2021年12月、新型コロナウイルスの感染拡大とオミクロン株の流行が世界中で起こり始めましたが、日本ではまだ新規感染者数が抑えられている傾向が続き、昨年よりも人や物の動きが活発となっていました。

12月の小売業界では、紙のレシートが不要となるスマートレシートが導入されたり、AIを活用したデータ分析を店舗運営に活かす実験が開始されたりなど、特にコンビニの業態でDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが見られました。

本記事では、12月の小売業界の動向や発表されたデータについてまとめます。

目次
小売業界の最新DX情報
小売業界の最新ニュース
12月発表の月次売上
博報堂生活総研 [来月の消費予報・1月]

小売業界の最新DX情報

12月の小売業界では、特にコンビニの業態でDXの試験的な導入や新しいサービスが開始されるなど、DX推進のための活発な取り組みが見られています。

酒、タバコもセルフレジで/ローソン

12月21日の日本経済新聞に掲載されたコンビニ大手ローソンの竹増社長への取材記事の中で、竹増社長は当局と調整できれば酒やたばこをセルフレジで購入できる仕組みをローソン全店に導入したいとする考えを明らかにしました。

すでにローソンでは2021年2月から、運転免許証を専用端末で読み込んで年齢確認を行うセルフレジの実証実験を4店舗で取り組んでおり、2022年3月以降には希望する加盟店へも導入を進めていくとしています。

これまで酒やタバコは対面販売での年齢確認が基本となっていましたが、セルフレジでの販売が可能となれば、レジ業務の省力化が可能となり、人手不足の解消につながります。

ローソン、マイクロソフトと協力でDX推進

ローソンと日本マイクロソフトは12月2日に、AIやデータを活用した小売店舗のDX推進を目的として協業することを発表しました。2021年11月から2022年3月の期間で、ローソン4店舗にてすでに実証実験が開始されています。

この取り組みではAIを活用したデータに基づく店舗施策が検証される予定で、店舗に設置したカメラやマイクによって来店客の滞在時間や商品棚への接触、商品の購入率などのデータを個人が特定できない形で可視化し、店舗のPOSデータなどと組み合わせて「店舗運営支援AI」で分析を実施します。

その分析結果を参考にして、陳列棚や販促商材の調整など各店舗に適した施策を提案します。

この取り組みによって効果を検証して、全国のローソンへ店舗運営支援AIの拡大を目指すとのことです。

「スマートレシート」導入/ミニストップ

コンビニエンスストアのミニストップでは、12月20日からミニストップ全店でレシートを電子化する「スマートレシート」サービスの導入を開始しました。

スマートレシートはPOSシステム大手東芝テックの電子レシートシステムで、スマートレシートの専用アプリは無料で配布されています。

利用者はスマートレシートのアプリ、またはスマートレシートと連携させたミニストップの公式アプリにてミニストップで購入した商品の電子レシートを確認できるようになり、紙のレシートを受け取る必要がなくなります。

楽天、小売DX支援するツール販売開始

楽天は12月16日から、小売業と飲食業向けに消費者ニーズを分析するDXソリューションツール「Marketing View Premium」の販売を開始しました。

Marketing View Premiumは1億以上の楽天会員基盤でのビッグデータ解析やAIを活用することで、サービスを利用する小売店と飲食店の商圏においての消費者ニーズを分析します。品揃えや価格設定、集客などの改善点がデータとして可視化できるようになるとのことです。

Marketing View Premiumは月額課金型のサブスクリプションサービスで、販売業務は楽天ペイメントが請け負っています。

小売業界の最新ニュース

12月の小売業界では、ヨドバシカメラが深夜時間帯での配送設置サービスを開始したり、スーパーや大型施設が年末年始に休業したりなど、ライフスタイルの変化が反映されたニュースがありました。

ファミマ新PB「ファミマル」好調

12月14日にコンビニ大手のファミリーマートは、10月19日から新たに立ち上げたプライベートブランド(以下、PB)「ファミマル」の売上が好調となっていることを発表しました。

これまでファミリーマートには「ファミリーマートコレクション」「お母さん食堂」「お母さん食堂プレミアム」の3つのPBで日用品や菓子、惣菜を展開していましたが、10月よりそれらを新しく「ファミマル」というPBに統合しています。

その後、11月のファミマル商品は主力のハンバーグやビーフシチューなどの売り上げが好調となり、チルド惣菜の「じゅわっと肉汁!!!鉄板焼ハンバーグ」では、リニューアル前の8月と比較して月間売上数量が約150%の伸び率となったとのことです。

一方で、コンビニPBの先駆け的存在のセブンイレブンのPB「セブンプレミアム」は、2021年度上半期(3~8月)に初めて前年実績を下回ることとなり、年間でもマイナスとなる見込みです。これを受け、セブンイレブンでは、共同開発の食品メーカーと「大反省会」を実施し、コロナ禍におけるニューノーマルや新しいライフスタイルに対応できるよう、質や価格、ラインナップを今後一品ずつ見直していくとしています。

また、ローソンのPBがイラストパッケージに一新され話題となったことも記憶に新しく、近年、各社のPBに重点をおいた動きが見られます。

深夜に荷物配達サービス/ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラは12月13日に、東京都23区全域を対象に「深夜時間帯の配送設置」サービスを試験的に開始することを発表しました。

このサービスは、日中の時間に受け取りが困難な人を対象に、利用者の多様なライフスタイルへの対応として12月15日から開始されています。

対象となるのは冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの大型商品で、通常配送料とは別に深夜配送料金が一律3,300円(税込)発生します。

配送の時間区分は22時~24時、24時~2時、2時~3時となり、再配達リスクを軽減する効果が見込める一方で、深夜に配達員を確保できるか、長時間労働につながらないかの検証が必要と考えられます。

丸紅、「D2C」に本格参入

大手総合商社の丸紅は、「D2C(Direct to Consumer)」という、商品を卸業者や広告代理店、小売店を挟まずに、製造者が消費者へ直接販売するビジネス形態への本格参入を発表しました。

SNSで大きな影響力を持つインフルエンサーと共に20〜30歳代をターゲットとしたファッションブランドを立ち上げ、12月23日よりECサイト「Lit library」を開始しています。

大量生産ではなく需要に応じた量を国内で生産することで、アパレル業界で問題となっている大量廃棄を回避し、SDGsに取り組みながら支持の拡大、ブランドの確立をはかります。

三菱商事もアパレル分野でD2Cプロジェクト「NAGIE」の展開を3月から開始しています。

年末年始「休業」広がる/ライフスタイルの変化反映

小売業界各社では、コロナ禍での消費者のライフスタイルの変化などから、2021年に続いて2022年の年始も休業する動きが広がっています。

大手スーパー「ライフ」では年始の休業を昨年より原則で1日増やして、全店で1月1日と2日を休業し、3日も一部店舗を除いてほぼ全店で休業するとのことです。

また、「マルイ」などを展開する丸井グループでは、1月1日は全店で休業として、2日は国分寺マルイ、マルイシティ横浜、博多マルイのみ営業でその他9割の店舗では休業となります。

カインズ、東急ハンズ買収

ホームセンター最大手のカインズが、東急ハンズを買収しました。

カインズの高家社長は「地方を中心に大型店舗を展開するカインズと、都市を中心に店舗を構える東急ハンズは相互補完性が高い」と述べ、買収の意義を強調しました。

デジタル化による経営効率化で成果をあげているカインズが、都市部に強くブランド力のある東急ハンズを買収したことで、相乗効果による成長が期待できます。

他にも近年、ホームセンター業界の再編が進んでいます。2020年にはニトリが島忠を買収しました。

巣ごもり需要によって好調なホームセンター業界。全国的に店舗数が飽和しているとの指摘もあり、今後の動きにも注目が集まります。

12月発表の月次売上

ここでは、12月に発表された小売業関連の各種データについて紹介します。

スーパーマーケット

オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会は、270の企業を集計した11月実績速報版のスーパーマーケット販売統計調査を12月21日に発表しました。

それによると、総売上高は9,258億258万円と既存店前年同期比の1.5%減で、2か月ぶりのマイナスとなりました。

総売上高のうち食品は8,324億6,698万円(1.7%減)で、惣菜部門の954億31万円(2.3%増)を除いた食品区分のすべてで既存店前年同期比マイナスとなりました。

ドラッグストア

12月に発表されたドラッグストアチェーン大手5社の11月営業概況によると、既存店売上高はウエルシアHDが2.8%増となったほかは、ツルハHDで2.3%減、コスモス薬品で1.3%減、サンドラッグで4.2%減、マツキヨココカラ&カンパニーの合計で7.0%減と、4社がマイナスとなりました。

ウエルシアHDは特に11月の調剤での売上が15.8%増となり、既存店売上高は2021年5月から7か月連続でプラスとなるなど、好調な様子を見せています。

チェーンストア

日本チェーンストア協会が12月21日に発表した11月のチェーンストア販売概況によると、日本チェーンストア協会の会員企業56社1万1,882店の11月の総販売額は、1兆868億円で前年同月比2.8%増(店舗調整後)となりました。

11月度は、新型コロナウイルスの新規感染者が落ち着いている状況から、自粛などの制限が解除されて内食化の需要が減少傾向にあるものの、惣菜などの食品が好調となっているとのことです。

各業態 11月の売上動向

その他業態の売上動向をまとめます。

11月度のコンビニエンスストア統計調査月報(日本フランチャイズチェーン協会)
:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は8,416億600万円、前年同月比1.7%減

11月のショッピングセンター販売状況(日本ショッピングセンター協会)
:ショッピングセンターの売上高は前年同月比1.3%増、2019年同月比9.3%減

11月の全国百貨店売上高概況(日本百貨店協会)
:全国の百貨店の売り上げ総額は約4,497億円、前年同月比8.1%増

11月分の商業動態統計速報(経済産業省)
:ホームセンターの売上高は2,715億円で前年同月比3.8%減
:ドラッグストアの売上高は5,922億円で前年同月比1.3%増
:家電大型専門店の売上高は3,579億円で前年同月比10.6%減

博報堂生活総研 [来月の消費予報・1月]

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は12月24日、「来月の消費予報・2022年1月」を発表しました。

カインズが東急ハンズ買収/ファミマ新PB「ファミマル」好調【小売業界動向まとめ2021年12月】
(画像=▲来月の消費予報・2022年1月:博報堂生活総研、『口コミラボ』より 引用)

それによると、2022年1月の消費意欲指数は51.4点で、前月比では4.7ポイント減、前年比では2.8ポイント増となりました。

1月はクリスマスや年末年始の後となるため、例年消費意欲指数は低下する月となり、今回も前月比4.7ポイントと低下しましたが、前年との比較では2.8ポイントと増加し、過去5年の1月の中で最も高い意欲指数となっています。

カテゴリー別の消費意向に目を向けると、前年と比較して「食品」「外食」「ファッション」「旅行」など11のカテゴリーで回答した人が20人以上増えており、新型コロナウイルスの感染拡大による消費への影響はやわらいでいることがわかります。

提供元・口コミラボ

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