堀勇一さんが、偶然訪れた間崎島の食材に魅了され、2019年にオープンしました。

東京から間崎島へ行くには、陸路では6時間かかるところ、ヘリを利用することで、東京からお店まで95分のフライトで到着することができ、日帰りが可能となります。

自家用ヘリコプターで来店するお客もいる中、希望すればお店でヘリの送迎を手配してくれますが、その交通費はヘリ1台で往復40~50万円とかなり高額です。

Google マップのレビューでは、5点満点中4.8点という高評価を獲得しており、訪日外国人からとみられる英語のレビューも投稿されています。

海を眺められる、わずか6席のカウンターでは、間崎島で獲れたばかりの伊勢エビなど、高い鮮度のネタを堪能することができると好評です。
 

訪日ラボ
▲[Google マップの「鮨裕 禅」]:編集部キャプチャ(画像=訪日ラボより引用)

2. ヘリコプターでグランピング

エアモビリティの交通デジタルプラットフォームを開発しているAirXは、ヘリコプターを活用したグランピング旅行プランの販売を開始しました。

新木場の東京ヘリポートと、埼玉県入間郡のリゾート型複合施設「BIO-RESORT HOTEL&SPA O Park OGOSE」間をヘリコプターで移動することで、3密回避を実現するものです。

片道の所要時間は約25分で、各旅行プランには、ヘリコプター直行便と各種宿泊プランが組み合わされています。

ヘリ移動と宿泊料金が含まれたプラン価格は、最も安いドーム型の宿泊キャビン「ドームキャビン」は1人あたり54,487円(税込)からと、1人5万円台を実現しています。

ヘリ送迎付きであることを考慮すると、比較的手の届きやすい価格設定といえそうです。

その他のプランとしては、プライベートサウナ付きの一棟貸し宿泊施設「サウナ スイートキャビン」は1名あたり66,220円(税込)から、空中に浮いたテントの中で過ごす「フロートドームテント」は1名あたり76,670円(税込)からなどとなっています。

現在は乗客3名乗り機体で運航しており、5名プランも運航に向けて準備中ということです。

3. スポーツ観戦にも応用

AirXは、ヘリコプターをスポーツ観戦プランにも応用しています。

サッカーチーム「鹿島アントラーズ」のホームゲームを、東京や横浜のヘリポートから、片道30分でヘリコプターで移動し観戦できる「ヘリコプター観戦プラン」の販売を開始しました。

プランにはヘリコプター往復、特別席である「VIEW BOX席」の観戦チケット、グッズなどのお土産が含まれ、料金は1人あたり25万円~40万円(税込)となっています。

定員は最少催行人数が3人、最大8名までの乗合となっており、貸切運行も相談可能ということです。

遊覧飛行、価格帯や利用者の傾向、口コミ

新型コロナウイルスの流行以前から、ヘリコプターに乗って上空からの景色を楽しむヘリコプター遊覧は、レジャーとして一定の人気を獲得してきました。

宿泊施設の予約プラットフォームであるじゃらんnetにも、複数のプランが用意されています。

公式サイトと、じゃらんnetの情報と口コミから、金額や搭乗中の過ごし方、その感想を確認しました。

ナイトクルージングでプロポーズ

東京ディズニーランドがある千葉県浦安市では、エクセル航空がヘリコプターでのナイトクルージングを提供しています。プロポーズや記念日のデートに利用されるなど、カップルから高い人気を獲得しています。

料金は貸し切りでは10万円を超えるものの、乗合であれば1人当たり2万円台と、比較的手に届きやすい値段設定となっています。口コミでは、高く評価するものが少なくありません。

こちらのヘリに乗った時にプロポーズをされました。東京の景色が一望でき記念日などにお勧めです。搭乗記念のカードも頂きました。

主人と二人で乗りました。他に2組同乗しました。感動の一言です。ビデオとったり、東京タワーを見つけたり、あっという間でしたが、すごくおすすめです。

古墳を望むコースも

また大阪で遊覧サービスを展開する小川航空のプランは、複数のコースがじゃらんnetから予約できるようになっています。

早割りなどのサービスもあり、10分前後のクルージングで1組(3名まで)5万円程度の料金設定です。世界文化遺産である古墳を臨むコースもあり、文化財に関心の高い層にも訴求できると考えられるでしょう。

有名観光地で、雄大な自然の景色を楽しむ

北海道の洞爺湖や富良野、知床などの人気観光地でも、大自然を上空から楽しめるヘリコプター遊覧が提供されています。

巨大な噴火によって作られたカルデラ湖である洞爺湖の絶景を空から楽しめる、洞爺湖ヘリコプター遊覧は、約3分の飛行で1人5,000円とリーズナブルな価格設定で、幅広い年齢層やファミリーでも利用されています。

まるで宝石のような湖面の輝きを見ることできました。 いまも水蒸気を噴出する有珠山の火口、 どこまでも続く美しい山並み、良かったです。

展開しているエリア、withコロナで注目度上昇のチャンス

ヘリコプター遊覧は、浦安や北海道の他にも、東京都の新木場、神奈川県の横浜、大阪など各地で提供されています。

大阪のユニバーサルスタジオや日本一の高層ビル「アベノハルカス」、大阪城などの眺めを楽しめるヘリコプター遊覧では、デイフライト、サンセットフライト、ナイトフライトなど多様なクルーズを楽しむことができます。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、3密回避への機運が高まる中、従来より提供されてきたヘリコプター遊覧は、さらに人気が集まる可能性もあるでしょう。

主に移動手段の役割を担ってきたヘリコプターは、これまでは風景を楽しむ遊覧飛行としての観光コンテンツとなっていました。

新型コロナウイルス感染拡大を受け生まれた、3密回避という新たなニーズを背景に、ヘリコプターは今後これまでに提携していなかった領域で活躍していく可能性があるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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