インド政府は現地時間6月29日夜に、中国企業が提供する59個のモバイルアプリを禁止すると発表しました。

ショートムービーアプリの「TikTok」、マイクロブログ「Weibo」、中国国内とのメッセージには欠かせない「WeChat」も含まれています。

目次
禁止された中国製アプリ:TikTokやWeChatも
背景に高まる国境の緊張
中国アプリ、インド市場を失い日本へ?

禁止された中国製アプリ:TikTokやWeChatも

インド電子・情報技術省の発表によると、禁じられた59個の中国企業が開発したアプリは下記のとおりです。
 

No. サービス名 No. サービス名
1 TikTok 31 Mi Video Call – Xiaomi
2 Shareit 32 WeSync
3 Kwai 33 ES File Explorer
4 UC Browser 34 Viva Video – QU Video Inc
5 Baidu map 35 Meitu
6 Shein 36 Vigo Video
7 Clash of Kings 37 New Video Status
8 DU battery saver 38 DU Recorder
9 Helo 39 Vault- Hide
10 Likee 40 Cache Cleaner DU App studio
11 YouCam makeup 41 DU Cleaner
12 Mi Community 42 DU Browser
13 CM Browers 43 Hago Play With New Friends
14 Virus Cleaner 44 Cam Scanner
15 APUS Browser 45 Clean Master – Cheetah Mobile
16 ROMWE 46 Wonder Camera
17 Club Factory 47 Photo Wonder
18 Newsdog 48 QQ Player
19 Beutry Plus 49 We Meet
20 WeChat 50 Sweet Selfie
21 UC News 51 Baidu Translate
22 QQ Mail 52 Vmate
23 Weibo 53 QQ International
24 Xender 54 QQ Security Center
25 QQ Music 55 QQ Launcher
26 QQ Newsfeed 56 U Video
27 Bigo Live 57 V fly Status Video
28 SelfieCity 58 Mobile Legends
29 Mail Master 59 DU Privacy
30 Parallel Space

出典:Press Information Bureau Goverment of India

インドは人口13億人のうち、約40%がスマホを使用しています。この数字は、世界屈指のアプリマーケットであることも意味しています。

今回の禁止措置は多くのインドのスマホユーザーに影響を及ぼすだけでなく、現地でアプリを提供する中国企業にも打撃を与えるでしょう。

世界各国に積極的に進出しているTikTokを例にすると、インドは同社にとってもっとも大きな海外市場となっていました。2020年5月にインドでのダウンロード数は、世界総ダウンロード回数の20%を占め、約2,240万ダウンロード数に達しました。

背景に高まる国境の緊張

インド電子・情報技術省によると、中国製アプリ禁止の理由は「インドの主権、防衛、国家の安全と社会秩序に悪影響を与えるため」と説明されています。

情報技術省はまた、多くのユーザーからアプリを経由しデータを不正利用されたなどの苦情が寄せられたことを明示しています。

インドと中国の国境をめぐる紛争は長年にわたり繰り返されていますが、6月15日にも大きな衝突が発生しています。これを受け、中国に対して経済的な圧力をかけることを目的に今回の決定が下されたのではないかと考えられています。

今回の軍事衝突ではインド軍、中国軍双方に死亡者が出たことが報道されています。国境紛争でインド側に死者が出たのは1975年以来であり、緊張が高まっています。

今回の中国製アプリ禁止令以外にも、中国企業と進められていた640億円規模の取引も一時停止しています。

中国アプリ、インド市場を失い日本へ?

スマホアプリや動画視聴の習慣が広がり、国を超えたサービスの提供も多く見られます。中国発のアプリは海外市場でもユーザーを広く獲得する一方で、これまでもセキュリティ上の懸念が示されてきていました。

また中国国内では海外製のネットサービスが規制を受けることもあり、インドで中国製のアプリが禁止されることにより、両国間の遠隔でのコミュニケーションに支障が出てくることも予想されます。

重要な海外市場を失うことになる中国企業が今後、日本でのユーザー拡大を計画することも考えられます。アプリの普及を念頭に、組織でどのようにセキュリティを保持するかを考える必要があるかもしれません。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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