新型コロナウイルス問題に対する経済政策として、1人につき10万円を支給する「特別定額給付金」。受け取った人は、この10万円をどのようなことに使うのだろうか?株価下落によって「今が投資のチャンス」と言われる中、どれくらいの人が特別給付金を投資に使うのか、調査結果を見てみよう。

全体の約半数が「お金に不安を感じる」

マネーフォワードは2020年5月下旬、「コロナ禍の個人の家計実態調査」(対象者:7,827人)の結果を発表した。この調査は、同社が展開するお金の見える化サービス「マネーフォワードME」を利用している人を対象に実施したもので、お金に関する不安や特別定額給付金の使い道、投資状況などについて聞いている。主要なトピックスごとに、実態調査の結果を紐解いていこう。

お金に関する不安については、全体の約半数(48%)が「不安を感じる」と回答している。

「一番不安に思うことは何ですか?」という質問では、

「収入の減少」……62%
「資産の減少」……18%
「生活費の支払い」……9%
「住宅ローンの支払い」と「借金の返済」……3%
「学費の支払い」……2%
「家賃の支払い」……1%

という結果だった。

不安の解消に向けて支出を見直した人は、全体の53%に上った。

見直しのために具体的に取った行動としては「食費を節約」が73%で最も多く、「日用品費を節約」が63%、「携帯電話事業者の乗り換え・プランの見直し」が19%、「講読料のかかる新聞・雑誌の見直し」が12%、「保険の見直し」が11%だった。

特に食費や日用品費など支出額を調整しやすいものが見直しの対象となり、コロナを機に「毎月定額で支払っている利用サービスを再検討した」という人も一定数いた。

家計支援のための特別給付金10万円の使い道は「投資資金」が13%

新型コロナウイルス対策における家計への支援として実施中の「特別定額給付金」事業で支給される10万円の使い道については「生活費」が38%で最も多く、「預貯金」が25%、「旅行や娯楽(新型コロナウイルス終息後)」が19%と続いた。

<回答結果>
1位(38%):生活費
2位(25%):預貯金
3位(19%):旅行や娯楽(新型コロナウイルス終息後)
4位(15%):特に決めていない
5位(13%):投資資金
6位(10%):教養・教育
7位(8%):税金
8位(7%):在宅勤務や在宅授業のための環境整備
9位(7%):募金、寄付
10位(6%):住宅ローンの返済や家賃の支払い
11位(6%):衣服・美容

注目すべきは、特別定額給付金はやはり「生活費」としての使われることが多いが、使い道として「投資資金」と回答した人が13%もいたことだ。特別定額給付金は、収入減などの影響を受けている家計への支援を目的としたものだが、10万円をそのまま投資に充てる人が少なくないのだ。

確かに現在は株価が下落傾向にあり、投資の好機だという見方が強い。株価が低いときに株式を新たに購入・保有すれば、回復した後の「キャピタルゲイン」(売却益)が期待できるため、投資のチャンスと考える人が一定数いるということだろう。

投資を始めた理由は「株価が下落したため」が53%で最多

今回のマネーフォワードの調査では、新型コロナウイルスの影響で投資を始めた人がどれほどいるのかも調べており、投資をしたことがなかった人の約10人に1人が新たに投資を始めたことがわかっている。

その理由としては、やはり「株価が下落したため」が53%で最も多い。「将来が不安なため」と答えた人も33%いて、資産形成に向けて投資に取り組むことの重要性を認識している人は少なくないようだ。

新たに投資を始めた人に投資した商品について聞いたところ、「国内株式」が38%で最多だった。続いて多かったのが、運用をプロに任せる「投資信託(国内・外国)」で27%。「年金・確定拠出年金」19%、「外国株式」18%と続く。

最近話題の「ロボアドバイザー」を売りにした金融商品に投資した人も、12%に上っている。ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)技術などを活用した独自のアルゴリズムにより、顧客の投資方針などに応じて自動で銘柄を選んでくれるシステムだ。

生活状況を冷静に振り返り10万円を活用しよう

給付金の使い道は、それぞれの世帯の家計状況や個人の考え方によって変わってくる。今回のマネーフォワードの調査結果からもわかるように、生活費に使う人もいれば、株価下落のタイミングをうまく利用しようと投資に使う人もいる。

確かに10万円あれば、日本を代表する企業への投資も十分できる。たとえば、みずほフィナンシャルグループは1万3,540円、丸紅は4万9,360円、楽天は9万6,200円から単元株を購入することができる。(7月6日現在の終値)

大切なことは、きちんとした目的意識を持ってお金を使うことだ。自身の生活状況を鑑みて、最も有効だと思うことにお金を投じるようにしたい。
 
執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)

国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

 

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