H&Mの上半期決算(2019年12月~2020年5月)が発表になった。売上高は836億1200万クローナ(以下1クローナ=11円50銭として計算。9614億円。前年比22.9%減)、営業損失は34億9800万クローナ(−402億2700万円、前年は69億4000万クローナ=798億1000万円の黒字)、税引後損失は30億6300万クローナ(−352億2400万円、前年は53億7200万クローナ=617億7800万円の黒字)だった。第2四半期(3~5月)は世界中の店舗の80%が休業したため、50%の減収になったのが痛手になった。2020年11月末決算については、総店舗が40店減少する見込みだ。当初計画の出店ができず、閉店170店舗に対して出店は130店舗にとどまるためだ。下半期の最初の月である6月については、6月1~24日の売上高が前年に比べて25%の減少になっていると同社。

日本については、店舗数は4店舗増で109店。この上半期の売上高は18億3200万クローナ=210億6800万円で前年比25%減だった。総売上高にしめるシェアは2.2%。

問題は下半期に挽回して、上半期の赤字を解消することができるかどうかだろう。前年並みなら問題なく解消できるが、下半期利益が前年の半分程度なら、ほぼイーブン(利益ゼロ)という水準になる。まあ、このあたりに収まってきそうな予感はする。すでに一時のH&M旋風を巻き起こしたような勢いはすでにない。退潮基調に入ったところで、今回のコロナ・シンドロームに見舞われたわけで、素早い回復のペースは望むべくもない。

H&Mと同じくファストファッションという括りで語られることの多かったForever21はチャプターイレブン(連邦破産法第11条)を申請したのは周知の通り。

もう一つのH&Mの下期決算の見所は、「ユニクロ」のファーストリテイリングとの売上高争い。ファーストリテイリングが2020年8月本決算で2兆円死守を表明したのに対して、H&Mは上半期で9614億だから、接戦になるのは間違いない。第1位のインディテックス(主要ブランド「ザラ」)には及ばないし、第2位争いではあるが、売上高に意味はないし為替レートの変化もあるのは知りつつ、やはり興味深い。勢いはファーストリテイリング が上回っているが、どうなるのだろうか。

文・久米川一郎/提供元・SEVENTIE TWO

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