これまで、日本の企業では自社独自のITシステムを構築するにあたり、システムインテグレーター(SIer)に一括で外注するのが一般的でした。ITシステムの外注化は社内で人材を育成するコストをカットできるという利点がある一方で、いくつかの課題も持ち合わせていました。

大手は外注から内製化へと変化

これまでの「当たり前」を打破して、システムの内製化に踏み切った企業はいくつかあります。大手でいえば、ZOZOやディー・エヌ・エー、100円ショップ「ダイソー」で有名な大創産業もシステムを内製化し成功を収めている企業です。

ZOZOは創業時点からシステムの内製化に取り組んでおり、最初にECサイトを立ち上げたのも当時代表の前沢友作氏でした。その後、本格的にサービスを立ち上げるために開発部を作りシステムの改変を行っています。

ディー・エヌ・エーは、同社が提供するゲームやサービスのセキュリティ関連システムや人材管理システムを内製化しています。特にセキュリティシステムの内製化では、年間1億円以上の外注費の削減に加えて対応が迅速化されたといいます。

このような有名企業がなぜシステムの内製化を選択したのでしょうか。従来型のSIerへの外注と自社での内製、それぞれのメリットとデメリットから紐解いていきましょう。

システム関連を一括外注することのメリットとデメリット

システムをすべて外部に委託することで、企業は安定した品質のシステムを手に入れられます。大規模の開発も依頼するだけで、自社のリソースを使うことなくシステムを納品してもらえるのです。

ただし、開発期間が長期にわたったり、内製よりも開発コストが割高だったりとデメリットも複数存在します。ノウハウが社内に蓄積されないため、一度外注すると「外注のほうが高効率」と感じられるようになるのも難点でしょう。

内製化のメリットとデメリット

システムを内製化すると、品質のばらつきが生じてしまうのがデメリットと言えます。外注の場合、何重ものチェック体制の元、発注した企業の要望に沿う間違いのないシステムが納品されますが、内製化することでチェックが甘くなってしまい、システムの品質が低下してしまう可能性があります。

しかし、内製化することで外注よりもスピーディかつ柔軟にシステムを構築できるのは大きなメリットです。システム構築にかかわるノウハウがすべて蓄積され、自社の財産となるのも利点でしょう。これらのノウハウから、新規事業が生まれ社内イノベーションが加速する可能性も高まります。

ただし、システムの内製化には人的リソースの確保という高いハードルがある点は理解しなければなりません。人材の確保と育成を実行するためには、育成できるプロフェッショナルを自社に引き入れる必要もあります。

十把一絡げに内製化で成功、とはいかないけれど……

内製化で成功を収めるためには「初期段階では外注よりも割高になる可能性がある」「継続して人材を育成する必要がある」点を理解して、長期的に取り組める意思と戦略を持ち、資金を用意する必要があります。

「外注したシステムがどんどん複雑化していく」「古いシステムを一気に変えたいが仕様変更にはコストがかかりすぎる」など、自社のシステムに問題がある企業はシステムの内製化でいくつかの課題をクリアしつつ、新規事業の創出を目指せるかもしれません。

 

提供元・YANUSY

 

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