新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるう中、中国では感染状況は落ち着いており、封鎖を解除したり店舗を再開したりして、一足先にコロナ明けのムードになっています。

これまでの外出制限による我慢から解放された中国では「報復性消費」(日本語で「リベンジ消費」)と呼ばれる消費傾向が話題となっています。

リベンジ消費でも、他国に先駆けて消費回復する中で、急激な購買件数、売上の増加が起こっているようです。

これまでも、中国人の旺盛な消費意欲は、そのすさまじさから「爆買い」「爆滑り」などと形容されてきました。

目次
アフターコロナ、中国では何が消費の対象に?

日本ブランドを「リベンジ消費」の対象に:インバウンド中国市場へのアプローチ

アフターコロナ、中国では何が消費の対象に?

日本と同じく、中国にも5月には「黄金週」=ゴールデンウィークがあり、5月1日のメーデー(労働節)から始まる連休です。

感染流行の発生地とされる中国では、他国に先駆けて新型コロナウイルス対策の外出制限が緩和されており、中国ではこのゴールデンウィークに国内旅行市場の回復が見られています。

4月21日には、中国最大のオンライン旅行代理店「携程」(Trip.com)が発表した「2020『五一』旅行消費新趨勢ビッグデータ予測報告」が公開されています。新型コロナの影響により海外旅行が難しい状況で、近場で非日常を楽しみたいというニーズが非常に大きかったようです。

GW5連休には「本地遊」(地元民が地元を遊覧するという意味)と3泊4日以内の「周辺遊」(住む場所の周辺を遊覧するという意味)が主流となりました。

レポートでは、高級ホテルの高い予約率について、コロナ自粛期間で抑えられていた旅行意欲の反動ではないかと分析しています。中国国内の区分に基づく「5つ星ホテル」は前述した予測報告が発表された時点ですでに、5割以上の部屋が埋まっているといいます。

このような「爆旅行」の風潮下で、機を見るに敏な中国の旅行業はチャンスを逃さない姿勢を見せています。携程の創業者で元CEO(現会長)の梁建章は自らライブ配信に出演し、5回に渡って6,000万元(約9億1,400万円)の旅行関連商品を販売しました。

コロナ収束後には、諸外国からの海外旅行需要は徐々に回復することが期待されていますが、日本のインバウンド中国市場におけるライバルは、従来人気の海外観光地に加え、中国国内観光地でもあることを認識すべきでしょう。

コロナ自粛後中国の消費トレンド

旅行以外に、リベンジ消費に走っている「爆買い」も発生していますが、年齢層や所得層によって特徴が異なります。

中国の楽信研究院が発表した「景気回復の新たな原動力発見:アフターコロナの若者の消費動向報告書」では、若者が最も増やしたい支出のカテゴリーは「5Gの携帯電話」「ファッション・フットウェア」「スポーツ・ヘルスケア」「外食」となっています。

一方、「中国大媽」(中国のおばさん)と呼ばれる、貯蓄の超過分を投資に向けている富裕層では、金と不動産へ積極的に資産を投じていることが伝えられています。

そのほか、コロナ自粛期間で自家用車の必要性を強く感じた中国人もいたようで、今後各自の車を持ちたいと考える共働きのファミリーが自粛後の車市場を押し上げると考えられます。

以上の消費動向は、今後のインバウンド戦略が策定する上でのヒントともいえるでしょう。

一口に中国市場といっても、年齢、性別、所得など消費トレンドを左右する要因が当然存在します。中国の消費者へのアプローチの際には、ターゲットを具体的にイメージし、それぞれに応じて適切な対策を打つ必要があります。

日本ブランドを「リベンジ消費」の対象に:インバウンド中国市場へのアプローチ

日本では、5月14日に39県の緊急事態宣言の解除が決定されました。

警戒地域以外で不要不急の外出自粛や休業要請の緩和・解除が出ており、社会・経済活動の再開が一部容認されます。

完全収束まで時間がかかるとの厳しい見方もありますが、インバウンド需要の回復がいつかやってきます。

新型コロナの流行が落ち着いたあとの訪日意向を問うた調査では、中国人は66%で訪日の意向を示し、流行収束後1~6か月以内に訪れたいと回答しています。同調査において、他のアジア諸国では、流行収束後に季節を重視して訪日旅行を計画する傾向が示されており、中国市場が比較的早期に回復することを示唆する結果といえるでしょう。

さらに、中国のコロナ自粛期間中、越境ECで日本の商品を購入する活発な動きも伝えられています。日本ブランドに対する「リベンジ消費」もアフターコロナのインバウンド中国市場に期待できそうです。

ウィズコロナ、アフターコロナにおいて、中国人のライフスタイルや消費意識には変化が生まれていると考えられます。彼らが目指すライフスタイルをサポートするサービスやアイテムを訴求したり、またその周辺での利用を提案したりすることで、「リベンジ消費」の熱量の高さを売上に反映することができるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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