ASEANとは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10か国のことです。

ASEANは日本との貿易もさかんですが、その物流に関しては、地域によっては輸送インフラが未整備であるなど、課題が少なくありません。

いっぽうASEAN域内のシンガポールは、アジアの物流ハブ拠点としての位置付けが高まっており、その先進的な物流への取り組みが注目されています。

本記事では、ASEANにおける、物流の特徴や課題などを紹介していきます。

ASEANの物流 特徴とその課題

ASEANは東南アジア諸国連合のことで、現在の加盟国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10か国です。

1967年のバンコク宣言により設立が決定し、加盟国は、地域の平和と安定、経済成長の促進などを共通目標としています。

ASEAN全体を1つとして考えると、2019年には世界7番目の経済規模を誇っています。

ここではASEANの物流の特徴や、課題について紹介します。

ASEANにおける物流の特徴

ASEANの物流の特徴のひとつが「域内貿易」であり、2020年の域内での輸出入は、どちらも20%前後を占めています。

いっぽう2006年からその比率は徐々に減少しており、現在は域外貿易が主流となっています。

ASEAN全体で見ると、主な輸入相手国としては、中国(23.7%)、日本(8.5%)、アメリカ(7.8%)、EU(9.5%)が上位を占めています。

輸出相手国はアメリカ(16.5%)、中国(16.1%)、EU(9.5%)、日本(8.4%)と、順位は変動するものの上位国は輸入相手国と変わりません。

ASEAN内の国ごとに見ても、中国の存在感は大きく、カンボジア、インドネシア、マレーシアでは中国が第1の貿易相手国となっています。

ASEAN物流の課題

ASEANは共同体として成り立っていますが、それぞれの国の歴史や経済状況などが違うため、さまざまな課題を抱えています。

特に経済規模の小さい国では、陸路や航空、海上などの輸送インフラが整っていない国もあり、域内外の貿易に課題があります。

2021年、タイ税関はASEAN域内での陸上輸送促進のための対策を講じ、ASEAN税関トランジットシステム(ACTS)の利用が可能となりました。

これはASEAN複数国を跨ぐ輸送での、通貨貨物の通関手続きを円滑化するものです。

アジアの物流拠点となるシンガポール

ASEAN域内のシンガポールは、アジア物流ハブとして世界的に知られており、ASEAN、アジアのみならず、世界的にも物流における重要な拠点となっています。

チャンギ国際空港やシンガポール港を擁し、空路と陸路、海路のすべてで整備が進んでいます。

シンガポールの物流ハブとしての特徴

シンガポールは、世界銀行が発表している、物流に関するインフラやサービスなどの品質評価指標である「LPI(物流パフォーマンス指標)」において、常に上位にランクインしています。

ハードインフラの整備や地理的優位性に加えて、効率的で円滑な物流システムの制度を積極的に整備しており、アジアのグローバルロジスティクスハブとしての地位を確立しつつあります。

港湾インフラに関しては、123か国の600港と、200社の海運会社がシンガポールに接続されています。

またシンガポールは東京都と同等程度の面積で国土が小さく、国内航空は存在せず国際航空のみとなっており、チャンギ国際空港は7つの貨物ターミナルからなる航空貨物センターを備えています。

シンガポールにおける物流の優位な点

多くの船舶会社にグローバルハブとして位置付けられるシンガポールは、世界の物流ハブとしての国際競争力を高めるべく、規制緩和や手続きの簡略化に注力しています。

国として貿易に関わる制約にも寛容であり、通関手続きも簡略化され、電子化も進んだことでいっそうスムーズなものとなっています。

また海上輸送に関しては、積んである荷物をほかの船に積みなおすことで効率的な輸送を行う「積み替え」の貨物量が多く、ASEAN随一の積み替え拠点として位置付けられています。

2040年にはシンガポール港の移転も予定されており、多岐にわたる技術が活用された物流拠点になると見られています。