三陽商会は4月30日、同社株6.32%を保有する米国RMBキャピタルの日本法人のアールエムビー・ジャパン・オポチュニティーズ・ファンド・エルピー(以下、RMBジャパン)からの株主提案に対して、同社労働組合が反対を表明する意見書を提出し、受領したと発表した。

RMBジャパンは昨年12月、三陽商会に対する株主提案として「戦略的パートナーへの会社売却を検討すべき」と提言し、さらに新たに7名の取締役選任を提案している。三陽商会の取締役会はただちにこれに反対し、労働組合もこれに追随する形となった。労働組合は意見書のなかで、「三陽商会の新経営体制は、大江社長・中山副社長体制であるべきだと確信している」と、コメントしている。

三陽商会の2020年2月期の連結決算は最終赤字が26億円で、4年連続の赤字決算となった。トップ人事もゴタゴタが続いている。1月1日付けで社長に昇格した中山雅之氏は、そのわずか4カ月後に代表取締役副社長に降格となった。株価は今や2006年のピーク時(12,830円)から10分の1以下だ。5月26日に開催される株主総会を前に、水面下では委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)が始まっている。三陽商会の「再建」は、どちらが担うことになるのか、予断を許さない状況が続いている。

文・高村 学/提供元・SEVENTIE TWO

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