一生懸命仕事をしているのに、楽をしているようにみえる同僚がさっさと昇進する――そんな社会の不合理に歯ぎしりしたことはないだろうか。しかしそれは不合理どころか、当然の成り行きだという。

ボストン・コンサルティング・グループの元マネージャーで、世界で最も影響力があるマネージャーを評価する「Thinkers50 マネジメント」にも選ばれたモートン・ハンセン教授は、「業績のよいマネージャーほど、仕事量が少ない」と断言する。

過去5年にわたり、マネージャー5000人を対象に実施した調査からハンセン教授が発見した、「仕事を減らして成功する7つの方法」をみてみよう。

1.「凝縮」した優先事項に全力投球する

タスクを完了し、成果をだすためには何をすべきか―優先事項をリストアップしている人は多いだろう。仕事ができる人との決定的な差は、優先事項の数だ。ハンセン教授いわく、仕事ができる人ほど優先事項を「凝縮」しており、成果がだせない人ほど優先事項の数が多い。

まずはタスクを完了する上ですべきことのリストを作ってみる。優先事項を絞り込み、そこから本当に重要なものだけに絞り込む。例えば顧客からのメールに目を通すことは重要だが、すべて自分でチェックする必要はあるだろうか。絶対に自分が目を通す必要があるメールだけを部下により分けさせるだけで、時間と労力の大幅な短縮を図れる。

つまり優先事項を極限にまで凝縮することで、そこに全力投球する時間が増えるということだ。このように、濃縮させた時間を本当の優先事項にのみ費やすという手法は、ビル・ゲイツ氏の定番でもある。

2.周囲と協力する機会を制限する

組織内でネットワークを築き、お互いに協力しあって作業を進めるという従来の効率アップアドバイスは、ハンセン教授いわく「完全に的はずれ」。仕事ができる人ほど、周囲と協力しあう機会が少ないというのである。

周囲との協力を拒絶するという意味ではなく、限定するということだ。仕事ができる人は関与するプロジェクトやタスクを慎重にえらび、自らの努力や力量をよりすぐりのものにのみ注ぎ込む。これは時間の凝縮化と共通する部分がある。

3.働きながら学ぶ「学習ループ」を活用する

「学習ループ」の活用は仕事ができる人になる必須条件だろう。学習ループとは既存の考え方や行動の枠組みにしたがって、あるいは既存の枠組みを捨てて新たな考え方や行動を取り入れる概念のことだ。

会議やプレゼンテーションで時計をみながら睡魔と戦うか、学習の場として活用するかが明暗を分ける。同僚や上司、得意先からのちょっとしたフォードバックも、重要な指標となる。

ハンセン教授の調査では、同じことを何度も繰り返し、仕事に精を出すことで業績を上げたという例はなかったそうだ。働きながら学ぶという学習ループを習得することは、仕事の効率アップの秘訣である。

4.目的意識と情熱を融合させる

仕事に情熱をもって取り組んでいる人ほど業績がいいという結果が、ハンセン教授の調査から報告されている。しかし過剰な情熱が裏目にでてチームプレーができないなど、道を誤るケースもある。

単に情熱を燃え上がらせるだけではなく、そこに組織や社会に貢献できる目的意識をみいだすことが重要だ。あるいは目的意識から情熱を引きだすという手法もある。ハンセン教授いわく「情熱と目的意識をバランスよく融合させることで、最大の成果が引きだせる」。

5.周囲のサポートを得る

本当に必要なサポートを本当に必要な時に得ることは、重要なタスクを完了する上で、あるいは自分の目標を達成する上で重要なカギとなる。ハンセン教授は「仕事をやり遂げられるか否かは、上司や同僚、ほかの部署、提携先などを含む、周囲からのサポートを得られるかどうか次第」という。

つまり周囲がサポートしたいと思える人徳や信頼感を、日頃から築く努力が必要となる。

6.周囲にもたらす恩恵を前提に、仕事のやり方を変える

仕事のやり方を変えてみたが効果は今ひとつという場合、やり方を変える目的を見誤っている可能性がある。自分の私利私欲を満たすためだけにやり方を変えるのでは、期待通りの効果は得られないだろう。

気を付けるべき点は、同じ量の仕事からもっと価値を引きだすことだ。単に無駄だと感じる作業をそぎ落とすだけでは、手抜き仕事になったり、逆に仕事の効率が落ちかねない。 どのように価値を引きだすのか。ハンセン教授は「どれほどの恩恵を周囲が受けられるのか」を前提に、例えば新たな商品や物事をやり遂げる手段を考案してみることを勧めている。この辺りは前述した目的意識と共通する。

7.無駄な会議を廃止する

会議や会談で時間や労力を浪費しないスタイルは、ウォーレン・バフェット氏やティム・クック氏、リチャード・ブランソン氏などの大富豪も実践している。多くの会議は、長々と数字を報告したり、論議に時間をさくわりに、結論に達しないまま次の会議に持ちこむという非生産性が目立つ。

わざわざ会議を開かなくても、必要事項をメールや電話でやり取りしたり、社内の廊下や食堂で、あるいは移動中に論議することもできる。ハンセン教授流の会議とは、「よりぬきのメンバーだけを出席させ、時間をさくだけの意義あるものにすべきだ」。

調査からは、労働時間が週50時間を超えると仕事ぶりが低迷し、その後業績が落ち込むことも分かっている。少ない時間で最大限の成果をあげるために、一度試してみても損はないだろう。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
 

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